"祖父を迎えた家に福が来た" 第8話
「ひ孫を抱くには腰が事じゃ」
何か医学な根拠があるわけではない。
それでも本は本気だった。
公園で顔見りになったたちにも、
「ひ孫がまれるんじゃ」
と嬉しそうに話しているらしい。
私たちのでは、祖父が来てから偶然にも良い来事が続いていた。
匠の昇。
さな宝くじの当選。
祖父の弟からのいがけない相続。
そして妊娠。
もちろん、全部偶然だ。
でもある晩。
匠がソファに座りながら言った。
「なあ恵子」
「何?」
「座敷わらしっているだろ」
「急に何?」
「にみ着くと、そのに福を呼ぶっていう」
「うん」
匠は祖父の部の方を見る。
「うちの、座敷わらしじゃなくて座敷おじいさんなんじゃないか」
私は吹きした。
「何それ」
「だって、おじいさん来てから良いことばっかりじゃん」
「確かに」
「逆に、おじいさんがていったお兄さんのは……」
そこで匠は言葉を止めた。
兄族はれれになった。
も放した。
夫婦も婚した。
祖父を邪魔者扱いしていたは、毎入るだけを見ていた。
失ってから初めて、あのにいた祖父が以のだったと気づいたのかもしれない。
「座敷おじいちゃんか」
私が呟く。
匠が笑う。
「かわいいだろ」
「本に言ったらるよ」
その。
廊から祖父の声がした。
「全部聞こえとるぞ」
私たちは顔を見わせた。
「おじいちゃん、起きてたの?」
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「座敷おじいさんとは何じゃ」
「匠が言ったんだよ!」
「おい、恵子!」
その夜、には久しぶりにきな笑い声が響いた。
祖父を兄夫婦のから連れしてから、活はきく変わった。
最初の頃。
私は祖父を引き取ることが、本当に正しいのかしだった。
80代半の齢者との同居。
病気になるかもしれない。
介護が必になるかもしれない。
私も匠も働いている。
簡単なことではない。
それでも。
あの、祖父を置いて帰っていたら。
私はきっと悔していたとう。
祖父は今でも毎朝、自分で起きる。
顔を洗う。
お茶をむ。
気が良ければ散歩へる。
帰ってくれば、
「今は公園で犬に吠えられた」
「パンがしくできとった」
とどうでもいい来事を楽しそうに報告する。
そんな普通の常が、どれほど切なものか。
私は祖父と暮らして初めて分かった。
ある休。
3で朝をべていると、祖父がふと窓のを見た。
「昔はな」
また昔話が始まるのかとい、匠が嬉しそうに箸を置いた。
「うん」
「族いうのは、緒に飯をうもんじゃとっとった」
私は黙った。
祖父は噌汁をむ。
「向こうにおったは、で部でうとった」
「うん」
「だんだん、自分がおらん方がみんな幸せなんじゃとうようになってな」
あのと同じ言葉。
――もうダメじゃ。
私は今でも忘れられない。
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祖父は続けた。
「それがここへ来たら、毎うるさい」
「悪?」
私が聞くと、祖父が笑う。
「匠はよう喋るし、恵子はるし」
「私そんなにってないよ」
「この、薬み忘れたらったじゃろ」
「それはみ忘れるからでしょ」
匠が笑いした。
祖父も笑った。
「でもな」
しだけ真面目な顔になる。
「うるさい方がええ」
私の胸が温かくなった。
兄夫婦が今どこで何をしているのか。
私はもう詳しくらない。
兄嫁も兄も、自分たちの活をて直そうとしているのだろう。
いつか自分たちがしたことを本当に理解するが来ればいいとはう。
でも、それを見届ける必はない。
私たちは私たちの活を続ける。
お腹の子もしずつきくなっている。
匠はくもベビーベッドを調べ始めた。
祖父は、
「ひ孫には何を買えばええ?」
と毎のように聞いてくる。
「まだいよ」
「くない」
「まれるまで何かあるとってるの」
「準備はい方がええ」
そんな会話をしているが楽しい。
夕方。
祖父が散歩から帰ってきた。
「ただいま」
「お帰り、おじいちゃん」
匠が玄関へる。
「今は何周?」
「3周じゃ」
「すごいじゃん」
「ひ孫を抱かんといかんからな」
祖父は得そうだった。
私は台所からその2を見ていた。
。
祖父は兄夫婦ので、自分がきすることを申し訳なくっていた。
今は。
ひ孫を抱くためにきすると言う。
同じなのに。
暮らす所と、周りにいるが変わっただけで、こんなにも表が違う。
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