"出産予定日2日前、家を追い出された" 第5話
3、健は父の反対を「分でを見ている」と責め、私だけは守ると言った。その言葉を信じてをたのは私だ。けれど今えば、父との縁が切れたとった頃から、健の態度はしずつ変わった。活費をさなくなり、佳代の暴言を止めなくなり、最には私の名義の座まで奪った。
結婚指輪をすと、むくんだ薬指にい跡が残った。6のすべてが嘘だったとはいたくない。けれど、かつて優しかったを理由に現の犯罪まで見逃せば、次に差しされるのはまれてくる子のだ。
悔で自分を責めそうになったとき、腹ので赤ん坊がさくいた。私は写真を伏せ、証拠の刻と送信者を1つずつメモする。過の自分を裁くより、今守るべきものを守らなければならない。
そこへ、父の端末が鳴った。相は都設の内部監査だった。黒川が通話をスピーカーに切り替えると、緊張した声が病へ流れた。
「会、本健の承認IDから、自然な発注が複数見つかりました。10から予定していた部監査を、本への予告なしで実施します」
「額は」
父が尋ねると、数秒の沈黙があった。
「現段階で確認できる差額は、18かで4800万円です」
私は通帳に印字された620万円と、チャットに残る3000万円を見比べた。健が必としていたのは、しい庭のためのではない。
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会社から消えた4800万円を埋めるために、私も、まれてくる子も、美も利用しようとしていたのだ。
第6話 午10の監査
翌朝10、都設の購買部へ部監査の担当者4が入った。健のパソコンと業務端末はそので保全され、承認権限も止されたという。
私は産科病棟の個で報告を受けていた。窓のにはいの差しが差しているのに、胎児拍モニターの横へ置いた端末から聞こえる声はかった。
架空の発注先は3社、疑わしい請求は28件。18かで計4800万円が、健の承認を経て流していた。監査は資のき先を確定させるまで断定を避けたが、証拠保全と本の自宅待は即決まった。
1014分には、健が共サーバーの発注データをまとめて削除しようとした履歴も残った。操作は管理者権限で遮断され、彼が机から持ちそうとした会社支端末も、で総務担当者に回収されたという。請求だけなら入力ミスと言い張れても、監査の削除操作は偶然では済まない。
「警察へは、証拠がそろい次第、正式に相談します。今は逃げをふさぐ段階です」
父は私にそう説し、派な逮捕劇を急がなかった。りに任せてけば、健に記録を消すを与える。会社を率いてきた父の横顔を見ながら、私は昨夜「全部、記録に残したい」
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と言った自分の判断が違っていなかったとった。
助産師が運んできた湯にをつけると、張りつめていた喉がようやくいた。予定は今だ。赤ん坊を迎えるに、夫の正額を聞くことになるとはわなかったが、モニターの向こうで定に刻まれる拍だけは、私を現実へつなぎ止めてくれた。
1137分、私のしい端末に非通の着信が入った。黒川が録音の準備をえてから、私は通話ボタンを押す。
「由美、お、父親に何を吹き込んだ!」
健の声は鳴っていたが、その奥に焦りが混じっていた。背では役所の番号案内らしい子音が聞こえる。
「私は、されたことを話しただけよ。病院のキャンセル、回線止、保険の変更申請、それから620万円の振込」
「夫婦のをかして何が悪い。すぐへ話して、美の座を解除しろ。それと、受理申も取りげろ」
「私をにしたが、まだ夫婦を実にするの?」
「母さんはし反省させるつもりだっただけだ。おが素直に戻れば、こんなごとにはならなかった」
最まで、悪いのは私らしい。その言葉を聞いて、胸に残っていた迷いがきれいに消えた。
私は腹部を撫で、呼吸をえた。
「今、役所にいるの?」
健は答えなかった。代わりにを乱暴につかむ音がしたあと、抑えきれない声で叫ぶ。
「婚届が受理されないって、どういうことだ! もう証欄までかせたんだぞ!」
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