"山奥に捨てられた下半身不随の妻妻は立ち上がる" 第3話
さらに平棒を使えば、装具を着けた状態で10秒ほどてる。歩と呼べる段階ではなかったが、なくとも「両脚は度とかない」という健の提は崩れていた。
午10になると、佳奈は病へ戻り、再び反応の鈍い患者を演じた。
健は妻の回復を疑わなかった。それどころか、病院側が治療拒否申どおりにいていないとると、美咲へ声を荒らげた。
「余計な期待を持たせないでください。転倒でもしたら、誰が責任を取るんですか」
「鈴さんご本が、治療の継続を希望されています」
「妻は正常に判断できる状態じゃない」
美咲はベッドのの佳奈を見たあと、健へ向き直った。
「確認は医師がい、診療録にも残しています。ご族であっても、ご本の同なしに治療内容を変更することはできません」
健の元から笑みが消えた。
佳奈は焦点のわない目を作り、のない音をさく漏らした。健はしばらく妻を見つめたが、やがて美咲の聞き違いだと決めつけるようにで笑った。
その、健のスマートフォンが点灯した。
《玲奈:末までに処理して。これ以待てない》
健はすぐに通を消したが、佳奈は送信者の名も文面も読んでいた。
そのの夜、佳奈は林へいメッセージを送り、会社の類と入退記録を消されないよう依頼した。
広告
続いて伊藤弁護士へ、偽造類の写真と病院の記録を転送する。
返信を待つ、病のから健の声が聞こえた。
夫は廊の端で、誰かと話をしている。
「焦るな。あいつは何も分かっていない」
声を潜めているつもりらしいが、夜の病棟にはよく響いた。
「次は失敗しない。に見つからない所なら、事故として処理できる」
い沈黙のあと、健はさらに声を落とした。
「林の見は、もう済んでいる」
佳奈は枕元のスマートフォンを取り、録音ボタンを押した。
そして夫が病へ戻ってくるに目を閉じ、いつものように眠ったふりをした。
第5話 真のなら1も持たない
健が「林の見は済んでいる」と話で話した翌々の夜、病棟に玲奈が現れた。
濃紺のスーツにを包み、きな類封筒を抱えている。健は佳奈が眠っていることを確かめると、玲奈を連れて廊の端にある族休憩へ入った。
佳奈は30秒待ってから子へ移り、スマートフォンの録音を始した。完全には閉まっていないガラス戸の向こうから、をめくる音に続いて玲奈の声が聞こえる。
「座のビルはRアセットへ移したわ。でも、佳奈に判断能力があったと証されたら、委任状も辞任届も全部ひっくり返される」
「だから先に終わらせる。病院には気分転換のドライブだと言って、奥摩へ連れす」
広告
健は、林のゲートを共通鍵で閉め、ドライブレコーダーと携帯話の位置報を切るつもりだと説した。佳奈を子ごと坂へ置き、も残さない。転落しなくても、助けを呼べない妻が衰するのを待てばいいという。
玲奈は止めるどころか、実を尋ねた。
「来週末だ。あの理学療法士が余計な期待を持たせるに片づける」
「森は? またを求してる」
「もう300万円払った。最初の事故の証拠も残っていない」
森は、佳奈が転落した事現の責任者だった。にっていたボルトと、事故直から自然なほどく現へ来た健の姿が、本の線でつながった。
「もしで見つかったら?」
玲奈の問いに、健はく笑った。
「真のなら、あの体では1も持たない」
必な言葉はすべて録れた。佳奈は音をてずに病へ戻ったが、ベッドへ移る途で脚がに残った。廊からヒールの音がづいてくる。
両腕で体を引きげ、脚を布団のへ収めた直、健が入ってきた。彼は子と佳奈を交互に見て、妻のを持ちげると突然した。
腕は力なくシーツへ落ちた。
「まさかな」
健がってから10分、佳奈は録音ファイルを保した。翌朝、彼女が話をかけた相は、会社の元顧問弁護士である伊藤浩だった。
「伊藤先、夫が私を殺そうとしています」
午には伊藤と私の捜査員2が病を訪れ、浦医師のち会いのもとで佳奈の能力を確認した。
広告
おすすめ作品
-
完結第20話
四十九日の絶縁
夫を突然亡くした三十七歳の裕子。悲しみに暮れる間もなく迎えた四十九日法要の日、帰宅した彼女を待っていたのは、ゴミ捨て場に放り出された自分の荷物だった。「息子が死んだら嫁は赤の他人よ!」そう言い放つ姑は、さらに幼い二人の子供まで裕子から引き離そうとする。だが、姑が三歳の息子だけを異常に可愛がる裏には、恐ろしい計画が隠されていた。子供たちを守るため、裕子は静かに反撃の準備を始める。そして数か月後、助けを求めて電話してきた姑に、裕子が告げた言葉とは――。人生逆転|裡切られた|嫁姑|夫婦|相続|裡の顔|介護2.3万字5 177 -
完結第13話
