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"清掃員が書いた設計図" 第8話

「設計図通りに正確に加すればするほど、処理に同じ位置から亀裂が発します」

常務が技術本部を見る。

「どうなんだ?」

本部は答えず、ホワイトボードへづいた。

ゆいのいた式をから追う。

指で途の数値を確認する。

しばらく沈黙。

「これ……」

顔が青ざめていた。

「うちが使った解析よりい」

岡部がを挟む。

「しかし本部、研究所では博士が――」

「黙ってろ」

初めて本部く遮った。

ゆいは最の式をき終えた。

その本の線を引く。

「こちらが元設計で発する内部応力です」

次に、補正条件を示す。

「そして、今回私たちが採用した程では、ここまで減できます」

技術本部が完成品を見る。

また数式を見る。

さらに元の設計資料を確認した。

逃げはなかった。

「岡部君」

い声だった。

岡部の顔が引きつる。

「はい」

「彼女の計算は正しい」

が静まり返った。

「……え?」

「うちの設計が違ってる」

岡部の顔から、気に血の気が引いた。

「そんなはずは……」

「実測結果とも致してる」

「しかし、の博士たちが――」

ゆいが静かに言った。

「学歴は、数式の正しさを保証しません」

岡部が振り向く。

ゆいは逃げずに見返した。

「計算が正しいかどうかを決めるのは、誰がいたかではなく、式と結果です」

岡部は何も言えなかった。

常務がゆっくりといた。

「ということは」

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技術本部を見る。

良の原因は、こちら側にあったんだな」

「はい」

「それを請けの技術として処理した?」

「……そうなります」

常務の目が岡部へ向く。

「岡部部

「はい……」

「君は設計の再検証をせず、このへ2000万円の違約を請求したのか?」

「私は研究所の結果を信頼して――」

「それだけじゃない」

技術本部が言った。

夫さんから設計の能性を指摘された、検証を拒否したんだろ」

岡部の唇が震える。

「それは……」

「もしこのが廃業していたらどうするつもりだった?」

返事はない。

常務の声がさらにくなる。

「単なる設計ミスなら、まだ社内の技術問題だ」

「だが検証を拒み、責任を取引先へ押しつけ、違約まで請求したとなれば話は別だ」

岡部の膝から力が抜けた。

くの作業台へをつこうとした。

しかし支えきれず、そのに膝をついた。

このを「請けのクズ」と見していた男。

その目のには。

卒だと笑った清掃員がっていた。

夫さん」

常務取締役がた。

そして。

げた。

「このたびは、当社のな誤りによって変なご迷惑をおかけしました」

夫が目を見いた。

企業の役員が。

この狭い町の油染みのあるで、自分にげている。

「違約の請求は、もちろん直ちに撤回いたします」

常務は続けた。

「発した材料費、再加費、そのの損害についても、当社側で補償いたします」

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夫の目元がくなった。

「ありがとうございます……」

声が震える。

常務は次にゆいを見た。

「佐藤さん」

「はい」

「失礼ですが、あなたは……本当にこちらの清掃担当なのですか?」

ゆいはし困ったように笑った。

「はい」

「学歴は?」

卒です」

技術本部が信じられないという顔をした。

「この式を、どこで学んだんです?」

「独学です」

学には?」

っていません」

「研究に所属した経験は?」

「ありません」

本部はホワイトボードを見る。

そこに残された式は、元請け企業の研究所で何もの博士が検討しても到達できなかった解析だった。

「どうやって……」

ゆいはし考えた。

「図館です」

「図館?」

学を卒業してから6学の本を借りて勉しました」

常務も言葉を失った。

夫はそんなゆいを見ていた。

初めてへ来た

何度も折り直された履歴

「働かせてもらえるなら何でもします」

そう言ってげていた女。

その履歴かれた「卒業」という5文字だけで、世はこの才能を20回以捨ててきた。

常務が再びいた。

「佐藤さん」

「はい」

「今回の補正方法について、ぜひ当社と共同で特許化を検討させていただけませんか」

ゆいが目を見いた。

「私と……ですか?」

「あなたが考案した技術です」

さらに常務は夫を見る。

「そして、この部品については今、こちらのとの期供契約を提案したいと考えています」

夫の呼吸が止まったように見えた。

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