"子どもを救って、僕は処分された" 第5話
には文子が通う教の休講案内と、治療費の細の写しが入っていた。
「母は、子どもに字を教えてきました。来、最の展覧会があったんです。骨がついても、を持てるところまで戻るか分からない」
蓮はをげた。
「申し訳ありません」
「子どもを守ったから仕方ないと言うがいます。でも、その子を守るためなら、母のは壊れてもいいんですか」
「よくありません」
「だったら、運転を辞めてください」
蓮は顔をげた。智也の目にはりだけでなく、疲れがあった。仕事を休み、母の着替えや事を伝っているのだろう。
「今、辞めるとは約束できません」
「反省していないんですね」
「辞めることだけが、反省だとはえないんです」
智也は何も言わずに帰った。
扉を閉めたあと、結がった。
「まで来て辞めろなんて、おかしいよ」
「おかしいけど、分かる」
「お兄ちゃんは悪くない」
「悪くない部分もある。悪かった部分もある」
そのつを同に抱えることが、蓮には何より苦しかった。
乗務をれてかが過ぎた。
蓮は営業所の庫で、忘れ物の理と内清掃を担当した。以はハンドルを握る同僚を見送る側になるとはわなかった。庫する両がを曲がるたび、自分の体まで置いていかれるようだった。
同僚の反応は分かれた。無言で肩をたたく者もいれば、事故の話になるとれる者もいる。
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ベテランのは、「子どもより客を転ばせない方を選べばよかった」と笑い、別のは「そんなことを公ので言うな」と止めた。
事故は、当事者以には数分で語れる話になる。危ない子ども、った齢者、若い運転士。誰かを悪者にすれば、次の便へにう。
蓮は再訓練の内容を自分でノートにまとめ始めた。交差点ごとの角、学の刻、勾配、歩の幅。事故現だけでなく、担当線の全区を休に歩いた。
ある、母の美が段ボール箱を持ってきた。父の遺品を理していて見つけたという。
「今まで渡せなかった。あの、事故のことをいていたから」
父は蓮が歳の、筋梗塞でくなった。無事故表彰を何度も受けた運転で、蓮にとっては失敗しないだった。
箱のには、古い運転報と冊の学ノートがあった。平成のページに、赤い線が引かれている。
《国で急制。荷崩れ。続接。脇から犬。もっとから学の集団を見て減速すべきだった。犬がたことを理由にするな》
会社の正式な報には、「物びしによる荷崩れ」とだけかれていた。しかしノートには、取引先の商品を破損し、翌から距便をされたこと、その処分を族に言えなかったことが記されていた。
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蓮は母を見た。
「お父さん、事故を起こしてたの」
「にはけががなかったから、事故とは言わないって本は言ってた。でも、半くらい倉庫の仕事をしてたよ」
「らなかった」
「あなたには、格好のいい父親でいたかったんでしょう」
父の言葉は絶対ではなかった。全員を無事にろせと言った本も、守れなかったものを抱えていた。
ノートの最には、復帰にへ教えた内容がかれていた。
《失敗した運転に必なのは、度と失敗しないという誓いではない。同じ形の危険をつでもく見つける習慣だ。誓いは眠くなるが、習慣はをかす》
翌、蓮は相原教官へ自分のノートを見せた。相原はページをめくり、いくつか誤りを指摘した。学の刻は曜で違い、事の誘導員がいるは別の角がまれる。
「これを君の反省文にするな。線の危険図として使える形にしろ」
「会社が受け取りますか」
「受け取らせる方法を考えるのも仕事だ」
蓮は清掃のに、過分の内転倒記録を組経由で閲覧した。個名を伏せた資料には、同じ交差点付で件の急制が記録されていた。件は自転、もう件はキックボード。けがはいなかったため、社内では「軽微事案」として共されただけだった。
事故現は、蓮だけが判断を誤った所ではない。
それでも会社は、線全体の危険ではなく、の運転士の注として処理しようとしていた。
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