みかん小説
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"ただいまの裏にあった10年" 第11話

女性は黙って聞いた。

全てを聞き終えた、静かに言った。

「過を隠さず話してくれたことが嬉しいです」

さな結婚式がわれた。

招待客はくなかった。

しかしそこには誠とかず子の姿があった。

「おめでとう、田さん」

誠が肩を軽く叩いた。

かず子は涙を浮かべながら束を渡した。

「幸せになってね」

「ありがとうございます」

げた。

式の、4は健の墓へ向かった。

は墓ち、静かに報告した。

「健さん、私、結婚しました」

に桜のびらがっていた。

「あなたの名を使ってご両親と暮らしたは、嘘から始まりました。でも、あので教えてもらったことは本物でした」

は隣につ妻を見た。

「これから自分の族を作ります。お父さんとお母さんから教えてもらったような、温かい族にしたいといます」

かず子は田の妻のを握った。

「この、よろしくね」

妻は笑って頷いた。

「はい」

翌平成11

夫妻に男の子がまれた。

は赤ん坊を連れて岡の佐藤を訪ねた。

「名を正にしました」

誠とかず子が顔を見わせた。

「正?」

「はい」

し照れたように笑った。

「私の名の『誠』を識した音と、健さんの『』を残したかったんです」

かず子は赤ん坊を抱いた。

さなが、かず子の指を握った。

「正ちゃん」

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目から涙が溢れた。

しかし、それはかつて健を待ち続けていた頃の涙とは違った。

しい命を迎えた涙だった。

方、本孝志は刑務所で役を続けていた。

ある本のもとへが届いた。

は佐藤誠だった。

本は封筒をけた。

本さん。々あなたのことをいます。健を失ったしみは消えません。でも、あなたも自分の罪ので苦しんできたことは分かっています。いつかが来たら、健の墓へ来てください」

本は便箋を握ったまま、く泣いた。

平成13815

の命

佐藤には田夫妻と幼い正が来ていた。

5は仏壇のへ座った。

「健、今もみんな来たぞ」

誠が写真へ話しかけた。

かず子は正を膝へ乗せた。

「正ちゃん。このが健おじさんよ」

幼い正も分からないまま写真へを伸ばした。

は静かにわせた。

「健さん。私はあなたにはなれませんでした」

度息をえた。

「でも、あなたのお父さんとお母さんから族の切さを教わりました。それをこの子にも伝えていきます」

誠が頷いた。

「それでいい」

には静かなが流れた。

誰も無理に話そうとしなかった。

それでも、かつてのようなしい沈黙ではなかった。

平成15

本孝志が刑務所をた。

岡へ戻った本が最初に向かったのは、健の墓だった。

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には誠とかず子が待っていた。

「佐藤さん……」

本の声が震えた。

誠は静かに頷いた。

「来たんですね」

3は並んで墓った。

本は線げ、げた。

「健さん。本当に申し訳ありませんでした」

、顔をげなかった。

「これからも忘れません。、あなたに謝り続けます」

かず子が本の肩へを置いた。

本さん」

本が顔をげる。

「もう過は変えられません。だから、これからはを向いてきてください」

「でも私は……」

「忘れろと言ってるんじゃないの」

かず子は静かに首を横に振った。

「忘れずに、きてください」

本は涙を流した。

代は再び変わった。

誠は87歳、かず子は85歳になっていた。

2とも若い頃のようにはけなくなったが、今も岡ので暮らしていた。

誠は、変わらずに1度ほど族を連れて訪ねてきた。

息子の正も20歳になっていた。

「おじいちゃん、おばあちゃん、ただいま」

玄関から元気な声がする。

かず子はゆっくりがった。

「お帰り、正ちゃん」

誠も笑った。

「またきくなったな」

「もう20歳だよ、おじいちゃん」

リビングに笑い声が広がった。

と佐藤夫妻のに、血のつながりはない。

誠も、本来なら佐藤とは無関係のだった。

その関係は、1つのきな嘘から始まった。

62、田の息子になりすまして「ただいま」

と玄関へった。

かず子は本当の息子だと信じ、抱きしめた。

誠も息子だと信じ、仕事を教えた。

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