"出産予定日2日前、家を追い出された" 第11話
証拠がくても、同じ来事を示さなければはない。けれど今回は、発注で作ったを佳代へ移し、発覚に私の620万円と美の父の3000万円、を担保にした2500万円を集めようとした流れが、額と刻でつながっていた。
「佳代さんは、何もらずに受け取ったと言っています」
黒川が聞き取り記録をいた。佳代は「息子からの遣いだとった」「会社のとはらない」と繰り返している。
しかし健の業務端末には、佳代から送られた音声も残っていた。
《由美はの娘なんだから、くらいさせなさい。駄目ならを担保にすればいい。美さんのお父様の3000万円が入るまで、会社には気づかれないようにしなさいよ》
自分の声が再されると、佳代は黙り込んだという。玄関で私を追いしたのは、姑の気まぐれなりではなかった。健の計画をめるため、私をと類から引きす役目を、自分から引き受けていたのだ。
会社は刑事告訴へ向けた続きに入り、警察へ全資料を提した。警察はそので誰かを連するのではなく、座記録と端末の原本を確認し、関係者から順に事を聴くと説した。
私も病院からオンラインで事を説し、620万円の細、録音、偽造類について相談記録を作ってもらった。画面の向こうの担当者は、を1つずつ確認し、原本を変更せず保管するよう告げた。
広告
受付番号を藤原が復唱し、会社の告訴資料とは別に、私個の被害として理された。
「はかかっても、逃げられない形にします」
藤原の言葉に、私はうなずいた。娘は私の腕ので眠り、淡い緑の産着から、さなだけをしている。復讐を急いでこの子の全を危険にさらすより、1つずつを閉じるほうがいい。
それでも、健たちが黙って結果を待つとはえなかった。病院は私の希望で面会者覧を受付と警備へ共し、病階へがるエレベーターにも確認を入れていた。娘の届に関する類は施錠できる引きしへ移し、私は端末の通音も切った。
そのの夕方、退院に向けた診察を受けていると、廊が急に騒がしくなった。病のドアをノックした助産師が、緊張した顔で入ってくる。
「本さん、ご主とお義母様が正面入に来ています。赤ちゃんを渡せ、自分たちには会う権利がある、と声で……」
私は娘を抱き直し、ナースコールの横に置いた録音端末をに取った。
「面会は許しません。ただし、警備員と藤原先のち会いがあるなら、私が話します」
逃げるためではない。
今度は私が、2へ最の条件を告げる番だった。
第13話 「本の孫」
健と佳代を通したのは、病ではなく1階の面談だった。娘は児へ預け、私は子に座って藤原と父に挟まれる。
広告
産からまだ4しかたっておらず、ちがるだけで腹部がく痛んだが、2のでうつむくつもりはなかった。
面談、助産師は「体調が悪くなったら、途でも終わらせましょう」と私の血圧を測った。膝には娘が使っていた淡い緑のタオルを置く。甘い乳の匂いがわずかに残り、たい会話のへ戻る私を落ち着かせてくれた。
警備員2が壁際につ内へ入ると、佳代は私の姿を見るなり声をげた。
「赤ちゃんはどこ? 本の孫を母親の実に隠すなんて許されないわ」
「娘は全な所にいます。今、会わせることはありません」
「嫁のくせに勝なことを——」
「その嫁を、予定2の夜に追いしたのは誰ですか」
佳代のが止まった。藤原が机の央へ録音端末を置き、再ボタンを押す。《その荷物ごと、今すぐていきなさい》《由美、さっさとけよ》。狭い部に、あの夜の2の声と、に乱れた私の呼吸が流れた。
健は子を蹴るようにちがる。
「夫婦げんかを盗み録りしただけだ。子どもに会う権利とは関係ない!」
「今の連絡や面会については、子どもの全を最優先に正式な続きで決めます」
「父親の俺に、子どもを隠すのか。届だって俺の許がいるだろ」
「必な届は病院と役所に確認済みです。あなたが類を持ちしたり、勝に内容を変えたりできないよう保管しています」
広告
おすすめ作品
-
完結第14話
