"48歳の誕生日、母親をやめました" 第21話
久美子は静かに微笑んで声をかけた。
「久しぶりね」
彦は震えるで久美子のにみた。
そしてのお客さんの目も気にせず、に両膝をついた。
くをげ、額をに擦り付ける。
「久美子、本当にすまなかった」
それはからのい座だった。
健太も泣きながらそのに崩れ落ちてをげた。
「母さんごめんなさい。俺自分がどれだけ最だったか分かった。俺弁当も自分で作ってるよ。母さんのすごさが分かったんだ」
美結も顔を覆って号泣している。
「お母さん、私を許してごめんなさい。私の儘でお母さんをあんなに傷つけて本当にごめんなさい」
子の忍も、震えるで顔を覆いながらくをげた。
「久美子さん、わしが馬鹿だった。本当に申し訳ない。毎世話になっておきながらのを忘れていた」
族全員が声をげて泣きながら謝罪した。
それは以のような打算や甘えから来るものではない。
事をして欲しいから帰ってきて欲しいという懇願でもない。
1のとして久美子をく傷つけたことへの、本当の謝罪だった。
彦はに顔を押し付けたまま声を振り絞った。
「婚届にはもう俺の判を押した。おをこれ以俺たちの勝で縛り付ける権利はない」
彦の目から悔の涙が止めどなく溢れ落ちた。
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「でもこれだけは言わせてくれ」
彦は顔をげた。
「俺たちに本当のを与えてくれてありがとう。おは最の妻で最の母親だった。その価値に気づけなかった俺は最のだ」
彦の言葉に、久美子は静かに目を押さえた。
15ずっと欲しかった言葉だった。
1番辛かったに、誰か1でも言って欲しかった言葉だった。
遅すぎたけれど、ようやくその謝を聞くことができた。
久美子はゆっくりとちがり、彦たちのに歩み寄った。
その声は驚くほど優しく穏やかだった。
「顔をげてちょうだい」
彦たちが恐る恐る顔をげると、久美子は静かに微笑んでいた。
久美子は言った。
「ありがとう。その言葉が聞けて私の15も無駄じゃなかったとえたわ」
しかし、久美子は彦が差ししたを取ることはなかった。
久美子は静かに告げた。
「私はもうあなたたちのには戻らない」
彦たちはしそうに頷いた。
それは最初から分かっていたことだ。
久美子は健太と美結の肩に優しくを置いた。
「でもあなたたちを憎み続けるも終わりにしたいの」
久美子は優しく言った。
「あなたたちはもう派に自分のでっているじゃない」
健太の荒れたと美結の絆創膏だらけの指先を見て、久美子は微笑んだ。
「もう私がいなくてもきていけるわ」
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彦は涙を拭いながらく頷いた。
「ああ、これからは俺たち自でしっかりときていく。おはおのを自由にきてくれ」
彦がそう言うと、久美子はこれまでにないほどるい笑顔を見せた。
「ええ、そうさせてもらうわ。私ずっとやりたかった医療事務の資格の勉を始めたの。変だけど毎がとても楽しいのよ」
その言葉を聞いて、彦はの底から堵した。
妻は今、自分のをしっかりと歩み始めている。
自分たちが奪い続けてきた翼を取り戻し、自由に空をぼうとしているのだ。
彦はテーブルのに、サイン済みの婚届を置いた。
彦が最にもう度をげると、族全員もくお辞儀をした。
「本当に今までありがとう。そしてごめんなさい」
久美子はその婚届を静かに鞄にしまった。
久美子は微笑んだ。
「さようなら、みんな元気でね」
久美子は振り返ることなく、まっすぐにのへと歩いていった。
その背は15のい荷物をろしたように、とても軽く見えた。
彦たちはその背が見えなくなるまで、ずっとをげていた。
決して許されたわけではない。
失ったものはあまりにもきすぎた。
しかしこの痛みと悔を背負ってきていくこと。
それが久美子に対する最の誠なのだと、彦はくに刻み込んでいた。
季節が巡り、1というが過ぎた。
彦たちのは静かでたい朝を迎えていた。
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