"隠し子を知っていた55歳妻" 第2話
「必なことです」
「俺のこと調べたのか」
「確認しました」
「勝に?」
律子はし笑った。
「あなたも私に言わずに3、別の庭を作っていたでしょう」
正典は黙った。
「それとこれとは」
「何が違うんですか」
正典は答えられなかった。
律子は器をげた。
「私はあなたを困らせるために相談したんじゃありません」
「じゃあ何のため」
「自分がどうなるのかるためです」
「俺がちゃんと補償するって」
「その“ちゃんと”を、あなたが決めるのが嫌なんです」
正典の顔が張る。
律子は続けた。
「婚するも」
「私が受け取るおも」
「む所も」
「全部あなたが決めて、最に私へ婚届だけす」
「それは話しいじゃないでしょう」
正典は初めて。
妻が何にっているのか。
しだけ理解した。
倫そのもの。
隠し子。
もちろんそれもある。
でも。
律子が番拒んでいるのは。
自分のを。
最まで夫の予定表ので決められることだった。
正典は声を落とした。
「じゃあ、どうすればいい」
律子は振り返った。
「待ってください」
「いつまで」
「私が決めるまで」
「そんな」
「3待たせた美さんには悪いといませんでした?」
正典は黙る。
「私は30です」
その言葉で。
会話は終わった。
それまで律子は、法律のことものことも何も分からない妻だとわれていた。
正典が保険を決める。
正典が宅ローンを決める。
広告
正典がを説する。
律子は「そうなの」と聞く側だった。
その妻が。
自分のらないところで弁護士へ相談していた。
それだけで、正典にはきな誤算だった。
律子が隠し子のをったのは、1のだった。
きっかけは、芳の通院だった。
形科の帰り、駅でタクシーを待っていた。
の向こうに正典がいた。
平の午3。
仕事のはずだった。
隣に若い女。
その横に、さな男の子。
正典は男の子のを握っていた。
子供が何か言う。
正典が笑う。
しゃがんで、靴の紐を結び直す。
律子は、その表をっていた。
30。
甥や姪がさかった頃。
正典が子供に向けていた顔。
自分には。
度も子供ができなかった。
夫婦で治療した期もある。
40代に入って、諦めた。
正典は当、
「2できればいい」
と言った。
その男が。
今。
3歳くらいの子供の父親の顔をしている。
芳が言った。
「あれ、正典じゃないかい」
律子は咄嗟に答えた。
「似てるですよ」
タクシーが来た。
芳を乗せる。
律子は振り返らなかった。
その夜。
正典は午10に帰宅した。
「残業?」
「うん。契約の理」
律子は「お疲れさま」と言った。
それだけ。
翌。
律子はのまま問い詰めなかった。
まず確認した。
通帳。
カード。
休勤。
帰宅。
度気づくと、見えてくるものがあった。
に何度か。
同じ駅周辺。
児科。
子供用品。
広告
ファミリーレストラン。
正典名義の座から、毎定額の送。
律子は1週、弁護士事務所へった。
「夫に別の女性と子供がいる能性があります」
50代の女性弁護士は、律子の話を1聞いた。
「今すぐ何をしたいですか」
聞かれた。
律子は答えられなかった。
婚したいのか。
証拠を取りたいのか。
夫を責めたいのか。
自分でも分からない。
ただ。
55歳。
専業主婦。
自分名義の貯はくない。
。
。
芳の介護。
婚すれば、何がどうなるのか。
そこだけはりたかった。
弁護士は1つずつ説した。
婚姻期30。
財産分与。
分割。
婚姻費用。
貞。
居。
そして、責配偶者側からの婚請求について。
「ご主が貞をしている側である、すぐ方に婚が認められるとは限りません」
律子は聞いた。
「私が嫌だと言ったら?」
「状況によります。ただ、なくともご主の都だけで婚、という話ではありません」
その言葉で。
律子は初めて、自分のを取り戻した。
すぐ決めなくていい。
追いされるに。
まず、自分がどうきるか考えていい。
それから1。
律子はしずつ準備した。
最初にしたのは、ののおを自分の目で確認することだった。
正典は、
「計は俺が見てるから」
と言っていた。
律子は費や用品に必な額だけを受け取り、固定資産税も保険も宅ローンも、ほとんど夫任せだった。
それが当たりになっていた。
弁護士に言われた。
「分からないことは、分からないままにしないでください」
広告
おすすめ作品
-
完結第10話
七〇二号室の秘密
