"48歳の誕生日、母親をやめました" 第4話
彦は玄関から叫んだ。
「親父、飯は適当にべてくれ」
そう言い残し、慌てて駅へ向かってりした。
会社に向かう満員ので、彦は考えていた。
あいつも1休めば気が済むだろう。
専業主婦のくせになんて甘えている。
俺は毎族のために、満員に揺られて稼いでいるんだ。
事なんて、し休めば誰でもできる簡単なことだ。
夜にはきっとごめんなさいと言って、夕を作っているはずだ。
彦はそう本気で信じて疑わなかった。
しかしその予は、しずつ狂い始めていた。
午3。
会社でパソコンに向かっている彦のスマートフォンが鳴った。
画面を見ると、忍が通っている病院からの着信だった。
彦は話にた。
「はい。彦ですが」
焦ったような護師の声が聞こえてきた。
「お父様がまだ病院にいらっしゃっていません」
彦は議にい、首をかしげた。
「ええ、今は病院のでしたか」
護師はし呆れたような声をした。
「はい。毎週曜の午3は、定期健診の予約が入っております」
護師は言葉を続けた。
「いつもは奥様が付き添いでいらっしゃるのですが」
彦は嫌な汗をかいた。
親父の病院の曜なんて、気にしたこともなかったからだ。
彦は慌てて言い訳をした。
「すみません。今は妻がしかけておりまして」
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護師は配そうに尋ねた。
「そうですか。お薬はりていますか?血圧のお薬はとてもです」
彦は適当に返事をして、そそくさと話を切った。
「あ、はい。分丈夫だといます」
薬の残りがあるかどうかなんて、るはずもない。
ただ1くらいまなくてもなんとかなるだろうと、軽く考えていた。
午6。
彦はいつもよりく会社をて、まっすぐにに向かった。
帰ったらガツンと文句を言ってやらなきゃな。
配よりも、妻に対する苛ちの方がきかった。
1を空けて、親父の病院まですっぽかすなんて非常識だ。
のまで来ると、彦はふとを止めた。
全体が、気なほど真っ暗だったからだ。
いつもならこのは台所にかりがついている。
換気扇からは、美しそうな夕の匂いが漂ってくるはずだ。
しかし今は何の音も聞こえない。
何の匂いもしない。
彦ののに、しだけ嫌な予がよぎった。
鍵をけて、暗い玄関に入る。
彦はきな声で呼んでみた。
「おい、久美子、いるんだろう」
だが、返事はない。
居の気をつけると、忍がソファでぐったりと横になっていた。
テーブルのには、朝べたラーメンのどんぶりがそのまま置かれている。
彦は忍の肩を揺すった。
「親父、丈夫か」
忍は々しい声で答えた。
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「昼から何もべていない。薬もんでいないぞ」
彦は慌てて台所に向かった。
流し台には洗われていない器が、積みになっている。
ゴミ箱は満杯で、し嫌な匂いが漂い始めていた。
洗濯のを覗くと、昨の夜から放置された洗濯物が入ったままだ。
のの空気が、たった1で淀んでいるようにじた。
いつもは綺麗だったが、急に汚くたい所に見えた。
彦はテーブルのに放り投げたノートに目をやった。
族運営マニュアル。
朝は笑いばしたその文字が、なぜか急にくじられた。
彦は震えるでスマートフォンを取りし、久美子に話をかけた。
無質なコール音だけが、静かな部に虚しく鳴り続ける。
何度かけても、誰もない。
メッセージを送っても、既読すらつかない。
ここで初めて、彦のに確な違がまれた。
これはただのではないかもしれない。
もしかしたら、本当に戻ってこないのではないか。
暗い部ので、彦はち尽くした。
当たりだとっていた族の歯が、音をてて狂い始めていた。
夜7。
玄関のドアが乱暴にく音がした。
健太が嫌な音をてて入ってくる。
健太は鞄をに投げつけた。
「おい、飯まだかよ。腹減ってにそうなんだけど」
居の惨状を見て、健太のきが止まった。
健太は目を丸くして尋ねた。
「はあ。これ、お母さんまだ帰ってないの」
彦はを抱えながらソファからちがった。
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