俺を睨む「氷の女」が、双子の前で笑った日
妹を事故で亡くし、遺された六歳の双子を男手一つで育てる伊吹公平。仕事と育児に追われる毎日の中、彼が最も苦手としていたのは、職場で「氷の女」と恐れられる経理主任・桐谷エリカだった。ところがある日、保育園へ迎えに行った公平は、娘たちに囲まれて優しく微笑むエリカの姿を目撃する。しかも、誰にも甘えようとしなかった内気な妹・りこが、彼女の服を握って離さない。冷たい視線の裏に隠されていた意外な素顔。そして、少しずつ変わり始める三人の暮らし。孤独を抱えた大人たちと、小さな双子が紡ぐ、温かな家族の物語。人生逆転|兄弟姉妹|裡の顔|親子関係|金銭問題1.9万字5 105 -
完結第18話
離婚翌日に6億円当選、実家で弟に「居場所はない」と拒絶された私
十五年間の結婚生活を終え、四十二歳で一人になった沙耶。途方に暮れていた彼女に、突然、六億円を超える宝くじの当選という奇跡が訪れる。両親を助け、人生をやり直そうと実家へ帰った沙耶だったが、弟の健太は「この家に姉ちゃんの居場所はない」と冷たく言い放った。理由も分からず傷つく沙耶。しかし、弟夫婦が十二年間背負ってきた現実を知り、彼女の考えは大きく揺らぎ始める。さらに当選を打ち明けた夜、健太が突きつけた一言が、家族の隠してきた本音を浮かび上がらせる。六億円があっても取り戻せないものとは――。人生逆転|兄弟姉妹|親子関係|金銭問題1.8万字5 198 -
完結第20話
「息子が高熱なのに来い!」夫一家に185万円の請求書を押しつけられた私の正体
夫と義家族から「何もできない専業主婦」と見下され、金銭まで搾り取られてきた松岡美央。しかし彼女には、世界的なホテルグループの最高責任者という、誰にも明かしていない秘密があった。ある夜、高熱を出した息子を看病していると、義母から三十件以上の着信が届く。「緊急事態だから今すぐ来なさい!」慌ててホテルへ駆けつけた美央を待っていたのは、豪華な食事を楽しむ夫一家と、185万円もの請求書だった。裡切られた|怒り|嫁姑|夫婦|親子関係|修羅場2.6万字5 1138 -
完結第10話
元夫に投げつけられたカード、残高は一億五千万円
「もう二度と、俺の前に現れるな」離婚の日、夫の大地に冷たく突き放され、ひな子は六歳の息子とともに家を追い出された。渡されたのは、養育費を振り込むという一枚のキャッシュカードだけ。ひな子はそれを封印し、工場で働きながら必死に息子を育ててきた。三年後、口座を解約するため銀行を訪れると、なぜか支店長自らが現れ、特別応接室へ案内される。通帳に記されていた残高は、なんと一億五千万円。さらに差し出されたのは、元夫の筆跡で「ひな子へ」と書かれた一通の封筒だった。あの日の冷酷な離婚には、誰も知らない秘密が隠されていた――。夫婦|真実|第二の人生|金銭問題|熟年離婚1.6万字5 722 -
完結第20話
高熱の娘を置き去りにした姉は、私の夫と不倫旅行中だった
結婚五年目の美和は、実の姉・麻里奈から生後十一か月の姪を十日間預けられる。ところが、姉が海外旅行へ出発した直後、幼い心ちゃんの容態が急変。必死に救急搬送する美和だったが、姉にも出張中の夫にも連絡がつかない。不審に思って姉のSNSを調べると、南国の写真に写り込んでいたのは、見覚えのある夫の腕時計だった。怒り|夫婦|親子関係|不倫1.8万字5 1216 -
完結第10話
泥の作業着と誇り
高校卒業から十七年ぶりの同窓会。咲は、夫が農家だと話した途端、華やかな暮らしを自慢する同級生のレナから大勢の前で笑いものにされてしまう。「泥だらけの旦那なんて恥ずかしくないの?」心ない言葉に傷つきながらも、咲は「世界一自慢の夫よ」と言い返した。やがて、仕事帰りの夫・大地が泥のついた作業着で迎えに現れると、再び嘲笑が巻き起こる。しかし次の瞬間、幹事の西村が顔色を変え、夫に向かって深々と頭を下げた。誰も知らなかった大地の本当の姿が、少しずつ明らかになっていく。人生逆転|夫婦|真相|第二の人生|修羅場1.7万字5 531 -
完結第18話
離婚翌日、父と食事中の私を「また金持ちに寄生か」と笑った元夫の末路
結婚生活のすべてを一円単位で折半しながら、家事だけは妻に押しつけていた夫・亮介。「お前は寄生虫だ」と離婚を突きつけられた綾乃は、静かに別れを受け入れた。 その翌日、実父と高級ホテルで食事をしていると、偶然現れた亮介と不倫相手が「もう次の金持ちを捕まえたのか」と嘲笑する。因果応報|夫婦|真実|金銭問題|修羅場|不倫1.9万字5 415