"48歳の誕生日、母親をやめました" 第9話
彦はプロのヘルパーを毎雇うことをいついた。
俺の料ならそれくらい余裕で払えるはずだ。
事代サービスも頼んで、あいつがいなくても困らないことを証してやる。
そう考えた彦は、居にある久美子の引きしをけた。
の通帳と印鑑がしまってある所だ。
どうせ俺の稼いだが、たっぷり溜まっているだろう。
彦は自信満々に、1番きなの通帳をに取った。
ページをき、最の残に目をやる。
その瞬、彦のきがピタリと止まった。
彦は目を見いた。
「は、なんだこれ」
通帳に印字されていた残は、たったの3万円だった。
見違いかとい、彦は何度も目をこすった。
しかし数字は変わらない。
彦は呟いた。
「嘘だろ。俺は毎あんなに稼いでいるのに」
彦は慌てて過のページをめくって、細を確認し始めた。
確かに毎、自分の会社からまとまった料が振り込まれている。
しかしその直に、量の引き落としが続いていた。
宅ローン、自ローン、クレジットカード決済。
彦は自分のクレジットカードの請求額を見て言葉を失った。
毎週末のゴルフ、輩に奢っていた額なみ代。
自分の趣のために買っていた、級な計やスーツ。
それら全てが信じられないほどの額になって、引き落とされていた。
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さらに費や保険料が引かれると、残るおはごくわずかだ。
彦は通帳を握りしめた。
「これじゃ費すらりないじゃないか」
彦はや汗を流しながら、引きしの奥を探った。
そこには古い学ノートで作られた、計簿が入っていた。
震えるでページをく。
そこには1円単位まで細かく計算された、族の活費が記録されていた。
5分の料品、健太の部活の征費、美結のスマートフォンの通信費としいの代。
忍の病院代と額な薬。
到底彦の残った料だけでは支払えない額だった。
ではどうやってこの活を維持していたのか。
その答えは計簿の端に、さくかれていた。
『久美子パート代より補填』
彦はもう1冊のい通帳を見つけた。
それは久美子の方の通帳だった。
ページをくと、毎スーパーからパートの料が振り込まれている。
しかしその料は、振り込まれたそののうちに全て引きされていた。
そしてその全額が、族の活費として消えていたのだ。
久美子が自分のために使った記録は、15でただの1度もなかった。
美容院にもかず、い化粧品を使い、もずっと同じものを着ていた。
彦は通帳を持ったまま、にへたり込んだ。
「俺が養っていたんじゃないのか」
自分が族を養い、偉そうにいばっていた。
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誰のおかげで飯がえているんだと、何度も久美子に言ってきた。
だが、現実は全く逆だったのだ。
久美子のをにした労働と、いパート代。
それがなければ、このはとっくの昔に破産していたのだ。
彦のいがりは、音をてて崩れった。
起きてきた美結が、に座り込む彦を見て議そうに声をかけた。
「お父さん、何してんの」
美結はを差しした。
「私今友達と遊びにくから、お遣いちょうだい」
彦はうつろな声で答えた。
「ない」
美結は眉をひそめた。
「はあ、何言ってるの。5000円でいいからさ」
彦は突然鳴り声をあげた。
「ないと言ってるだろ」
突然鳴った父親に、美結は驚いてずさりした。
彦はを叩いた。
「このにはもう、1円の余裕もないんだよ」
その、居の固定話がけたたましく鳴り響いた。
彦はふらつくでちがり、受話器を取った。
「はい」
話の主はい声の男性だった。
「あ、健太君のお父様でしょうか」
「学ですか。健太が何か」
教師は々しい声で告げた。
「実は健太君がの徒とトラブルを起こしまして」
彦はを抱えた。
次から次へと問題が押し寄せてくる。
彦は尋ねた。
「トラブルってどういうことですか」
教師は続けた。
「相の徒に怪をさせてしまいました。至急学に来ていただけますか」
彦が言葉を濁すと、教師の声は急にたくなった。
「そんな、俺はこれから仕事に……」
教師は言った。
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