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"赤ん坊を背負った応募者" 第8話

と美咲、この夫婦には世るよりもずっとく辛い事があった。

2は親の顔さえらない、児童養護施設だったのだ。

は5歳のに記憶を失ったまま施設に預けられた。

美咲はまれてすぐに施設のに捨てられた子供であった。

同じ施設で育った2は、幼い頃から兄弟のように互いの傷を慰めってきくなった。

の子たちにいじめられる美咲を、優が守った。

毎晩記憶を失って両親を求めて泣く優の背を、美咲がさすってくれた。

2は施設の裏庭に並んで座り、空を見げた。

にはさなかったが、2とも同じことを考えていた。

「私たちにも、いつか族ができるだろうか」

世界にたった2で投げされた孤児であったが、1度もみ事を言わなかった。

は建設現でレンガを運び、鉄筋を束ねて当を稼いだ。

美咲は朝の堂で皿洗いをしておを貯めた。

さな半のワンルームで、2活を始めた。

その、布団1枚と鍋1つが全財産であった。

しかし、それがしくはなかった。

お互いがいたからである。

ひどく優しく、ひどく真面目な2であった。

血の繋がりのないこの夫婦に、1に奇跡のように訪れた命があった。

息子のであった。

まれた瞬から、この子は夫婦にとって命よりも切な祝福であった。

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世界の全てであった。

が初めて笑った、優と美咲は半のワンルームで抱きって泣きした。

「ついに私たちにも族ができたんだ」

「私たちも誰かのお母さん、お父さんになったんだ」

その胸杯の激を、涯忘れることはできなかった。

しかしは、この優しい夫婦にもう1つの試練を与えた。

妻の美咲は、産直から腎能が急激に悪化する性腎全を患うことになったのである。

定期な血液透析なしには1きられない体になった。

週に3回透析に横たわり、全の血液を械に通さなければならない。

透析が終わると、1気力がなくベッドから起きがることもできなかった。

が建設現で骨が砕けるほど働いて稼いでくる当。

それは妻の透析費用と赤ん坊のミルク代を賄うにもあまりにもりなかった。

だるま式に増え、督促の話は1に何度もかかってきた。

それでも優は歯をいしばって耐えた。

建設の面接が、この庭を救う唯の蜘蛛の糸だったからだ。

血を流しながら、夜を徹して図面を描いたのである。

ところが面接のの夜、妻の美咲が倒れた。

夫の負担をしでも軽くしようと、病気の体を押してこっそりコンビニの夜勤アルバイトにかけたのだ。

が図面を描くのにになっているに、美咲はメモ1枚だけを残してた。

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『あなた、ミルク代だけでも稼いでくるね。配しないで』

そのメモを見た優が慌ててした、美咲はすでに端で識を失って倒れていた。

体がもたなかったのである。

通りがかりのが119番に通報してくれなければ、美咲はあのたいアスファルトのでそのまま息を引き取っていたであろう。

すぐに対処しなければ今夜を越せないという救急の通告。

救急をうろつき、かろうじて命を繋ぎ止める緊急処置が終わるのを待った。

そして朝が来た、優には2つの選択肢が置かれていた。

面接を諦めて妻のそばにいるか。

それともを預ける所がないので、子供を背負ってでも面接会くか。

者を選んだ。

妻を助けるにはおが必で、おを稼ぐにはこの面接を逃すわけにはいかなかったからだ。

その、集治療のドアがき、担当医が優を呼んだ。

医師は厳しい顔をして言った。

「保護者の方、しお話よろしいでしょうか?」

を抱いたまま、医師のんだ。

医師の表いものであった。

は良いらせではないことを直した。

医師は告げた。

「応急処置で峠は越しましたが、奥様の状態は限界です」

医師は真剣な声で続けた。

「根本な精密術を受けなければ本当に危険です。

これ以先延ばしにはできません」

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