"ブラックカードを止めた10分後" 第2話
には黒いカード。
玲子が笑う。
「またそのカード。ほんと便利だよね」
「限度額ほとんど気にしなくていいから」
拓也は、百が目のにいるのを忘れたように言った。
「結婚したら玲子の族カードも作れるかな」
百はそこで初めて元がし緩んだ。
「それは無理だとう」
拓也が振り返る。
「何?」
「何でもない」
玲子は気にせず腕計を見た。
「そろそろこう。お義父様たち待ってるんでしょ」
「そうだな」
拓也は靴を履きながら、最に百へ言った。
「鍵、今には返してくれよ」
「分かった」
「の物も、自分の分だけ持ってけよ。具はほとんど俺が買ったんだから」
百は返事をしなかった。
ダイニングテーブルも、ソファも、寝のベッドも。
支払い記録を見れば、どの座からたかはすぐ分かる。
でも今説する必はなかった。
扉が閉まり、2の音が廊の向こうへ消えた。
百は静かな部を見回した。
5。
ここで朝を作り、拓也のスーツをクリーニングへし、義両親の誕を配し、旅の予約までした。
そして同に、自分名義の資産管理も続けていた。
拓也には、それが「何もしていない」に見えていた。
その事実が、婚そのものよりしだけ寂しかった。
玄関の扉が閉まった。
それから約10分。
百はリビングのソファに座り、スマートフォンからカード会社へ話した。
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本確認を終える。
「族カードが3枚発されていますよね」
『はい。ご主様、ご義父様、ご義母様のお名で3枚ございます』
「全部、今付で利用止にしてください」
担当者が確認する。
『ご族カード3枚、すべてでよろしいですか』
「はい」
『再発ではなく、解約扱いでよろしいでしょうか』
「お願いします」
話を切る。
3枚の族カードを作ったのは、結婚2目だった。
最初は拓也の1枚だけ。
張が増え、て替えが面倒だと言うので、百の本会員契約に族カードを追加した。
カードの種類を選んだのは百ではない。
担当者から利用実績に応じた位カードへの切り替えを提案され、必ならという程度で承諾しただけだった。
その翌。
茂の会社が資危を抜けた頃から、義両親の活も急に派になった。
典子が百へ言った。
「族で旅する、私たちだけ別会計って面倒でしょう。拓也のカードみたいなの、私たちにも作れない?」
百はし迷った。
でも族なのだからとい、2枚追加した。
典子は最初の、百貨で27万円。
茂はゴルフ用品と会で31万円。
次のは2で温泉旅館へき、18万円。
それでも百は何も言わなかった。
自分の運用益の範囲で分払えたからだ。
典子はその、2回の旅を当然のように楽しむようになった。
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茂は接待用の級でも族カードを使った。
拓也も、以は10万円を超える買い物なら相談していたのに、いつしか30万円、50万円でも何も言わなくなった。
百は細を毎確認していた。
止めようとったこともある。
でも。
『族が気持ちよく暮らせるなら』
そう考えた。
それが自分の優しさだとっていた。
今なら分かる。
説せずに与え続けることは、に相から現実をる会まで奪う。
拓也たちは本当に、自分たちの活準が自分たちの収入で成りっているとい始めていた。
カードを止める操作は、驚くほど簡単だった。
5で積みがった誤解に比べれば、数分で終わった。
百はそれ以、何もしなかった。
拓也の座に触れたわけでもない。
義父の会社のカードを止めたわけでもない。
ただ、自分の本会員契約に紐づいていた族カードを止めただけだった。
婚したのだから。
もう、族ではない。
それだけのことだった。
同じの夜。
レストランへ向かうのでも、典子は百の話をしていた。
「本当に、あの子は最までがなかったわね」
「今くらいやめろよ」
拓也はそう言いながらも、止める気はない。
「だって5よ。拓也がどれだけ頑張っても、あのはでのんびりしてるだけ。私、何度『しは働いたら』って言ったか」
茂も部座席から言った。
「拓也も甘やかしすぎたんだ。活レベルをげると、はそれが当然になる」
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