"子どもを救って、僕は処分された" 第4話
蓮は、自分を完全に無罪にする証拠を求めていたのだと気づいた。だが、そんな証拠はしない。がびしたとしても、文子がけがをした。文子がちがったとしても、彼女を全に運ぶ責任が蓮にあった。
警察署をたところで、らない番号から話が入った。
「川さんですか。成瀬文子です」
入院の文子本だった。
「息子には内緒で話しています。あなたにつだけ聞きたいんです」
声はいが、はっきりしていた。
「あの、あなたは私がったのを見ていたんですか」
蓮はすぐには答えられなかった。
ここで「見ていない」と言えば、自分の責任は軽くなるかもしれない。しかし映像のの自分は、度、確かに内ミラーを見ていた。
「ちがろうとしたきは見ました」
話の向こうが静かになった。
「それでも、止まったんですね」
「はい」
「では、あなたは私が倒れるかもしれないとっていて、ブレーキを踏んだんですね」
その問いに答えるに、通話は切れた。
文子からの話以、蓮は眠れなくなった。
を守るためだった、という言葉は、自分を守る盾にもなる。だが、文子から見れば、自分が倒れる能性をりながら、別の誰かを選んだ運転士だった。
再訓練では、教官の相原と何度も同じ交差点をった。乗客を乗せない内で、速キロから通常制、めの制、緊急制を繰り返す。
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「君は急制の瞬、ハンドルをへ度切っている」
相原は計測表を見せた。
「自転との側方隔を作ろうとしたんだろう。ただ、それで部がへ寄る。子どもが完全に止まらなければ、輪付が危なかった」
蓮は映像で初めて、自分のがわずかにいているのを見た。正しい判断をしたという記憶は、細部まで正しかったわけではない。
「どうすればよかったですか」
「正解をから作るのは簡単だ。もっとで歩の子どもを危険対象として認識し、アクセルを戻す。それなら制はくできた。ただし、同じ状況を百回やって、百回防げるとは言わない」
相原は慰めなかった。その代わり、蓮を危険運転者とも呼ばなかった。
訓練目、杉浦から連絡があった。の母親が警察へ相談に来たという。匿名のを息子がいたとり、このまま黙らせれば息子がもっと苦しむとったらしい。
は佐野斗、歳。半、父親の暴力から逃れるため、母とで隣県から転居してきた。自転のブレーキが利きにくいことを母へ言えず、修理しないまま乗っていた。事故の、歩の傾斜で輪がへたが、バスとは接触していない。
警察は事故原因の補として聴取するが、斗の庭事は公表しないという。蓮にも、これ以の接触を控えるよう伝えられた。
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「これで会社も認めますよね」
「緊急回避の必性は認めるだろう。ただ、君の予測と制方法の評価は残る」
杉浦は現実を曲げなかった。
会社は翌、ウェブサイトの文章を修正した。
《当社運転士が交差点付で危険を認し急制をった際、お客さまが転倒されました。全確認および運転操作を含め、関係関と確認をめております》
最初の断定についての訂正や謝罪はなかった。
片桐は蓮を呼び、最初の謝罪文とは異なる確認をした。危険の発見が遅れ、位乗客への注が分だったことを認める内容だった。
「これは署名できます」
蓮が言うと、片桐はそうな顔をした。
「争うんじゃなかったのか」
「事実と違う部分を争っていました。僕に改善すべき点がないと言ったことはありません」
片桐はペン先で机を度たたいた。
「成瀬さん側は、君の乗務復帰に反対している。議会議員にも相談したそうだ。会社としては、別の職種への配置転換も検討する」
「事故原因の調査が終わるにですか」
「乗客の信頼も全の部だ」
蓮は確認へ署名したが、配置転換の同には署名しなかった。
その夜、結がアルバイト先から帰ると、玄関に智也がっていた。文子の息子は蓮より回りきく、スーツの襟が汗で濡れていた。
「母が退院しました。
はしばらくかせません」
智也は封筒を差しした。
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