"家族じゃないなら、援助も終わり" 第7話
しかし計を見直していくうちに、毎どれだけ無計画にを使っていたかが分かってきた。
。
サブスク。
ブランド品。
タクシー。
旅。
カードの分割払い。
「3万円がなくなっただけ」で崩れる計ではなかった。
そもそも。
崩れかけていたものを。
3万円が。
隠していただけだった。
孫の悠真に会えないことだけは、私にもつらかった。
けれど、それを理由に慎太郎へ連絡することはしなかった。
子どもを交渉材料にしたのは彼らである。
私たちから「会わせてほしい」と頼めば、また同じ構図に戻る気がした。
私は介護施設で働いていた頃の、ある利用者の言葉をいしていた。
「子どもを助けるのと、子どものを背負うのは違うよ」
当は。
分かったつもりだった。
今になって。
ようやく。
本当のが。
分かった気がした。
それから半が過ぎた頃、慎太郎からが届いた。
話でもメッセージでもなかった。
い封筒に。
自分の字で。
私たちの名が。
いてあった。
には便箋が3枚入っていた。
《会って謝りたい。でも会いたくないなら断ってくれていい》
最初の文を読み、私はし驚いた。
以の慎太郎なら。
「話があるから会って」
だった。
断る選択肢を。
私に。
渡す言葉など。
使わなかった。
彦と相談し、私は所の喫茶で1だけ会うことにした。
現れた慎太郎は、以よりし痩せていた。
広告
価そうな腕計もしていない。
「母さん、父さん。ごめんなさい」
席へ座るに。
をげた。
私は「座って」とだけ言った。
慎太郎は、この半で理した計簿を持ってきていた。カード残はほとんど返済し、も売却し、今は毎定額を貯へ回しているという。
「最初は本当に母さんが悪いとってた」
慎太郎は正直に言った。
「保証になってくれなかったからが買えなかった、援助を止めたから苦しくなったって。でも計を全部見たら違った」
俺たちは。
最初から。
無理だった。
そう続けた。
8500万円の物件を買うに、自分たちがいくら使い、いくら残せているのかさえ把握していなかった。親から援助されるまで自分の収入のように扱い、「どうせ最は助けてもらえる」と考えていた。
「貯額を勝にいたことも、本当にごめん」
私は黙って聞いた。
「あの、父さんが入院したに類を見た。2500万円って数字を覚えてて、営業のに『親から援助を受けられる能性がある』って言った。最初は500万円くらいのつもりだったのに、審査が厳しいって言われて、勝に1000万円にした」
「どうして私がすとったの?」
慎太郎は苦しそうに笑った。
「今までしてくれたから」
それが。
すべてだった。
私たちが何度も助けたことが、慎太郎のでは「次も助けてくれる」
広告
という根拠へ変わっていた。
「族じゃないって言ったことは?」
私が尋ねると、慎太郎は顔を伏せた。
「番悔してる」
「悠真に会わせないって言ったことも?」
「うん」
私はすぐには許さなかった。
謝ったから。
全部元通り。
そんな話ではない。
「美咲さんは?」
「今は来てない」
「どうして?」
慎太郎はしばらく黙った。
「まだ、母さんたちがやりすぎたってってる部分があるから」
私はその答えに、むしろしした。
無理にで謝罪の芝居をしに来るより、正直だった。
「じゃあ今は慎太郎自の謝罪なのね」
「うん」
「分かった」
私は頷いた。
「謝罪は受け取る。でも援助は再しない。保証にもならないし、きなおを渡すこともない」
慎太郎も頷いた。
「それでいい」
その言葉を。
聞けただけで。
半とは。
違った。
帰り際、慎太郎はスマートフォンをした。
「悠真、母さんたちに会いたがってる」
画面には、しきくなった孫が公園で笑っている写真があった。
胸が痛んだ。
会いたい。
それは本だった。
でも私は、すぐにはびつかなかった。
「美咲さんとも話ができるようになったらね」
慎太郎はし寂しそうだったが、静かに頷いた。
美咲が私たちのを訪れたのは、それからさらに2かだった。慎太郎と緒ではなく、で来たことに驚いたが、今回は玄関先で追い返すことはしなかった。
美咲は以とは別のように緊張していた。
「お義母さん。しだけ話してもいいですか」
広告
おすすめ作品
-
完結第11話
貧乏人と呼ばれた食卓
長男夫婦が3連休に帰省し、久しぶりに家族で食卓を囲むはずだった。 母の真紀子は、息子夫婦のために煮物や豚汁を用意し、昔と変わらない温かい夕飯を作ろうとしていた。ところが、台所で2人きりになった瞬間、長男嫁の美沙は笑いながら言い放つ。 「あんたの手作りとか無理だから、高級寿司出せよ、貧乏人」 その一言で、これまで見過ごしてきた違和感が一気に表へ出る。人を持ち物や育ちで見下す美沙の本性。そして、真紀子の過去まで侮辱された時、普段は温厚な夫・隆志が静かに立ち上がった。 「今日限りで絶縁だ」 さらに隆志が呼び出した“ある男”の登場によって、美沙の家庭に隠されていた価値観と金の問題まで明らかになっていく。 古い皿、手作りの料理、そして家族として本当に大切なものとは何か。 一度壊れた食卓から、それぞれの人生が大きく動き出す――。絶縁|親子関係1.7万字5 2 -
