"ただいまの裏にあった10年" 第6話
「結果がるまでは何も分からない」
しかし、の奥には消せない予があった。
あの腕計は本物だった。
誰かが、失踪した健から受け取ったか、奪ったか、あるいは健と緒に保管していたことになる。
3。
刑事が再び佐藤を訪れた。
玄関にったから、その表で結果が分かった。
「佐藤さん」
誠とかず子が並んで座る。
はゆっくり告げた。
「包に入っていた骨からDNAを採取し、ご両親との関係を調べました」
呼吸置いた。
「あの骨は、お2の実子である能性が極めていという結果です」
かず子の顔から血の気が引いた。
「つまり……?」
「本物の佐藤健さんは、すでにくなっていたと考えられます」
かず子の体が崩れ落ちた。
誠が慌てて支えた。
は続けなければならなかった。
「そして現、佐藤健さんとして暮らしている男性は、別です」
そのの夜。
いつものに玄関がいた。
「ただいま」
8聞き続けてきた声だった。
男性が居へ入ると、両親のほかに刑事が座っていた。
「ただいま。……あの、こちらは?」
男性は戸惑いながら尋ねた。
が警察帳を見せた。
「岡警察署のです。しお話を聞かせてください」
その瞬、男性の表が変わった。
父と母を見る。
2とも目をわせなかった。
男性は何かを悟ったように黙り、促されるままソファへ座った。
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はテーブルのへ、包とを撮した写真を置いた。
「これをごじですか」
男性は写真を見た。
腕計。
い布。
骨。
しばらくかなかった。
「っています」
さな声だった。
かず子が息を呑んだ。
は真っ直ぐ男性を見た。
「あなたは佐藤健さんですか?」
い沈黙の、男性は首を横に振った。
「いいえ」
「健……」
かず子のから無識に名が漏れた。
男性の顔が歪んだ。
誠は拳を握りしめた。
「じゃあ、おは誰なんだ」
男性は両親の顔を見た。
目に涙が浮かんでいた。
「私の本当の名は、田誠です」
父の誠と同じ名だった。
しかし佐藤とは何の血縁もない男だった。
田は震える声で話し始めた。
「昭62、ここへ来るしに、あるから頼まれました」
「何を頼まれた」
が尋ねた。
「佐藤健として、このへ入れと言われました」
かず子は元を押さえた。
田は続けた。
「記憶喪失を装えば、両親は受け入れる。佐藤健の報も全部教える。体の特徴も似ているから丈夫だと」
の傷も、肩の傷も、本物の健と偶然似た位置にあった。
も体格もかった。
本から族構成、、所、健の性格や過について教え込まれたという。
「なぜそんなことをした」
誠の声はかった。
田は俯いた。
「のためです」
当、田にはがなかった。
仕事もなく、べるものにも困っていた。
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町を転々としながら、そのをきるだけの活をしていた。
「活費をす。うまく佐藤に入れたら、そのも困らないようにすると言われました」
「誰に」
の声が鋭くなった。
田は顔をげた。
「本孝志さんです」
誠とかず子が同に息を呑んだ。
健の同僚。
健が失踪した当も、同じにいた男。
帰還した「健」が復職したも、すぐくで働いてきた物だった。
「本が……?」
誠がちがった。
「なぜ本がそんなことをするんだ」
田は首を横に振った。
「詳しいことは教えてもらえませんでした。でも、何かを隠していることは分かっていました」
「本物の健がどうなったかは?」
「りません」
「嘘をつくな!」
誠の鳴り声が響いた。
田は肩を震わせた。
「本当にりません。私は、本さんから佐藤健の代わりになれと言われただけです」
はすぐ署へ連絡した。
「本孝志の所を確認してくれ。柄を確保する」
話を終えると、田へ向き直った。
田はすでに抵抗する気力も失ったようだった。
「佐藤さん」
両親へ向かってくをげた。
「本当に申し訳ありませんでした」
かず子は泣いていた。
「全部……嘘だったの?」
その問いに、田はすぐ答えることができなかった。
「最初は嘘でした」
声が詰まった。
「帰ってきたふりをしたことも、記憶を失ったと言ったことも全部です」
「じゃあ、卵焼きが好きだって言ったのも?」
田の目から涙が落ちた。
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