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"「母に腎臓をくれ」と泣いた夫――手術直前、私は提供を取り消した" 第20話

私の声は広い病の隅々にまで届くようにはっきりと響いた。

「ですが、彼らは私を族ではなく、を奪うための具としてしか見ていませんでした。このような関係性ので自分の体の部を提供することは絶対にできません」

私は医師の目を真っ直ぐに見つめ、最の言葉をにした。

「私は、臓器提供の同を正式に撤回します」

その宣告が響き渡った瞬、夫の肩がガクンと力なく落ちた。

義母は「ああっ……」と気の抜けたような声を漏らし、そのまま顔を伏せた。

彼らがい描いていた完璧なシナリオは完全に崩壊したのだ。

担当の医師は私が提した撤回にゆっくりと目を通した。

そして机のに置かれたカルテをパタンと閉じた。

その乾いた音が、術の止を決定づける図となった。

「確認しました。ごでこのようなな背信為があり、ドナーご本の同が撤回された以、当院として術をうことは能です」

医師はがり、夫と義母をたい目で見ろした。

「本移植術は、直ちに止とします」

「せ、先お願いです!待ってください!」

義母が子からを乗りし、泣き叫んだ。

「私はどうなるんですか?このままじゃ……」

子さん、お母様。倫理委員会の規定により、当院での移植術はとなります。

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の治療方針については改めてご相談させていただきますが、本はお引き取りください」

医師の言葉は氷のように徹だった。

自らの欲によってきるための唯の希望を断ち切られた義母。

彼女は両で顔を覆い、声を殺して泣き崩れた。

その泣き声を聞いても、私のには何のも湧きがらなかった。

しくもない。

ただ当然の報いがっただけのことだ。

私はゆっくりとがり、黒いバッグを肩にかけた。

25私を縛りつけていた目に見えない鎖が、音をてて砕け散っていくのをじる。

「由美、待ってくれ!俺が違っていた!」

夫が震える声で私を呼び止めた。

「もう度だけ話しおう。おにはさない。美穂とも別れる。だから母さんを助けてやってくれ!」

夫の目は充血し、惨めなほどに懇願していた。

彼はまだ自分が謝れば私が許してくれるとでもっているのだろうか。

私はを止め、振り返らずに答えた。

「話しい?私の署名だけがない、あの緑婚届けをにしてですか?」

その言葉に夫は再び息を呑んだ。

私が彼の鞄のにあった婚届けのことまで全てをり尽くしている。

彼らが隠していた嘘は、もうつ残らず私に握られているのだ。

私は彼らを振り返ることなく、会議のドアのノブにをかけた。

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会議たい属のドアノブにをかけたまま、私は静かにきを止めた。

そのまま部ていくつもりだった。

すでに私の臓器提供同は撤回され、医師も術の止を宣言している。

私の最の目はここで果たされた。

しかし背から聞こえてきた夫の惨めな言い訳が、私のしだけ引き止めたのだ。

「由美、誤解なんだ。俺は美穂に騙されていたんだよ!」

夫のその言葉に、私はゆっくりと振り返った。

彼は今、自分の保のためについて先ほどまで「本当の族」と呼びしていたはずの女性をあっさりと売ろうとしている。

美穂は信じられないという顔で、夫の腕を力く掴んだ。

「浩司君、何言ってるの?私たち緒にあのを売ってマンションを買うって……」

「黙れ!おがそそのかしたんだろうが!」

夫は美穂のを乱暴に振り払い、彼女をい力で突きばした。

パイプ子にぶつかり、美穂がに倒れ込む。

その見苦しい責任のなすりつけいに、私は静かなため息をついた。

どこまでも自分の非を認めようとしない男だ。

私は再び自分の席へとゆっくり戻った。

そしてバッグのに残っていた最類を机のに取りした。

「あなたが騙されていたというのは、半分だけ本当かもしれませんね」

私が静かな声でそう言うと、夫はすがるような目を私に向けた。

「そうだろう!俺は魔が差しただけで、本当に悪いのはこの女なんだ!」

「美穂さん」

私は夫の醜い言い訳を完全に無して、で泣き崩れているに声をかけた。

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