入籍12日目、初めて義実家を訪れた遥香は、豪華なすき焼きの陰で、義姉・真帆が水をかけた冷や飯だけを食べさせられている姿を目撃する。 真帆から託された住所を訪ねると、そこには夫・直樹がいた。彼は義姉の避難部屋を用意しながら、兄と母を恐れて救出を先延ばしにしていたのだ。兄弟姉妹|嫁姑|夫婦|真実|裡の顔|修羅場2.0万字5 258 -
完結第15話
姉の身代わりで嫁いだら、冷酷当主の本命でした
家族に冷遇され、姉の身代わりとして“冷酷な当主”のもとへ嫁がされた澄乃。しかし初対面で、偽りの花嫁だと見抜かれてしまう。 追い返される覚悟をした澄乃に、静は「お前で構わない」と告げる。さらに帳簿を読む彼女の才能と、恐れながらも嘘をつかなかった誠実さを認めていく。歴史|昭和|ミステリー|夫婦|第二の人生2.0万字5 379 -
完結第13話
三年前に署名させた離婚届
「息子は金髪美女と再婚するのよ」――玄関先で勝ち誇る義母が突きつけてきたのは、一方的な離婚届だった。大手商社勤務の夫に裏切られ、三ヶ月の海外出張中にも不貞の影に苦しめられていた妻のナナ。だが、見下され続けた妻は取り乱すどころか、冷ややかに微笑んだ。義母も夫も知らなかったのだ。三年前に署名させた一枚の用紙と、水面下で集められた決定的な証拠の存在を。鳴り止まない何十件もの着信を前に、彼女は静かに告げる。「離婚届なら、とっくに提出済みですよ」嫁姑|夫婦2.0万字5 182 -
完結第15話
元夫の再婚式に招かれた私には、秘密がある
離婚から五か月後、元夫が若い再婚相手を連れ、結婚式の招待状を届けに来た。だが由美が抱く生後二か月の男児を見た瞬間、元夫の笑顔は凍りつく。 由美は離婚時、すでに妊娠していた。さらに彼女の手元には、元夫の裏切りと消えた夫婦の財産を示す証拠も残されていた。 捨てられた妻が過去を暴くだけでなく、息子とともに自分の人生と安心して帰れる家を取り戻す再生の物語。夫婦|親子関係|不倫2.6万字5 438 -
完結第18話
出産の日に捨てられた私の逆転
身分を隠し、愛する夫との平凡な幸せを選んだスー・ジーイェン。 しかし出産を目前にした日、夫のティンフォンは別の妊婦に付き添い、破水した妻を病院で見捨てた。 「俺が戻るまで勝手に産むな」 助けを求めても冷たく突き放され、絶望の中で彼女が押したのは、七年前に父から渡された銀色のペンダントだった。 その五分後、病院の空気が一変する。 身寄りのない女だと見下されていた彼女には、誰も知らない秘密があった。 夫の裏切りから始まった悲劇は、やがて病院全体を揺るがす巨大な不正へとつながっていく――。夫婦|第二の人生|親子関係|修羅場|不倫2.1万字5 1106 -
完結第20話
愛人と帰国した夫、30分の猶予
「この後彼女が来るから早く出て行けよ」 南の島から愛人と帰国した夫と義母は、日焼けした顔で私に吐き捨てた。十六年間、生活費を一銭も入れず寄生してきた挙句、亡き両親が遺した百坪の豪邸を乗っ取り、私を追い出す算段だ。届いた内容証明郵便を「慰謝料の小切手」と勘違いし、ハイタッチで完全勝利を確信する二人。 だが、愚かな親子はまだ知らない。十六歳の息子が密かに仕掛けたボイスレコーダーと、十五年前のベビーモニターが捉えた戦慄の記録を。そして、迎えに来た黒塗りの高級車の正体を。 「あと三十分後に消えます、ご安心を」 私が冷たく微笑んだその時、玄関のインターホンが鳴り響いた――。嫁姑|夫婦3.0万字5 389 -
完結第20話
妻の事故と、五歳の娘が見抜いた嘘
事故で下半身不随になった妻を前に、夫・大介は「僕が君の足になる」と誓う。ところが五歳の娘・春だけは冷たく「帰る」と言い、父に病室の毛布の下を見るよう促した。 そこに隠れていたのは、事故当時に妻と一緒にいた浮気相手。家族を置いて密会していた妻は、事故の賠償や介護まで夫に押しつけようとする。 幼い娘の一言で裏切りを知った父が、離婚と親権確保を決断し、娘と二人で新しい生活を始める物語。夫婦|真実|真相|親子関係2.0万字5 1458 -
完結第10話
13年前に消えた娘が、元隣人のSNSにいた
2009年、自宅から忽然と消えた四歳の娘・くるみ。母のえみは、娘の部屋を十三年間そのまま残し、帰りを待ち続けていた。 失踪から十三年後、元隣人のSNSに十七歳の少女が写る。成長した娘に似た顔、同じ三日月形のあざ、そして少女の名前も「くるみ」だった。ミステリー|夫婦|真実|真相|親子関係1.6万字5 179