"ただいまの裏にあった10年" 第5話
結婚すれば、嘘のにさらにしいを積みねることになる。
その事実を、男性は誰にも言うことができなかった。
平成6、平成7とが過ぎた。
帰還から8。
失踪からは10がづいていた。
所にも職にも、男性の正体を疑う者はいなかった。
本孝志も同じ職で普通に接し、には緒に昼を取った。
ただ、本だけはっていた。
目ので「佐藤健」と呼ばれている男が、本物ではないことを。
平成7の。
かず子は再び見いを勧めた。
「今度こそ、し考えてみない?」
男性はしばらく迷った、初めて向きに頷いた。
「分かった。母さんに任せるよ」
かず子は目を輝かせた。
になったら話をめよう。
今度こそ息子にしい庭ができるかもしれない。
佐藤の未来が、ようやくるい方向へみ始めたようにえた。
その頃、別の所で本孝志は、ある決断をしようとしていた。
平成710。
佐藤へ、1つの包が届いた。
夕方、配達員から荷物を受け取ったのは誠だった。
「佐藤様宛てです」
箱はそれほどきくなかった。
差の欄を見ると、名も所もかれていない。
「誰からだろう」
誠は議にいながら居へ運んだ。
かず子も台所から顔をした。
「何か届いたの?」
「差がないんだ」
包装を慎にくと、から製のさな箱が現れた。
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何の文字もかれていない。
誠はし迷ってから蓋をけた。
にはい布に包まれたものと、1通のが入っていた。
最初にを取りげた。
便箋には、った字でい文章がかれていた。
「本物の息子さんをお返しします」
誠のが止まった。
「どうしたの?」
背から覗き込んだかず子も、その文字を読んだ。
「本物の……息子?」
2は顔を見わせた。
が分からなかった。
誠はい布をゆっくりいた。
に入っていたものを見た瞬、息を呑んだ。
さな骨の部だった。
そして、その横には腕計が入っていた。
ステンレス製の古い腕計。
誠は震えるで取りげた。
見覚えがあった。
忘れられるはずがなかった。
裏返す。
傷のついた裏蓋に、文字が残っていた。
「佐藤健」
かず子がさな鳴をげた。
「それ……健の……」
卒業の、誠が息子へ贈った腕計だった。
昭60815の朝も、健はその計をにつけてをた。
ところが昭62に帰ってきた男性は、その計を持っていなかった。
当は2の放浪活ので失くしたのだろうと、誰も気にしなかった。
誠は箱の底にもう1枚のがあることに気づいた。
取りしてく。
そこには、さらにい文章があった。
「DNA鑑定をお勧めします」
居から音が消えたようだった。
壁の計の針だけが、規則正しくいている。
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「あの子は……誰なの?」
かず子がようやくをいた。
誠は答えられなかった。
毎朝「ってきます」とをる息子。
夜になれば「ただいま」と戻る息子。
8、族として暮らしてきた。
母親の卵焼きをび、父親の仕事を習い、病気になれば配し、正には緒に初詣へった。
その男が本当の健ではないというのか。
誠は話へを伸ばした。
岡警察署へ連絡すると、しばらくして刑事が佐藤へ駆けつけてきた。
かつて健の失踪を担当し、昭62には帰還した男性の元確認にもち会った刑事だった。
はすでに53歳になっていた。
「これです」
誠は包を差しした。
は袋を着け、骨と腕計、を1つずつ確認した。
腕計の裏蓋を見た、表が変わった。
「佐藤健……」
「私が卒業のに贈った計です。違いありません」
「失踪当も?」
「着けていました」
は黙って頷いた。
「骨については鑑定が必です。すぐに配します」
そして、現「健」として暮らしている男性の居所を尋ねた。
「です。今は遅番なので、夜まで戻りません」
「分かりました」
はし考えた。
「鑑定結果がるまでは、本には何も言わないでください」
誠とかず子は頷いた。
包は証拠品として警察へ運ばれた。
が帰った、2はしばらくリビングからけなかった。
「誠さん」
かず子の声は震えていた。
「もし、あの骨が健だったら……」
「まだ分からない」
誠は自分自へ言い聞かせるように答えた。
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