みかん小説
本棚

"変な家" 第2話

ただ、監禁と断定するにはい」

「なぜ?」

「第玄関だ。閉じ込める側なら、被害者が自分でけられるに施錠できるようにはしない。窓も同じだ。へ直接られなくても、吹き抜け側から換気できる。むしろ側にいるが、自分の区画を自分で閉じる構造に見える」

 森川はそれでも、老族が隔していた能性を考えた。補助錠はから付けたものかもしれないし、第玄関は介護職員用だったのかもしれない。図面からだけなら、どちらにも説できる。

 者の親族に取材を申し込むと、姪の美佐子から話があった。

の記事にするなら、先に訂正しておきたいことがあります」

「何でしょう」

所では昔、叔母が叔父を側の部に閉じ込めているって噂がありました。叔父はほとんどなかったし、窓も側にはけなかったので。でも、それは逆です」

 美佐子の声は穏やかだったが、言葉ははっきりしていた。

「鍵を増やしたのも、側にこもったのも叔父自です。誰かにさないようにされていたんじゃありません。叔父は、誰かが入ってくることをずっと怖がっていました」

 森川はメモにいた「られない」という言葉を線で消した。

 最初の仮説は、入を取り違えていた。

章 閉じ込められていた

広告

 美佐子と会ったのは熊くの喫茶だった。彼女は代半ばで、源蔵の写真を枚持ってきた。枚はの作業姿、もう枚は代になって自宅の庭につ写真だった。

「叔父は栄化成という会社で設備保全と全管理をしていました。、群馬の榛名で爆発事故があって、そのあと会社を辞めています」

 森川にも記憶があった。夜操業の混設備が爆発し、作業員が負傷した事故だ。当の報では、老朽化した制御弁の故障と現作業員の順逸脱がなったと説されていた。

「叔父は事故まで仕事の話をよくするでした。でも、退職したあとは会社の名すらで言わなくなった。を建てるも急に設計を変えて、側に別の玄関をつくり、窓の位置まで変えたそうです」

「何かあったんでしょうか」

「事故のあと、んでいたアパートへ誰かが入りました。現も盗まれなかったけど、仕事机の引きしだけいていた。警察にも届けましたが、被害品がないので結局何も分からなかった。それから叔父は、類をつの所に置かなくなったんです」

 美佐子は学代に源蔵のへ遊びにったことがある。側のさな斎へ入ろうとすると、普段は温な源蔵が珍しくい声で止めたという。

広告

「叔母が度だけ、『あのを守ってるんじゃない。を守ってる』と言ったことがあります。当は、仕事を辞めても類を捨てられないなんだとっていました」

 美佐子がにした「」という言葉で、森川のには物置とその奥の空が浮かんだ。

 美佐子は古い慰の写真をもう枚差しした。源蔵のの男がいる。裏面には「田、横尾」とかれていた。

「事故のあとも連絡を取っていた同僚はこのだけだったそうです。でもとも会社を辞めたあと、別々の県に引っ越して、それからは互いの度もかなかった。叔母は『仲が悪くなったんじゃなくて、会わないって決めたみたい』と言っていました」

 森川は帰社するとを調べた。田誠は事故翌々梨県甲州へ、横尾泰はそのに栃県佐野へ転居している。古い業界名簿から、とも榛名全管理に関係していたことも確認できた。

 休みを使ってつの自治体へき、保されている建築概を閲覧した。

 最初に見つけた横尾邸はの寄棟根で、邸とは施会社も観も違った。それでも側には、さな第玄関があった。そこからい通を通って洗面へ入り、壁には内から直接けない物置がい込んでいる。

その奥には、用途名のない細い区画が残っていた。

 田邸も同じで、軒のは建築も会社も違うのに、通常の宅にはな第玄関、からしか入れない物置、その奥の用途な空だけが同じ位置関係で並んでいた。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: