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"赤ん坊を背負った応募者" 第18話

父は震える両腕で勇気を持ちげ、その隙から押しした。

むらのに転がりた勇気が振り返った。

父の血まみれのが隙から見えた。

そのが、薬指からの指輪をしていた。

父は最の力を振り絞り、5歳の息子のさな指にその指輪を固くはめた。

ギザギザ模様が刻まれた母とのの証。

血まみれの父の唇がいた。

「勇気、これをしっかりはめてき延びろ」

父は息も絶え絶えに言った。

「母さんのところへくんだ」

父は微笑んだ。

「父さんはおからしている」

それが父の最の言葉であった。

記憶が終わった瞬、優の全から力が抜けた。

自分は親に捨てられた孤児ではなかった。

父が命をかけて自分を救ってくれたのである。

この指輪は、父が最の息を引き取るに息子の指にはめてくれた尊いの証であった。

25親に捨てられたと信じ、歯をいしばってきてきたのに、真実は全く逆であった。

の膝が崩れ落ちた。

病院の廊に座り込み、薬指の指輪を両で握りしめた。

からたのは言葉ではなく、泣き声であった。

30歳の男の体から、5歳の子供の鳴き声が溢れした。

文子がに座り込んだ息子を抱きしめた。

で固く、壊れるほど固く抱きしめた。

25ぶりに腕に抱いた息子であった。

文子も泣いた。

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も泣いた。

2の慟哭が病院の廊を満たした。

おんぶ紐のが父の泣き声に驚いて目をけた。

しかし泣かなかった。

祖母の腕に抱かれた父の顔を、さなで触りながらキャッキャとさな笑い声をあげた。

その笑い声に、文子の泣き声がもう度激しくなった。

25空っぽだった族という所が、この病院の廊でようやく満たされ始めた。

それから1という輝かしい歳が流れた。

病院の廊で互いを抱きしめ、泣きしたあの以来。

族には奇跡のような変化が1つ、また1つと訪れた。

最初にが戻ってきたのは妻の美咲であった。

義母である文子が国内最権威の医療チームを総員し、全面に支援した。

おかげで美咲は無事に腎臓の術を終えた。

分な回復期、文子は毎病院を訪れ、嫁のを握ってくれた。

最初は、企業の会である義母のですっかり恐縮していた美咲であった。

しかし文子の温かく変わらぬに、しずついていった。

退院する、美咲は義母のを固く握り、涙を浮かべた。

「お母様」

美咲は謝の気持ちを込めて言った。

「私のような嫁に、ここまでしてくださって本当にありがとうございます」

美咲は涙を流した。

このご恩は忘れません」

文子は嫁の青かった頬に血が戻るのを見て、にこやかに笑った。

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「ご恩だなんて」

文子は優しく言った。

「あなたが健康でいることが、うちの最の福よ」

それは25鉄の女と呼ばれ、を表にさなかった文子が見せた笑顔であった。

族ので初めて見せた、仮面のない笑顔であった。

にもしい始まりが訪れた。

遺伝子検査の結果がれ渡った。

建設会の実の息子であるという事実が、業界に広まった。

しかし優は、いかなる特別扱いも断固として拒否した。

の息子という肩きで入社すれば、自分が徹夜で描いた図面の価値が褪せてしまうと考えたのだ。

は面接に提した、まさにそのの設計図の評価だけで、建設の公募枠に堂々と首席で入社した。

入社、優は自分の建築哲学を証する会を待った。

そしてその会は、ったよりもく訪れた。

建設が主催した庶民宅革コンペである。

は、貧しく社会から疎された々のためのアパートの設計案を提した。

が自然に通り抜ける自然換気構造。

に疲れた誰もが気軽に入って休めるかれた共が核であった。

それは25に父と母が見て描いた、まさにその設計哲学であった。

父が命をかけて守った息子が、父のを自らので世に送りしたのである。

審査の結果、優の設計案は圧倒な1位を獲得した。

社会からきな注目を集め、建築専誌でも気鋭の建築の誕と優の名きく取りげた。

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