完結第13話
古い工場を渡された嫁
食品会社を一代で守ってきた山代会長は、ある夜、庭で長男夫婦の会話を偶然聞いてしまう。 「お母様、これから先どれだけ生きられるかしら」 信じていた嫁が、自分の命も会社も、すでに財産として数えている――。その一言をきっかけに、会長はある決断をする。 自分は重い病にかかり、会社も危機にある。そう家族に告げ、2人の嫁に後継者を決めるための試練を与えたのだ。 華やかな長男の嫁・彩佳には会社を。 不器用で人の良すぎる次男の嫁・ユナには、地方にある廃業寸前の古い工場を。 誰もが、勝者と敗者は決まったと思っていた。 しかし3か月後、会社を手に入れた嫁と、古い工場へ送られた嫁の運命は、誰も予想しなかった形で逆転していく――。兄弟姉妹|嫁姑|相続|親子関係2.0万字5 0 -
完結第11話
祖父を迎えた家に福が来た
祖父が最近、どこかおかしい。 そう感じた恵子は、夫の匠とともに実家を訪ねるたび、祖父の表情が少しずつ暗くなっていることに気づいていた。兄夫婦と同居しているはずなのに、服はいつも同じ、部屋は荒れ、食事もろくに取れていないように見える。 ある日、祖父はぽつりと呟いた。 「もうダメじゃ……」 不安を覚えた恵子が確かめてみると、そこには想像以上にひどい現実があった。兄嫁は祖父を邪魔者のように扱い、さらに年金手帳や通帳まで握っていたのだ。 「うちで一緒に暮らそうよ」 恵子と匠は祖父を連れ出し、新しい生活を始める。少しずつ笑顔を取り戻していく祖父。だがその後、思いもよらない知らせが届く。 祖父が突然、3億円もの財産を相続することになったのだ。 そのお金をめぐって、祖父を粗末に扱ってきた兄夫婦の本性が、ついに世間の前で暴かれていく――。祖父母と孫|絶縁|親子関係1.6万字5 8 -
完結第11話
夫の娘は、私にだけ謝った
結婚34年目、夫は突然こう告げた。 「娘が見つかった。だから離婚してほしい」 夫には、結婚前に生まれていたもう一人の娘がいた。しかも夫は、その娘のために今の家庭を離れ、父親としてやり直したいと言う。 しかし、真由美が初めて会った“夫の娘”綾香は、なぜか彼女に頭を下げた。 「私のせいで離婚しないでください」 夫は本当に、最近になって娘の存在を知ったのか。なぜ綾香は、父親ではなく真由美に会おうとしたのか。 やがて明らかになるのは、36年前に封じられた手紙と、12年前から夫が隠し続けていた事実だった。 突然現れた娘は、家庭を壊しに来たのではなかった。 34年続いた夫婦の中で、誰も口にしなかった本当の問題を、静かに照らし出していく――。夫婦|親子関係1.6万字5 174 -
完結第11話
席次表から消された母
25年間、血のつながらない息子・亮を育ててきた奈津子。 幼い頃の発熱、不登校、受験、就職、そして結婚。どんな時もそばにいて、亮からはずっと「母さん」と呼ばれてきた。 しかし結婚式を目前にしたある日、夫は奈津子に告げる。 「本当の母親へ席を譲ってくれ」 突然現れた亮の実母・真理子。奈津子は自分の25年間が否定されたような痛みを抱えるが、式の3日前、真理子から思いがけない連絡が届く。 「私は、あなたの席を奪いたいなんて一度も言っていません」 さらに明かされたのは、亮に毎年送られていたはずの手紙の存在だった。 なぜ手紙は届かなかったのか。 誰が、二人の母親と一人の息子の時間を止めていたのか。 結婚式直前、25年間隠されてきた家族の嘘が静かにほどけ始める――。絶縁|親子関係1.7万字5 167 -
完結第13話
閉じ込められた臨月の妻
妊娠38週、予定日まであと12日の加奈。夫が海外出張へ出た2日後、突然訪ねてきた義両親は「様子を見に来た」と言いながら、家事や学歴を責め続けた。そして義母に促され、家庭用サウナの中を確認しようと入った瞬間、背後で扉が閉まる。外側には南京錠。スマートフォンまで奪われた。「私たちから息子を奪った罰よ」。そう言い残し、義両親は5泊7日の温泉旅行へ出発した。水もなく、いつ陣痛が始まってもおかしくない密室。しかし加奈には、義両親が知らないことがあった。このサウナは、かつて一級建築士だった加奈自身が安全設計に関わった機種だった――。嫁姑|親子関係|修羅場2.0万字5 640 -
完結第12話
ゆで卵ひとつで嫁をやめた朝
夜勤明けの朝9時、16時間働いて帰宅した千明の前に置かれたのは、冷たいゆで卵が1つだけだった。 食卓には夫と義母のための朝食が並んでいる。炊きたてのご飯、味噌汁、焼き魚、小鉢。けれど、千明の分だけはなかった。 「食べられるだけ感謝しろ」 義母のその一言で、千明の中で8年間張りつめていたものが静かに切れる。 同居する義母の生活費、光熱費、食費、固定資産税まで支え続けてきたのは誰だったのか。夫は本当に何も知らなかったのか。そして、毎月の明細に隠れていた“もう一つの家族”とは――。 家を出て3日後、義母からの着信は100件に達した。 たった1つのゆで卵から始まった決別が、8年間隠されてきた家族の金と嘘を暴いていく。嫁姑|絶縁1.9万字5 1297