みかん小説
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"米寿の席で外された嫁" 第7話

千鶴は返事をしなかった。完全に理解したとはえない。それでも帰り際、祝い袋をそうとはせず、に客として来ると言った。

、《菓子ひかり》には文化祭で商品を買った客や、文子のの常連が訪れた。松堂から客を奪わないよう宣伝先を分けたが、戸のように子のを探して来るもいた。

子は、昔の特注品をそのまま再現してほしいという注文を断り、今ので作れる形を提案した。過の自分を証するためのではない。文子としい職員が無理なく続けられる仕事にしたかった。

昼過ぎ、千鶴が達也とやって来た。義母は《ひかり》を2個買い、領収まで求めた。レジを担当したが緊張すると、千鶴は「私は主の姑です」と得そうに言った。

子は製造からて、「今はお客様です」と笑った。千鶴はそうにしたが、それ以さなかった。

、達也が片づけを伝おうとした。子は、従業員以が製造へ入る順を説した。夫は面倒そうな顔をせず、子をかぶり、を洗った。族だから例にするのではなく、族でも同じ決まりを守った。

その夜、子は久しぶりに松堂へち寄った。から、予約管理のしい表を見てほしいと頼まれていたからだ。仕事として30分だけ相談に乗り、宛てに相談料を振り込んでもらうことになった。

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の壁には米寿祝いの集写真が飾られていた。千鶴はまだすつもりがないらしい。子は写真の端にいる自分を見た。あのの自分は、族からされることを恐れ、33の働き方を失うことを恐れていた。

実際に失ったものはかった。松堂の名、慣れた厨、義父と考えた季節菓子、常連との常。それらはしいを持ったからといって戻らない。傷ついたまで成功物語へ塗り替えるつもりもなかった。

それでも、失った所のに何もないわけではなかった。

帰宅すると、達也が夕を作っていた。噌汁はし濃く、焼き魚の皮は焦げていた。子は黙ってべるのではなく、「次はめた方がいい」と言った。達也は素直にうなずいた。

「母さんが、を追いしたから子が成功した、と親戚に話している」と夫が言った。

子はわず笑った。「お義母さんらしいわね」

追いされたことへ謝する必はない。苦しめたが成の恩になるわけでもない。子が歩きせたのは、当な扱いが正しかったからではなく、それを正しいことにしなかったからだ。

翌朝、子は5に目を覚ました。昔と同じ刻だが、向かう所は違う。自分の鍵でけ、勤務表を確認し、休みの職員がいれば決められた順で作業を減らす。

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準備を終える頃、文子がやって来た。「今は注文がいけれど、残業はしないわよ」と言った。

「はい。作れる分だけ作りましょう」

子は先の札を《営業》へ返した。米寿の席で「から来なくていい」と告げられたから、14かが過ぎていた。

あの、誰かに必とされないことが、自分の価値を失うことだとった。今は違う。必とされるためにする所ではなく、自分が責任を持って続けられる所を選べばいい。

ショーケースには、表面にさな亀裂のある《ひかり》が並んでいた。割れ目から見える柚子餡は、朝のを受けて柔らかな黄に見えた。

子は扉をけ、最初の客へげた。

「いらっしゃいませ」

その声は、33番、自分のものだった。

から1週は、祝いの客とく訪れ、商品は午くに売り切れた。達也は「この調子ならすぐ松堂を超える」とんだが、文子は首を振った。景気と常の売を混同すれば、必に材料や設備を増やしてしまう。

子たちは最初の3か、毎の来客数と廃棄数を記録した。は客が半分になり、には箱入り商品のきが鈍る。逆にくの学事があるは、さな菓子がよく売れた。経験ではなく、今の所の活にわせてを作る必があった。

子は松堂で気だった商品を増やしたくなったが、文子に「ここへ来るは、松堂の代わりを探しているの?」

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