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"「母に腎臓をくれ」と泣いた夫――手術直前、私は提供を取り消した" 第3話

なぜ私は自分の体を切り刻んでまで、このたちを助けようとしたのか。

その答えは、私が守りたかった「族」というにあった。

結婚して25、私の常は常に夫と義母のためのものだった。

朝は誰よりもく起き、2のために朝を作る。

義母が同居を始めた10から、卓の空気はさらにたくなった。

「今噌汁、いわね」

義母は、私が丁寧に汁を取ったお椀の先でコツコツと叩きながら言った。

「血圧を気にしているのは分かるけど、これじゃまるでお湯よ」

夫の浩司はスマートフォンから目をさない。

ただ黙々とべるだけである。

「すみません。はもうえますね」

私はそう言いながら、自分のめたご飯をに運んでいた。

これがの毎景だった。

私がどれだけを砕いても、義母からの謝の言葉はない。

夫もまた、嫁姑のたい空気を見て見ぬふりをしてきた。

私はいつも、台所のシンクの隅でたいを晒しながら、静かに息を吐きしていた。

それでも私がることもなく続けたのには、理由があった。

それは、私たちがんでいるこのが、き父が残してくれた切な所だったからだ。

父は、私が結婚する、古くなった実を取り壊し、しいを建てるための資を援助してくれた。

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父は優しく言った。

「由美、このはおを守るためのものだ」

父は真剣な顔で続けた。

「何かあっても、ここがおの帰る所になるからな」

父はそう言って、私名義のとしてこの所を残してくれたのだ。

仏壇にある父の遺を見るたび、私はその言葉をしていた。

義母の嫌が折れそうになったも、夫の無関に涙がそうになった夜も。

私はお線りを嗅ぎながら、このだけは守り抜くとに決めていた。

それは父への謝であり、私自でもあった。

状況が変わったのは、今からちょうど半ほどのことだ。

持病があった義母の腎臓の数値が急激に悪化し、医師から移植を勧められた。

最初は親族が集まり、話しいがわれた。

しかし、義母の妹たちも、夫の兄弟たちも、皆それぞれに理由をつけて検査すら拒否した。

齢だし、私たちも無理はさせられないわ」

「俺たちにはこれからの活があるからな」

親族会議は、たい沈黙のまま終わった。

誰も義母のために、自分の体を差しそうとはしなかったのだ。

その夜、夫はリビングのソファにく座り込んでいた。

で顔を覆って泣いていた。

「親戚の連……誰も母さんを助けようとしない」

夫の声は震えていた。

「このままじゃ母さんは……」

私はそんな夫の姿を見て、胸がく締め付けられるいだった。

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そして、私が検査を受けると伝えた

夫はに膝をつくようにして泣き崩れたのだ。

「由美、ありがとう。本当にありがとう」

夫は私のを握った。

「おだけが、俺たちの本当の族だ」

夫のその涙を、私は信じてしまった。

この25たい卓の端で孤独をじていた私にとって。

「本当の族」という言葉は、何よりも欲しかったものだったのだ。

私の腎臓を提供すれば、義母もしは私を認めてくれるかもしれない。

夫とも、もう度夫婦としての絆を取り戻せるかもしれない。

そう信じて、私は過酷な術検査と厳しい事制限を受け入れた。

腎臓を提供するドナーとしての活は、決して楽なものではなかった。

採血の度に、私の両腕には青黒い痣が増えていった。

徹底した塩分とタンパク質の制限。

のしない茹で野菜ばかりをべる々。

それでも私は夫と義母のために、毎温かい料理を作り続けた。

「お義母さん、これならべやすいですか?」

そう聞いてみても、義母は相変わらず無言で箸をめるだけだった。

夫も、「俺はべてくるから」と夕べないが増えていった。

「ドナーの準備で疲れているだろうから、無理に事を作らなくていいよ」

夫はいつも優しい言葉をかけてくれた。

しかしその声は、どこか空々しく響いていた。

えば、夫がを増やしていたのは、私を気遣っていたからではない。

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