"「病院に行くな」と娘を閉じ込めた婿の本当の目的" 第11話
さやかの息は、プツリと切れそうな細い糸のようであった。
半きの瞳は、すでに虚空を放っていた。
その、シーツからハミた枯れ枝のような娘の指がいた。
私のの裾を、く握りしめた。
「お母さん、私を置いてかないで……」
かすかな声だった。
「あのが、私を殺そうとしてる……」
私は、娘のを握った。
「ここにいるわ。お母さんはここにいる。どこにもかない」
私は、涙をこらえて言った。
「お母さんがんでもあなたを守るから。もうすぐよ、病院はもうすぐ。目を閉じてしだけ休みなさい」
私は、娘に語りかけた。
「私のい子」
バックミラー越しに、驚愕と憐憫に染まったたけし君の瞳と目がった。
内はすぐにさやかの体から発する腐敗臭で満ちた。
しかし、私たちの誰もその匂いを気にしなかった。
目のには、病院の救急来というとの境界線があった。
そして、私は分かっていた。
あのドアを越えた瞬、これまで完璧に隠蔽されてきた渡辺健の恐ろしい殺劇が、医学ののでのに晒されること。
世を震撼させる真実のパンドラの箱がかれる瞬であった。
たけしのタクシーが、救急来の入りに急した。
私は、のドアを蹴破るようにしてびした。
喉が張り裂けんばかりに叫んだ。
「お医者様、助けてください!」
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私は、のを指差した。
「ここに患者がいます!ストレッチャーをお願いします!」
私の絶叫に、男性護師が輪付きの簡易ベッドを引いてびしてきた。
彼らが、シーツに包まれたさやかを持ちげただった。
そのあまりにも軽く、異常なさに護師のがハッと驚き、眉をひそめるのが見えた。
彼らは、消毒薬の匂いが充満する廊を駆け抜けた。
症・傷害用の処置へと、ベッドを押しながら疾した。
私は娘のたいを握りしめ、最まで追いかけた。
しかし、無な自ドアが閉まり、私をへと押しした。
いタイルの壁に背を預け、崩れるように座り込んだ。
私の体は、制御能にワナワナと震えた。
そばにっていたたけし君は、赤くなった目元を拭った。
何も言わずに、温かいお茶の入ったコップを渡してくれた。
分がのようにじられた。
周りでは救急のサイレン、械の警告音、々の泣き声が入り乱れ、修羅のようであった。
しかし、私のにはただつ、娘の浅いうめき声が聴のように響いていた。
分ほど経っただろうか。
ついに処置のドアがき、血のついたを着た初老の男性がてきた。
胸には「救急科部」という名札がある。
その顔は、恐ろしいほどに直していた。
く刻まれた眉のシワと鋭いが待を見渡した。
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そして、私に突き刺さった。
彼は、々しい声で尋ねた。
「先ほど搬送された女性患者のご族の方ですか?」
私は、ちがって答えた。
「はい。私が母親です」
私は、すがりつくように言った。
「先、娘のさやかはどうなりましたか?体どんな珍しい病気であんな状態に……?」
私は転がるように駆け寄り、医師の腕にすがりついた。
しかし、医師はすぐには答えなかった。
私を見る彼の差しは、非常に奇妙であった。
それは、報を伝える医師の同ではなかった。
極度のり、困惑、そして息詰まるような緊張が入り混じった差しであった。
彼は私のをゆっくりと引き剥がし、属な響きを帯びたい声でをいた。
「お母さん、落ち着いてください」
彼は、静かに言った。
「ひとまず、用量の抗物質と剤を投与し、当面の命は繋ぎ止めました」
彼は、私の目を真っ直ぐに見た。
「しかし、これから私がお聞きすることに、点の偽りなくお答えいただかなければなりません」
彼は、問い詰めるように言った。
「患者さんは、誰と暮らしていますか?」
彼は、声を荒げた。
「か倉庫のような所に、何ヶも監禁されていたのですか?」
私は、ハンマーでを殴られたように呆然とした。
「ですか?監禁ですって?」
私は、首を横に振った。
「違います。階の自分の部で、夫と緒に暮らしていました」
私は、健から聞いた話をそのまま伝えた。
「義理の息子が言うには、娘は免疫系の珍しい病気で絶対静が必だと。
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