"消えた嫁と浅すぎる墓" 第6話
「1992の晦から、1993の元にかけて、あなたはどこにいました?」
「京です」
答えはかった。
「アパートででした」
「実には?」
「帰ってません」
野は頷いた。
「そうですか」
そして枚の写真を机に置いた。
佐藤よし子。
「この方が、元の朝にあなたを見ています」
静の頬が引きつった。
「勘違いでしょう」
「会話もしている」
「似たです」
野は次の資料をした。
売買契約。
静の顔が変わった。
「これをごじですね」
「りません」
「あなたの指紋があります」
「……」
「すみ子さんの指紋のに、あなたのものが残っている」
静は膝ので指を組んだ。
く。
く。
爪が皮膚へい込むほど。
「京にいたあなたが」
野は静かに尋ねた。
「どうしてこの類に触れたんですか?」
取調の計だけが音をてていた。
10秒。
20秒。
静は答えなかった。
やがて、突然顔をげた。
「兄です」
野が眉をかす。
「正雄さん?」
「兄が話してきたんです」
静はになった。
「変なことになった、助けてくれって」
「いつ?」
「元の朝です」
「それで?」
「急いで実に帰ったら、すみ子さんはもうんでいました」
涙が滲んだ。
「兄に脅されたんです。体を隠すのを伝えって」
野は黙っていた。
静は勢いを増した。
「私が殺したんじゃありません!」
「兄です!」
「私は怖くて逆らえなかっただけです!」
言い終わるまで待った。
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野はファイルを閉じた。
「静さん」
「……何ですか」
「作り話をするなら、もうし辻褄をわせた方がいい」
静の顔が固まる。
「まず、お兄さんにはアリバイがあります」
「嘘」
「4が証言しています」
「裏をわせてるのよ!」
「賭け麻雀で朝まで緒だった」
静の呼吸が荒くなる。
「そしてもうつ」
野は別の資料を取りした。
「あなたは元の朝、実の話から正雄さんの連絡を受けたと言いましたね」
「……ええ」
「無理なんです」
静の瞳が揺れる。
「当の話料記録を調べました」
武田の固定話。
正雄の借と活苦で、料を期滞納していた。
晦の点で利用止。
発信も着信もできなかった。
野は資料を机へ置いた。
「鳴らない話ですよ」
静がをけたまま固まった。
「あなたは誰から話を受けたんです?」
「……」
「正雄さんから?」
「……」
「それとも、んだ話からですか?」
静の肩が震え始めた。
「もうやめましょう」
野の声はかった。
「7、逃げ続けた」
「分でしょう」
「で何があったんです?」
静は両で顔を覆った。
しばらくして嗚咽が漏れた。
最初はさかった。
やがて体全体が揺れ始める。
「の……」
掠れた声だった。
「の類を見つけたんです」
野は何も言わない。
「母が見つけて……」
静は途切れ途切れに話した。
晦の夜。
噌樽のの封筒。
を売ろうとしていたすみ子。
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墓参り。
での論。
「私……って」
両が震える。
「スコップを……」
野の表がくなる。
「度殴ったら」
静は泣きながら首を振った。
「まだきてたんです」
「怖くなって……」
それから先を言うのに、いがかかった。
「もう度……」
静は机に額がつくほど俯いた。
「私がやりました」
取調に嗚咽が響く。
「私が、すみ子さんを殺しました」
野は黙って記録を取った。
「埋めたのは?」
「母と……」
静は泣いた。
「母が言ったんです」
『自分がんだら、そのに棺を置けばいい』
『誰も掘らない』
「だから……墓のに」
静はついに机へ突っ伏した。
7守り続けた秘密が、すべて崩れ落ちた。
200010。
青森方裁判所には、くの傍聴が集まっていた。
義姉を殺害し、母親と共に遺体を墓穴へ隠した事件。
しかもその、母親自の棺を遺体のへねるという異常な隠蔽。
さなだけでなく、県からも注目を集めていた。
被告席の静は、のを着て俯いていた。
かつての華やかさはない。
裁判では、殺害に至る財産トラブル。
売却を計画したすみ子。
の嫁姑問題。
正雄の賭け事と庭放棄。
それらがつずつらかにされた。
正雄も証言台へった。
「私は……妻が苦しんでいるのをっていました」
声が震える。
「でも何もしなかった」
母親から何を言われても、
「しろ」
とすみ子へ言った。
を空け。
賭け事へき。
庭の問題から逃げ続けた。
「母がくなる」
正雄は顔を覆った。
「何度も言ってたんです」
『すみ子が寒がっている』
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