"48歳の誕生日、母親をやめました" 第15話
しかし彼らはまだ気づいていなかった。
久美子が残した最の真実は、まだこれで終わりではないことに。
彦は翌朝、久美子が働いていたスーパーへ向かった。
会社からはすでに、当面の休むように言い渡されている。
事実の遷と謹慎処分だった。
しかし今の彦には、仕事よりも優先すべきことがあった。
妻を見つけし、座してでも連れ戻すことだ。
スーパーの裏に回り、に怪訝な顔で迎えられた。
はたく答えた。
「久美子さんのき先ですか。全く聞いていませんよ」
はため息をついた。
「誕の翌に急に辞めると言われましてね、ご庭の事だとおっしゃっていました」
彦はをげてすがるように聞いた。
「何かしでもがかりはないでしょうか。連絡先や引っ越し先など」
が面倒くさそうに首を横に振ろうとしただった。
ろから配の女性パート従業員が声をかけてきた。
「あなたが久美子さんの旦さんね」
その女性の目は、彦をたく睨みつけていた。
女性は彦を気のないバックヤードへと連れてった。
「私、久美子さんと1番仲良くさせてもらっていた者です」
女性の第声は、らかなりに震えていた。
「よくここへ顔をせたわね」
女性は彦に問い詰めた。
「あなたは久美子さんが毎どんないで働いていたか、っているの」
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彦は俯いたまま何も答えられなかった。
女性は続けた。
「久美子さんの靴見たことある。5も同じスニーカーを履いて、底には穴がいていたのよ。のは靴がびしょ濡れになっていたわ」
彦の胸に鋭い痛みがった。
自分は毎のようにい革靴を買い替えていたからだ。
女性の厳しい言葉に、彦は首を横に振った。
「お昼休憩の、久美子さんが何をべていたかってる」
女性は声を荒げた。
「族の弁当の切れ端だけよ。それも子供たちが残しそうな野菜の端っこばかり」
女性の目から悔しそうな涙がこぼれ落ちた。
「私たちがパンを分けてあげても絶対に受け取らなかった。『うちにはおがないから、これくらいで分なんです』って笑うのよ」
女性はさらに続けた。
「がたもフラフラになりながらレジにっていたわ。『私が休んだら息子の征費が払えなくなるから』って」
女性は彦を睨みつけた。
「旦さんは派な会社員だって聞いていたのに、どうして久美子さんだけがあんなにボロボロだったのよ」
彦は言葉がなかった。
自分の料は全て、自分の見栄と遊びのために使っていた。
妻の命を削った犠牲のに、自分の優雅な活が成りっていたのだ。
誰のおかげで飯がえているんだと何度も見してきた。
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しかし本当に養われていたのは、彦の方だったのだ。
彦がくをげると、女性はくため息をついた。
「本当に申し訳ありません」
女性はたく言った。
「私に謝ってもがないわ。謝る相が違うでしょう」
女性はエプロンのポケットから、さな切れを取りした。
「ロッカーを片付けているにに落ちていたの。警察に届けようか迷ったけれど、あなたに渡しておくわ」
彦は震えるでその切れを受け取った。
それは産の窓に貼られている、取りのコピーだった。
賃3万5000円。
築40、呂なし、共同トイレ。
彦の目から粒の涙がこぼれ落ちた。
妻は今、こんなたい部で1で暮らしているのか。
あの温かい族のを捨ててでも、ここから逃げたかったのだ。
どれほどの絶望があれば、そんなしい選択ができるのだろうか。
女性は背を向けながらたく言い放った。
「く所の当たりは、その駅の周辺だけよ」
女性はち止まり、を押した。
「もし見つけても、絶対に久美子さんを傷つけないでね」
彦は切れをく握りしめ、スーパーをびした。
にかれた駅は、ここからで1もれた寂れた町だった。
その頃、に取り残された健太と美結は台所にっていた。
2のには、たいとスポンジが握られている。
になった悪臭を放つ器を洗い始めたのだ。
美結が涙声で言う。
「たい。
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