"48歳の誕生日、母親をやめました" 第13話
肉か、いや魚だったか。
結婚して20、緒に事をしてきたはずなのに、何もいせないのだ。
久美子はいつも族の残ったおかずをべていたからだ。
健太が問い詰めるように言った。
「じゃあお母さんの趣は。きたい所は」
彦は首を横に振るしかなかった。
「らない。俺は何もらないんだ」
その瞬、3は最も残酷な真実に気づいてしまった。
久美子は族の全てをっていた。
それなのに族は誰1として、久美子のことをらなかった。
久美子が何をぶのか、何にしむのか、どんなを持っていたのか。
誰も彼女を1のとして見ていなかったのだ。
ただの事をするための械。
ただの文句を言わない便利な具。
それがこの族が久美子に与えていた役割だった。
健太がに崩れ落ち、声で泣き叫んだ。
「俺たちは最だ。母さんを殺したのは俺たちだ」
美結もに突っ伏して、声が枯れるまで泣き続けた。
彦はノートを抱きしめ、声を殺して泣いた。
真っなページは、久美子のの空そのものだった。
族に全てを奪われ、自分自をなくしてしまった女性の叫びだった。
失って初めてそののきさに気づいた。
しかし、どれだけ涙を流しても、あの温かい台所に久美子はもういない。
のに響くのは、遅れになった族の絶望の泣き声だけだった。
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翌朝、彦はたいので目を覚ました。
のついていない居は、のようにえ切っている。
毛布に包まったまま、健太と美結もんだように眠っていた。
彦はい体を起こし、台所へ向かった。
流し台からは、昨よりもさらにひどい悪臭が漂っている。
蔵庫をけても、やはりべるものは何1つない。
彦は震えるで、自分の財布のを確認した。
残は1000円札が2枚と銭だけだった。
料までは、まだ10以ある。
「どうやってきていけばいいんだ」
その彦は、うようにして会社へ向かった。
シワだらけのスーツを着て、ボサボサの髪のままである。
昨無断欠勤した彦を、司が鬼のような形相で待ち構えていた。
フロア全体に響く声で鳴られる。
「お昨の会議をすっぽかして、どういうつもりだ」
彦はをげた。
「申し訳ありません。急な庭の事で」
司は机をく叩き、たく言い放った。
「ふざけるな。おの代わりはいくらでもいるんだぞ」
司は彦を睨んだ。
「なプロジェクトからおをす。しばらく反省しろ」
彦は目のが真っ暗になった。
会社での、優秀な社員としてのプライド。
それら全てがたった数で、完全に崩れったのだ。
妻にを任せきりにし、自分は仕事だけをしていればいいと信じていた。
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しかしその基盤が失われた瞬、仕事すらまともにできなくなった。
自分は1では何もできない、いだったのだ。
同じ頃、学の健太は悪臭の漂うで1取り残されていた。
腹が減って胃が痛い。
カップラーメンすらない。
健太はフラフラとちがり、戸棚の奥から古いお米を見つけた。
「自分で炊くしかない」
しかしの量が全くわからない。
適当にを入れて、鍋をそのままにかける。
数分、台所は黒い煙に包まれた。
焦げ臭い匂いとともに、鍋は真っ黒になって使い物にならなくなった。
健太は真っ黒な米をゴミ箱に投げ捨てて、に泣き崩れた。
「クソ。なんでだよ」
母親が毎どれだけ丁寧に事を作ってくれていたか。
その苦労を、痛いほどをもってったのだ。
方、美結は学で獄をわっていた。
昼休み、周りの友達はいお弁当を広げて楽しそうに話している。
美結の机のには何もない。
友達に聞かれ、美結は顔を真っ赤にして俯いた。
「今はお弁当ないの」
美結は言葉を濁した。
「う、うん。お母さんが忙しくて」
友達が気遣う。
「じゃあ堂く。私付きうよ」
美結はポケットのの財布をく握りしめた。
には100円玉が数枚しかないのだ。
美結は逃げるように教をびした。
「ごめん。今はちょっとお腹痛くて」
気のない階段に座り込み、お腹の音を必に抑える惨めさだった。
いつも当たりのように、いお弁当があった。
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