"48歳の誕生日、母親をやめました" 第11話
彦はパニックになり、薬箱をひっくり返した。
しかしどれが血圧の薬なのか、全くわからない。
彦はいした。
「マニュアルだ。あのノートを見れば分かるはずだ」
彦はに転がっていた、族運営マニュアルを拾いげた。
震えるでページをめくり、忍の薬の項目を探す。
『お義父さんの血圧の薬。い丸い錠剤。に必ずませること。』
『もしお義父さんが倒れて、胸が苦しいと言ったら、すぐに救急を呼ぶこと。』
彦の顔から、気に血の気が引いた。
親父は昨の朝から、まともな事をしていない。
もちろん薬も、丸1以んでいないのだ。
彦は叫んだ。
「しっかりしろ親父。今すぐ救急を呼ぶから」
彦は震える指でスマートフォンを取りした。
119番に話をかけながら、のを見回した。
泣き叫ぶ娘、部にこもっててこない息子。
倒れて苦しむ父親。
そしてゴミと悪臭にまみれた汚い。
たった2。
久美子がいなくなってから、まだ2しか経っていないのだ。
それなのには、完全に崩壊してしまった。
彦は救急のサイレンの音をくに聞きながらった。
俺たちは族なんかじゃなかった。
久美子という1ののに乗っかって、甘えていただけだ。
久美子が必に支えていたから、が回っていただけなのだ。
彦はののノートをく握りしめた。
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そこにかれた細かい文字の1つ1つが、久美子の命を削っただった。
自分の誕に、族から完全に無された久美子。
そのの彼女の静かな微笑みが、彦の脳裏に浮かんだ。
あの笑顔は、族への許しの笑顔ではなかった。
私たちというに対する、完全な絶望だったのだ。
救急が到着し、忍は担架で運びされていった。
彦も急いで救急に乗り込み、病院へ向かう。
内で救急隊員が、彦に鋭い質問を投げかけた。
「最に事をしたのはいつですか」
彦は言葉を濁した。
「えっと、昨の朝インスタントラーメンをし」
救急隊員は信じられないという顔で彦を見た。
「齢者に丸1以も事を与えていなかったんですか」
彦は言い訳をしようとしたが、言葉がなかった。
「それは……」
救急隊員は厳しい声で言った。
「お薬の管理も全くされていませんね。命に関わることです。ご族は何をしていたんですか」
りに満ちたその言葉は、彦の胸にく突き刺さった。
病院に着くと、忍はすぐに処置へと運ばれた。
彦はたい待のベンチに座り、を抱えた。
ポケットので、会社のスマートフォンが何度も震えている。
画面を見ると、司からの激のメッセージが並んでいた。
『今のな会議を無断欠席するとは何事だ。
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取引先が激して帰ってしまったぞ。おのせいでプロジェクトは完全に失敗だ。』
彦はスマートフォンを力なくに落とした。
仕事さえしていれば、族ので1番偉いとっていた。
俺が稼いでいるからが成りっていると、信じていた。
しかしその仕事すら、久美子がいなければ成しなかったのだ。
ワイシャツにアイロンをかけ、通りに起こしてくれるがいたから。
族のトラブルを全て裏で解決してくれるがいたから。
俺は自分の仕事だけに集できていたのだ。
ようやくその当たりの事実に気づいた彦の目から、初めて悔の涙が溢れした。
しかし失われたは、もう2度と戻らない。
久美子が1で流してきた涙の量に比べれば、あまりにも遅すぎた。
待の静寂ので、彦はただ1で震えていた。
病院のたい廊で、彦はただを向いて座っていた。
どれくらいのが経っただろうか。
ついに処置のいドアがゆっくりといた。
てきた医師の顔は、驚くほど険しかった。
彦は弾かれたようにちがり、医師に駆け寄った。
彦は焦って尋ねた。
「親父は、父は丈夫ですか」
医師はくため息をつき、厳しい声で言った。
「命は取り留めました。しかし非常に危険な状態でした」
医師はカルテを見つめた。
「度の脱症状と、ひどい栄養失調です」
彦は言葉を失った。
医師はたい線で彦を見た。
「お薬も丸2んでいなかったようですね。
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