"48歳の誕生日、母親をやめました" 第17話
いや、をてからだけではない。
15、もつけずに族より先に起きていたたい朝。
自分のご飯は回しにして族の残りだけで飢えを凌いでいた々。
久美子は15、ずっとこの寒さとひもじさのできてきたのだ。
彦は今になってようやく、妻がわってきた痛みを肌でじていた。
悔のが押し寄せ、声をして泣きそうになった。
「俺は、なんて残酷なことを」
数が経ち、辺りは完全に真っ暗になっていた。
その、隣の部のドアがき、配の女性が顔をした。
女性は怪訝な顔で、座り込む彦を見ろした。
「あんたさっきからそこで何をしているんだい」
彦は慌ててちがり、くをげた。
「つ、すみません。ここの部の久美子の夫です。妻に謝りたくてずっと待っているんですが」
女性は夫という言葉を聞いた瞬、骨に顔をしかめた。
「なんだあんたがあのひどい旦かい」
女性はため息をついた。
「久美子さんなら、ここにはいないよ」
女性の言葉に彦は驚いて顔をげた。
「いないってどういうことですか」
女性は腕を組んだ。
「昨、荷物を全部まとめてていったよ」
彦がわずきな声をすと、女性はたくで笑った。
「そんな、どこへったんですか」
女性は首を横に振った。
「さあね、私には分からないよ。
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でもね、あの子は最に笑っていたんだよ」
彦は呆然とした。
「笑っていた」
女性はし優しく微笑んだ。
「ええ。『やっと自由になれました』って、本当に嬉しそうにね」
彦の胸にい鉛を打ち込まれたような衝撃がった。
久美子はあの獄のようなから逃げしただけではない。
自分というそのものから、完全にれてしまったのだ。
女性はそう言い残して、バタンとたくドアを閉めた。
「もう探さないであげなさいな」
彦は暗い廊で1取り残された。
もう久美子を取り戻すことはできないのだろうか。
絶望に押し潰されそうになった、ポケットのスマートフォンが鳴った。
画面を見ると自宅にいる健太からの着信だった。
彦は震えるで通話ボタンを押した。
「もしもし。健太か」
話の向こうで健太がパニックになったように叫んでいた。
「お父さん、今すぐ帰ってきて」
彦は焦って尋ねた。
「どうした。何かあったのか」
健太の声は恐怖と悔で激しく震えていた。
「ノートだよ。お母さんのノート」
美結の泣き叫ぶ声もろから聞こえてくる。
健太は続けた。
「お母さんのページ、真っじゃなかったんだ」
彦は臓が止まりそうになった。
「どういうことだ。何もいていなかっただろう」
健太は泣きながら言った。
「違うんだ。2枚のページが糊でくっついてたんだよ。
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そこにお母さんの本当の気持ちがいてあるんだ」
彦は顔面から血の気が引いていくのをじた。
「今すぐ帰る。絶対にそこをくな」
彦は話を切り、狂ったように駅へ向かってりした。
凍えるような寒さも空腹も、もう全くじなかった。
ただ恐ろしかったのだ。
久美子が隠していた本当の言葉をることが。
それはきっと族にとって最で最の刑宣告になるに違いない。
彦は満員ので何度もく目を閉じた。
帰りたいだが、帰るのが恐ろしい。
あのノートに隠された真実を見るのがたまらなく怖かった。
しかしどれだけ逃げたくても、現実は容赦なく彦を追い詰める。
で待つノートの最のページには、族の息の根を止める最の事実が記されていたのだ。
彦は息を切らして自宅の玄関にび込んだ。
靴も脱ぎ捨てて悪臭の漂う真っ暗な居へと駆け込む。
そこには青ざめた顔の健太と美結が座り込んでいた。
2のには、あの族運営マニュアルがかれている。
健太が震える指でノートの最のページを指差した。
「お父さんくこれを見て」
何もかれていない、真っだとっていたあのページ。
実は2枚のが糊でぴったりと貼りわされていたのだ。
美結が涙をこぼしながら、その端をしだけ剥がしていた。
彦はごくりと息をみ、震えるでそのページに触れた。
ゆっくりとが破れないように、慎に引き剥がしていく。
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