みかん小説
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"消えた嫁と浅すぎる墓" 第8話

誰にも気づかれない所で7眠っていた女性が、ようやくの当たる所へ戻ってきたことを伝えるように。

それからさらに数が過ぎた頃、野は仕事で久しぶりにあのを訪れる会があった。は広くなり、かつて武田へ続いていた細いの周囲にもしい宅が建ち始めていた。昔の面を探そうとしても、記憶のにあった景と現景をねることは難しかった。それでも、りた野はしばらくの方を見げていた。

あの、墓のからすみ子が見つかった景は、が経っても忘れることができなかった。もっとく自分がいていればという悔も、完全に消えたわけではない。ただ、事件以野は、庭内の揉め事という言葉を以のように簡単には扱わなくなった。「夫婦喧嘩だろう」「そのうち帰るだろう」と決めつけず、本が最に誰と会ったのか、庭ので何が起きていたのか、つずつ確認するようになった。それが、すみ子に対して今の自分にできる唯の償いなのだとっていた。

そので、野はすみ子のしい墓を訪ねた。墓の周囲はきれいにえられ、さながいくつも咲いていた。すみ子の母親はすでにくなっていたが、親族の誰かが今も定期に墓を訪れているらしく、まだしいと線が供えられていた。

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野は墓にしゃがみ、度だけげた。

「遅くなって、すみませんでした」

誰も答えない。

聞こえるのはを揺らす音だけだった。

「あなたが消えた、私はちゃんと探さなかった」

せなかった言葉だった。

だと決めつけた。夫婦の問題だからって、く入ろうとしなかった。あのの私は、あなたが助けを求めていた能性を考えもしなかった」

は静かな差しを受けていた。

7、暗いに閉じ込められていた頃とは違う。今はを遮るものもなく、柔らかなが墓全体を包んでいる。

野はがろうとしたが、もう度だけ墓を見た。

「でも、あなたの事件を忘れません」

それは者への誓いであると同に、自分自への戒めでもあった。

のことだから。

族だから。

嫁姑の問題だから。

夫婦のことだから。

そうした言葉で側のが目を逸らした、本当に追い詰められているの声は簡単に消えてしまう。すみ子の16も、まさにそうだった。

彼女がを勝に売ろうとした為まで正しかったとは言えない。追い詰められたから何をしても許されるわけではない。それでも、なぜそこまでしなければ逃げられないとったのかを見なければ、この事件の本当の恐ろしさは分からない。

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誰かの突然の狂気だけが劇をんだのではなかった。

「嫁だからしろ」

「母親に逆らうな」

族なんだから」

へ恥をさらすな」

そんなさな言葉が何も積みなり、からしずつ逃げを奪っていった。

正雄は妻を失ってから、初めて自分が何もしなかったことのさをった。

は財産を失う恐怖とりに負け、取り返しのつかない線を越えた。

松子は娘を守るという名目で、くなった嫁をさらに7へ閉じ込めた。

そして、すみ子は誰にも助けを求められないまま、から逃げるためにで危険な賭けにた。

もし、あのの誰かが度でも相っていれば。

もし、正雄が妻の言葉を度だけ本気で聞いていれば。

もし、松子が嫁を「のために働く」ではなく、として見ていれば。

もし、静額より先に、義姉が16どう暮らしてきたのかを考えていれば。

結末は違ったかもしれない。

もちろん、それは今となっては答えのない像にすぎない。

それでも野は、その「もし」を忘れてはいけないとっていた。

やがてからかなが吹いてきた。

に供えられていたさく揺れた。

野は子をかぶり直し、静かに墓にした。

振り返らなかった。

すみ子はもう、あのの墓のにはいない。

誰かの棺に押さえつけられることもない。

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