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"判を押さなかった妻" 第7話

「おが判を押さないせいで、みんな困ってるんだぞ」

「みんなって誰?」

「俺と千佳と悠斗だ」

私は修司を見た。

「その3を10支えるために、私は何を失ったの?」

修司は答えなかった。

「お義母さんも何を失ったの?」

それでも答えなかった。

「だから、理が終わるまでは押さない。それだけよ」

修司は苛ったようにがったが、以のように卓を叩くことはしなかった。

しずつ、彼にも分かり始めていた。

婚届に署名するだけで終わる話ではない。

そして、その署名を持っているのは、彼が38「何もできない妻」だとっていた私だった。

弁護士との相談をねながら資料を理していたある、私は修司の斎で見覚えのない封筒を見つけた。修司から自分の保険証券を探してほしいと言われ、指定された引きしをけたに、同じファイルのからてきたものだった。

封筒の表には「覚案」とかれていた。

に私物を見るつもりはなかったが、には私の名が記載された類が入っていた。しかも作成は、修司が卓へ写真と婚届を置いた夜より3かだった。

内容を読んで、私はしばらくけなかった。

婚成、私は当面このへ居する。その代わりの維持管理をい、修司の私物を保管し、必に応じて事の準備、類の管理、通院や薬に関する補助をう。

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固定資産税や修繕費については「今協議」とされており、の所権についても私の持ち分を将来に修司へ譲渡することを提とするような文言が入っていた。

つまり、修司はあの夜初めて婚について考えたわけではなかった。

何かから準備していた。

私が毎彼の事を作り、母親の施設へ連絡し、血圧の薬を曜ごとに分けていたに、夫は私を「も無償で世話を続ける元妻」にする計画をにしていた。

私はそので写真を撮り、元の所へ戻した。弁護士へ相談すると、「これ自体がそのまま効なになるわけではありません。署名もしていませんし、あくまで相側が定していた案でしょう」と説された。

私はし笑った。

な効力があるかどうかより、私には別の分な証拠だった。

修司が私をどう見ていたのか。

それが黒い文字でかれていた。

そのの夜、修司が「活について度話そう」と言いした。私はあえて何もらない顔で卓へ座った。

は佳代が使っていい。ただし、将来には俺の持ち分とわせて理する。俺の荷物も残るし、々ここへ来るから、その事くらい頼む」

「千佳さんは?」

「千佳は千佳で活がある。全部あいつにやらせるわけにはいかないだろ」

私はわず尋ねた。

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「どうして?」

修司は怪訝そうな顔をした。

「どうしてって何が」

「これから族になるでしょう。あなたの事や薬をどうするかは、そのと話すことじゃないの?」

「佳代がやってきたことなんだから、そのままでいいだろ。おだって38緒にいたがあるはずだ」

また、という言葉だった。

「じゃあ、私の38に対するは?」

「だからませてやるって言ってるじゃないか」

私は修司を見つめた。

このには私の持ち分がある。にもかかわらず修司は「ませてやる」と言う。そして自分が妻を裏切ったことへの謝罪はせず、むしろ居を与える代わりに今も自分を世話するのが公平だとっている。

「あなた、私に何か類をかせるつもりでしょう?」

修司の目がいた。

「何の話だ」

の管理や事や薬の世話を続けるっていう類」

修司の顔が変わった。

「勝に見たのか」

「保険証券を探してって頼んだのはあなたでしょう。同じファイルからてきたわ」

修司はしばらく黙ったあと、「あれはただの案だ」と吐き捨てた。

私は頷いた。

「そうね。私は絶対に署名しないから、本当にただの案ね」

その夜から、修司の態度はらかに変わった。

私が婚を怖がっているわけではない。

何もらないわけでもない。

そのことを、ようやく認め始めたのだ。

それから3週ほど、修司は落ち着かなかった。

千佳との話は増えたが、会話は以よりくなり、話を切ったあとは決まって嫌そうにを歩き回った。

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