みかん小説
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"清掃員が書いた設計図" 第5話

と決めつけられている。

悔しかった。

だが、証できない。

実物の部品は割れている。

岡部は最に、隅にいたゆいを見た。

「清掃員まで雇ってるんですね」

ゆいは反射げそうになった。

「その件費を技術者に回した方がよかったんじゃないですか?」

岡部の部さく笑った。

ゆいの指がくなるほど雑巾を握った。

「すみません」

いつもの言葉が喉までた。

しかしなかった。

なぜ謝らなければならないのだろう。

自分は仕事をしている。

誰よりく来て、誰より遅く帰る。

そして、このの部品が割れる原因もっている。

それなのに、学歴だけで何もらないとして笑われている。

胸の奥に、さな炎が灯った。

岡部たちが帰った

夫は事務で座っていた。

机のには2000万円の請求

の頃に撮ったの集写真が壁に掛かっている。

父も写っていた。

若い頃の夫もいる。

「親父……」

声がかすれた。

「ここまでかな」

その

事務の扉がさく叩かれた。

「社

ゆいだった。

「どうした?」

ゆいは入っている。

いつものようにし俯いていた。

しかしにしているのは雑巾ではない。

古いノートだった。

「見ていただきたいものがあります」

夫の目がノートへ向く。

「あれは……」

「はい」

ゆいは机のんだ。

ノートをいた。

数式で埋め尽くされたページ。

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「社

ゆいは震える息をみ込んだ。

「設計図面が違っています」

夫の目がきくなった。

「何だって?」

「元請け研究所が計算した応力値に誤りがあります」

ゆいはページを指した。

「今回の素材は、特定の温度域で組織変態が起きます。その区では膨張が線形ではありません」

夫には半分も理解できなかった。

だが、ゆいの顔を見た。

冗談を言っている顔ではない。

「この設計のままなら、どこので作っても割れます」

ゆいは続けた。

「社たちの技術が悪いんじゃありません」

その言葉を聞いた瞬

夫の表が変わった。

「……本当に?」

「はい」

「直せるのか?」

ゆいは頷いた。

「この補正式を使って程条件を変えれば、作れます」

「絶対か?」

瞬だけ、ゆいの目に迷いが浮かんだ。

6

誰にも認められなかった。

資格もない。

ていない。

それでも、ここだけは自分の識を信じなければならない。

「はい」

はっきり言った。

「私が責任を持ちます」

夫はしばらく黙っていた。

そして子からがった。

ゆいのまで来る。

節くれだったきなで、ゆいの両肩を掴んだ。

「ゆいちゃん」

目が赤くなっていた。

「ありがとう」

たった言だった。

けれど。

ゆいの頬を、筋の涙が流れた。

翌朝。

夫は始業に従業員5を集めた。

ゆいも呼ばれた。

いつもなら作業側で掃除をしているだ。

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皆が議そうに見る。

「今から加程を変更する」

夫は言った。

「その指示をすのは、ゆいちゃんだ」

数秒。

誰もを理解できなかった。

「……は?」

最初に声をげたのは、最の職だった。

「社、何言ってるんです?」

「聞こえなかったか?」

「だって、この子は清掃員ですよ」

別の従業員もを挟む。

「しかも卒でしょう?」

ゆいは俯いた。

やはりそうなる。

分かっていた。

しかし夫はじなかった。

「学歴で部品が削れるのか?」

誰も答えない。

「おらは何やった?」

「……」

「何回割った?」

「でも社――」

「反対するなら、おが成功させてみろ」

夫の声が鋭くなった。

「できないなら、今はこの子の言う通りにやれ」

い空気が流れた。

ゆいはげた。

「よろしくお願いします」

返事はなかった。

それでも、作業は始まった。

ゆいは最初に処理条件を説した。

「設定温度を3度げてください」

が眉をひそめる。

「3度?」

「はい。それから昇温速度を毎分0.5度ずつ調します」

「そんな細かいことしてあるのか?」

「この材料のはあります」

「どこで覚えた?」

質問に、ゆいはし黙った。

「独学です」

が呆れたように笑った。

「独学ねえ……」

だが夫がそばにいるため、拒否はしなかった。

次に保持を20秒延ばした。

始のタイミングも変更する。

従業員たちは半信半疑だった。

部は指示通りにいた。

部は骨に満を表した。

卒に指示されるが来るとはな」

そんな声も聞こえた。

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