みかん小説
本棚

"帰宅した夜、夫の嘘を知った" 第2話

扉が閉まる。

美咲は悠真を抱いたまま、直を見た。

「誰?」

「だから、会社の輩」

「朝までいたの?」

みすぎて帰れなかったがあっただけだよ」

「何回?」

は目をそらした。

「そんな何回もじゃない」

「何回?」

「……1回」

美咲は黙った。

は続けた。

「美咲が実にいる、俺も仕事きつくてさ。何かでんだ、1だけ残った。それだけ」

「そのと何かあったの?」

はすぐには答えなかった。

その沈黙で、美咲はある程度分かった。

「直

「……ごめん」

言。

「1回だけ。ほんとにそれだけ」

美咲は泣かなかった。

鳴りもしなかった。

腕ので悠真が泣いていたからだ。

まず息子を落ち着かせなければならない。その現実が、美咲を無理やり静にした。

「今はもう話せない」

「美咲」

「悠真を寝かせる」

その夜、美咲は寝ではなく、子供部で息子と寝た。

第2章 2ヶ、ほとんど毎週

翌朝。

く起きていた。

「昨のこと、本当に悪かった」

美咲は朝を作りながら聞いていた。

「相は?」

「会社の輩」

「名

「佐伯麻

「何歳?」

「29」

「奥さんが妊娠してること、ってた?」

さくうなずいた。

ってた」

それだけで分きつかった。

美咲は包丁を置いた。

「今は仕事って」

「休むよ」

って。今、緒にいたくない」

は何か言いたそうだったが、結局勤した。

10頃。

ゴミをしにると、理惠がいた。

目がう。

理惠のほうからづいてきた。

広告

「昨、本当にごめんなさい」

「いえ」

「私、余計なことを言ってしまって」

美咲はし迷った、聞いた。

「吉田さん」

「はい」

「その、本当に何度も来てましたか?」

理惠は答えに詰まった。

美咲が続けた。

「夫は、1回だけだと言ってます」

理惠はため息をついた。

「1回? そんなわけないでしょう」

美咲の背たくなった。

「どのくらい?」

「この2ヶ、ほとんど毎週見ました。曜の夜に来て、曜までいることもありましたよ」

理惠は記憶をたどるように指を折った。

なくとも6回は見ています。平の夜に来たこともありました。くのコインパーキングにめて、翌朝ご主緒にていったも2回あります」

美咲は何も言えなかった。

「私、最初は奥さんがく戻ってきたんだとってました。朝、ご主緒にていくのも見たし、ゴミしのに話したこともあります」

「話した?」

「はい。『赤ちゃんはご実ですか』って聞いたら、曖昧に笑ってました」

美咲は唇を噛んだ。

1回ではない。

2ヶ

ほとんど毎週。

自分が産の痛みに耐え、2おきに授乳し、夜に何度も起きていた2ヶ

は別の女をこのに入れていた。

「吉田さん、ありがとうございます」

美咲はそれだけ言ってに戻った。

第3章 活が残っていた

夫が「1回だけ」と言った昨夜とは違い、美咲はもうを見る目が変わっていた。

広告

洗面所。

自分が使っていないクレンジングオイルがあった。

棚の奥には、見覚えのないヘアオイル。

ゴミ箱の底から、封済みのフェイスマスクの袋。

キッチンには、自分が買わない韓国製の辛い調料。

蔵庫の奥には、さな瓶のワイン。

そして器棚。

結婚祝いにもらったペアのマグカップ。

美咲用のいマグに、の跡が残っていた。

そこまで見つけても、美咲はまだ声をげなかった。

最もきつかったのは、寝のクローゼットだった。

の収納ボックス。

に着るつもりで置いていたグレーの内着。

洗濯され、畳み方が変わっていた。

さらに、に買った赤ちゃん用の品のブランケット。

箱からされていた。

ベッドの端にかけられている。

美咲はそれをに取った。

悠真のために選んだものだった。

自分がいない2ヶ

別の女が、こので寝た。

自分のカップを使った。

自分のを着た。

自分が子供のために用したものまで、勝に触った。

その事実は、単なる浮気よりもい嫌悪を残した。

夕方。

が帰宅した。

美咲はリビングのテーブルに、見つけたものを並べていた。

ヘアオイル。

フェイスマスク。

マグカップ。

内着。

ブランケット。

の顔が変わった。

「説して」

「美咲」

「1回だけなんでしょう?」

は黙った。

「吉田さんは、この2ヶほとんど毎週見たって」

は目を閉じた。

「……何回か来た」

「何回?」

「正確には覚えてない」

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: