みかん小説
本棚

"孫の一言で知った息子の計画" 第6話

私を確実に社会に抹殺するために周到に練りげられた、酷無比な殺未遂にも等しい犯罪為だったのだ。

私はスマートフォンを取りし、引きしのメモ、通帳のコピー、施設のパンフレット、そしてマーカーの引かれた医学のページのすべてを、ブレしないよう角度を変えながら鮮に撮した。 護師経験が、医療事故や法トラブルの現で培われたプロとしての徹な判断力を呼び覚まし、「今はに流されず、裁判で絶対に覆らない完全な証拠を保全することが最優先だ」と私の理性に命じていた。

ようとしたその元のゴミ箱のに捨てられていたさなレシートの切れ端が目に入った。 拾いげて広げてみると、それはあのドラッグストアで発された眠導入剤の購入領収だった。 印字された付を確認すると、なんとから、おきに定期に同じ薬が購入され続けていたことが判した。

つまり、私に対する薬物の混入と体内投与は、すでにものにわたって、執拗に実され続けていたのだ。

の毛穴からりが噴きし、体がりでワナワナと震えた。 どうりで、ここ最ずっと原因の激しい倦怠に襲われ、がかかったようになり、常の些細な物忘れが増えていたはずだ。

広告

あれは私の老化などではなく、すべて息子夫婦が私に毒を盛り続けていた直接の結果だったのだ。

リビングに戻り、私はソファにく腰を沈めた。 閉じた瞼の裏に、これまでの幸との温かなが、馬灯のように駆け巡っていった。

『母さん、好き!』 だらけになって公園からり寄り、満面の笑みで私の胸にび込んできた、幼い幸のぬくもり。

『僕、将来は母さんみたいに、病気のや困っているを助けられる、派なになりたいです』 指導の作文に、拙い文字でそういて私に見せてくれた、誇らしげな息子の横顔。

『母さん、これまで俺のために苦労ばかりかけて本当にありがとう。これからは、俺が派に働いて、母さんを絶対に幸せにするからね』 結婚式の披宴の席で、束を抱えながら涙を流して私に誓ってくれた、あのな言葉。

(あの言葉のすべてが、嘘だったというの……?)

いや、あの幸の涙と謝の言葉には、違いなく偽りのない真実のが宿っていたはずだ。 では、私の息子は、体いつからこれほどまでに酷な怪物へと変わり果ててしまったのか。

美咲と結婚してから、幸のからる話題は確かにおのことばかりになっていた。 への買い替えやブランド品の購入、周囲への見栄を張るための費がかさみ、私の額や預貯の残について、探りを入れるような躾な質問が増えていた。

広告

しかし、いくらに困っていたからといって、まさか実の親を薬漬けにして施設へ放り込もうなどという恐ろしい凶を染めるなど、にもっていなかった。

夕方、玄関のドアがき、息子夫婦が帰宅した。

「ただいま、母さん」

幸のその声を聞いた瞬、私の胃の腑が激しく痙攣し、烈な吐き気と悪寒が全を襲った。 しかし、私はの経験で培った鉄の自制で表筋をコントロールし、完璧な平静を装って玄関へと迎えた。

「お帰りなさい。楽しかった?」 「うん! おばあちゃん、今ね、物園できなキリンさんを見たんだよ!」

無邪気に駆け寄ってくる湊の満の笑顔だけが、私の張り裂けそうなの唯の救いであった。 この罪のない無垢な孫には、何の罪もない。 しかし、このままこのにいれば、このしい孫さえも、いずれ両親の醜悪な犯罪の共犯者や犠牲者として歪んで育ってしまうかもしれない。

「お母さん、お留守番でお疲れでしょう。今、温かいお茶を淹れますね」

美咲が、いつものように優しげな笑みを浮かべながら台所へ向かおうとした。 その笑顔の裏に潜む底れぬ悪酷さをってしまった今、彼女のすべての所作が、吐き気を催すほど々しい劣な演技にしか見えなかった。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: