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"「母に腎臓をくれ」と泣いた夫――手術直前、私は提供を取り消した" 第15話

夫は必ず言い逃れをし、義母は泣き真似をして私を悪者に仕げる。

そして私がた隙に、実の権利や印鑑を無理やり奪おうとするだろう。

だからこそ私は、彼らが絶対に逃げられない所を選んだ。

病院の医師、倫理委員会のスタッフ、そして親族が集まるこの所。

彼らが最も『いい』を演じなければならない、この術の直という台。

ここで彼らの嘘を全て暴くことこそが、私にとっての唯の正解だったのだ。

「先方、お騒がせして申し訳ありません」

私は医師たちに向かってげた。

「私はこれまで、義母を助けるためにからドナーになる決をしていました」

私の声は静かで、微かに震えていた。

それは嘘の演技ではなく、25いが裏切られた本当のしみだった。

「ですが、彼らは私を族ではなく、ただの臓器を運ぶ入れ物として扱っていたのです」

術が終われば私はを奪われ、捨てられる運命でした」

倫理委員会のスタッフが信じられないという表でメモを取りした。

「佐藤さん、それは事実ですか?」

スタッフの問いかけに、私ははっきりと頷いた。

「やめろ由美!でたらめを言うな!」

夫は顔を真っ赤にして叫んだが、その声にはもはや何の力もなかった。

彼はまだ勝ったつもりでいたから引きずりろされたばかりなのだ。

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しかし、本当の獄はこれからだ。

私はバッグのを入れると、用していた最初の類を静かに取りした。

そのい封筒の表きを見た瞬、夫のが震え始めるのを私は見逃さなかった。

私がバッグから取りしたい封筒。

それを見た瞬、夫の顔は恐怖と焦りでひどく歪んだ。

「やせろ!それ以変なものをすな!」

夫は私に向かってを伸ばし、その封筒を引に奪い取ろうとした。

私は素がり、封筒を胸に抱き込んだ。

夫のが空を切り、無様な音をてて廊の壁にぶつかった。

「痛っ……!お、いい加減にしろよ!」

夫は壁にぶつけたをさすりながら、私を鋭く睨みつけた。

その目はもはや連れ添った妻を見るものではない。

自分の計画を邪魔する敵に向ける憎悪と苛ちに満ちた目だ。

昔の私なら、夫のこのった顔を見るだけで恐ろしさにが震え、すぐに謝っていたことだろう。

しかし今の私は、壁を叩いて顔を赤くしている夫の姿がただ滑稽にしか見えなかった。

「浩司さん、落ち着いてください。病院内で暴力を振るうことは許されません」

倫理委員会のスタッフが、夫と私のに静かに割って入った。

担当の医師も厳しい顔で夫を制止している。

夫はハッとしてに返り、慌てての良さそうな笑顔を作った。

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「す、すみません先。違うんです。妻は極度の緊張でが混乱しているんです」

夫は私を指差し、いかにもなものを見るような目つきをした。

術の直になって、自分の体にメスを入れるのが怖くなったんでしょう。だから婚だのだの、ありもしない妄を作りげて逃げようとしているんです」

夫のその苦しい言い訳に、子の義母もすぐに同調した。

「そうよ。この子は昔から自分の都が悪くなると嘘をつくんです」

義母は子の肘掛けをく叩き、声を震わせた。

まるで自分が被害者であるかのように、目には嘘の涙まで浮かべている。

「私はこの子を本当の娘のようにがってきたのに、こんな事なに嘘をついて私を見殺しにする気なのね」

病気に苦しむれな老婆を演じる義母の姿は、とても堂々としたものだった。

その真に迫る演技に、妹の恵子も顔をしかめた。

「お義姉さん、いくら何でもひどいわ。浩司ちゃんが浮気だなんて証拠もないのに。術が嫌なら最初からそう言えばよかったじゃない」

恵子は私をたい目で見し、夫と義母側にった。

親族3が束になって、私を嘘つきの狂った女に仕げようとしている。

彼らは、数に物を言わせれば私が折れると信じているのだ。

これまでの25、私が波てないように全ての理尽をみ込んできたように。

「由美、もう茶番は終わりだ。先方にも迷惑がかかっているだろう」

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