"ただいまの裏にあった10年" 第10話
へ入るべきか迷うように、入付でち止まっていた。
親戚の何かが気づき、さなざわめきが起きた。
事をっている者もかった。
田は線をげた。
自分にはここへ来る資格がない。
そうっていることが、その姿から伝わった。
かず子が振り返った。
田と目がった。
田はくをげた。
かず子は何も言わず、静かに頷いた。
田は最列に座った。
読経を聞きながらをわせた。
「健さん、申し訳ありませんでした」
ので繰り返した。
「あなたの名を使いました。あなたのお父さんとお母さんを、自分の親のようにってしまいました」
葬儀が終わり、々が帰り始めた。
田もちろうとした、誠から声をかけられた。
「田さん」
振り返る。
「し話しませんか」
3は寺の庭へた。
が吹くたび、桜のびらがゆっくり落ちた。
「来てくれたんですね」
かず子が言った。
田は頷いた。
「でも、本当は来てはいけなかったのかもしれません」
誠は首を横に振った。
「そんなことはない」
田が顔をげた。
「あなたは健ではなかった。でも、健として8きた。そのまで消す必はないでしょう」
田の目から涙が落ちた。
「すみません」
「もう謝らなくていいの」
かず子が静かに言った。
「これからどうするの?」
誠に尋ねられ、田は答えた。
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「岡をれようといます。しい所で、自分の名でやり直します」
かず子はし寂しそうにした。
8、息子として暮らしたがいなくなる。
正体をるとは違う。
それでも寂しさまで消えるわけではなかった。
「々、お墓参りに来てもいいでしょうか」
「もちろん」
誠とかず子は同に頷いた。
数週、田は岡をれた。
潟内のさなアパートを借り、で働き始めた。
今度は佐藤健ではない。
田誠としての活だった。
それでもに1度ほど、岡へ戻った。
健の墓へを供えるためだった。
最初は佐藤夫妻と会わないを選んでいた。
だがある、墓で偶然3が顔をわせた。
「あら、田さん」
かず子が驚いた。
田は慌ててをげた。
「すみません。勝に来てしまって」
「何言ってるの。緒にお参りしましょう」
3は並んで墓へった。
線をげ、をわせた。
「健は優しい子だったの」
かず子が静かに言った。
「きっと、あなたのことも分かってくれるとうわ」
田は何も答えられず、ただ涙を拭いた。
それから3は、折緒に墓参りをするようになった。
最初はぎこちなかった。
だがとともに、3のには以とは違う関係がまれた。
親と息子ではない。
赤のとも言い切れない。
名のつかない関係だった。
平成9の正。
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田は始の挨拶に佐藤を訪れた。
玄関先で迷っていると、かず子が扉をけた。
「あら、田さん。けましておめでとう。寒いでしょう、入って」
「でも……」
「いいから」
居には誠が座っていた。
「おめでとう。まあ座りなさい」
かず子がお茶をした。
仕事のこと。
健康のこと。
最の岡のこと。
話している内容は、普通の族の会話と変わらなかった。
「そういえば」
かず子が何気なく尋ねた。
「いいはいないの?」
田はし照れた。
「実は……います」
「本当?」
かず子の顔がるくなった。
誠も頷いた。
「それは良かった」
しかし田の表はすぐ曇った。
「全部話さないといけないとっています。私が何をしたなのか」
誠は静かに答えた。
「話した方がいい。それが、自分のを始めるということだ」
「はい」
「結婚することになったら教えてね」
かず子が言った。
「私たちもお祝いしたいから」
田は驚いた。
「いいんですか」
「あなたが幸せになることを願うくらい、いいでしょう」
田はくをげた。
偽物として入ったで受けただけは、偽物ではなかった。
平成10の。
田誠は結婚した。
相は潟内で護師として働く女性だった。
田は結婚を決めるに、自分の過を全て話した。
む所もなかった頃、のために本孝志の依頼を受けたこと。
佐藤健という別を名乗り、岡の佐藤へ入ったこと。
8、両親を騙し続けたこと。
裁判を受け、執猶予となったこと。
そして、その8の途から佐藤夫妻を本当の族のようにするようになったことも話した。
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