デブでダサいと捨てられた妻
「家で鏡くらい見ろよ」「太ってるし、服もダサい」。長年連れ添った夫から外見を馬鹿にされ、最後には別の女性を選ばれた妻は、何も言い返さず離婚届に判を押した。夫は、自分に捨てられた妻がこれからも地味で冴えない人生を送ると思っていた。しかし1年後、同窓会の会場で偶然再会した元妻を見た瞬間、その余裕は消える。髪型も服装も、立ち居振る舞いも以前とはまるで違う。だが、本当に夫を青ざめさせたのは“痩せて綺麗になったこと”ではなかった。離婚後の1年間で、彼女が取り戻していたものを知った時、元夫は初めて、自分が何を捨てたのか思い知らされる夫婦|熟年離婚2.0万字5 5 -
完結第15話
3日だけ帰るはずだった妻
「お盆は3日だけ実家に帰るね」。そう告げた恵子に、夫は「せいせいする」、20歳の息子まで「そのまま帰ってこなくていい」と笑った。だが2人は知らなかった。恵子は半年かけて必要な荷物を実家へ移し、離婚届にもすでに署名していたことを。翌朝8時30分、28年間の結婚生活を終わらせた恵子は、そのまま実家へ向かう。一方、妻がいなくなった家には夫の愛人が大きなキャリーケースを持って現れ、3人で新生活を始めようとしていた。ところが翌朝、ガス、電気、水道が次々と止まり、さらにリフォーム会社から告げられた一言で夫の顔色が変わる。「この土地と建物の所有者は、佐藤恵子様です」――。夫婦|熟年離婚2.3万字5 0 -
完結第10話
「洗剤を入れた嫁」にされた私
45歳の私は、助産師として夜勤をこなしながら、夫と2人で静かに暮らしていた。 そんなある日、夫から義父の認知症を理由に、義両親との同居を頼まれる。家族のためならと受け入れた私だったが、同居が始まってから、義母の態度は少しずつ変わっていった。 夜勤明けに責められ、家事を押しつけられ、身に覚えのない悪口まで夫に吹き込まれる日々。それでも夫は、いつも義母の言葉だけを信じた。 やがて私は、義父の“認知症”にある違和感を覚える。 そしてある夜、義母はついに言い放った。 「食事に洗剤を入れたでしょう!」 その嘘を信じた夫は、私に「出ていけ」と告げる。 1か月後、私は離婚届を持って、もう一度あの家の玄関に立った。 その時、義家族が本当に恐れていたものが、ようやく明らかになる――。嫁姑|夫婦|裡の顔|真相1.5万字5 62 -
完結第10話
臨月の妻に親族30人分の法事料理を作らせていた母
臨月を迎えた妻を家に残し、出張へ出ていた夫。ところが予定より3日早く帰宅すると、台所には親族30人分の料理が並び、その横で妻が床に倒れていた。事情を聞けば、母は翌日の法事のために「嫁なんだから当然」と、身重の妻へ朝から料理を作らせ続けていたという。怒鳴りつけてもおかしくない状況だった。それでも夫は母を責めなかった。ただ妻を抱き上げ、病院へ向かう前に静かに告げる。「法事は予定通りやっていい」。母が安心した次の瞬間、夫は続けた。「ただし明日は、俺たち夫婦は一切参加しない」。その一言を境に、母が長年“家族のため”と押しつけてきたものが、次々と返され始める。嫁姑|親子関係1.5万字5 2637 -
完結第12話
留守番を命じられた妻
父が遺した築43年の家で、夫・浩司と義母・和子に尽くしてきた52歳の由美子。和子の喜寿を祝う2泊3日の温泉旅行を予約し、32万円を用意したのも彼女だった。ところが出発直前、「車が狭いから留守番ね」と置き去りにされる。後部座席の見知らぬ鞄、妊婦向けプランに変えられた予約、消えた実印。夫と義母は、妊娠した若い愛人を迎え、由美子の父の家まで奪おうとしていた。しかし2人を笑顔で見送った由美子は、すでに登記事項証明書と偽造書類を揃え、静かな反撃を始めていた。人生逆転|嫁姑|不倫1.8万字5 877 -
完結第11話
消えた指輪と義父の手帳
結婚2年目の美咲は、義母・富美子から突然、亡き義父が贈った大切な指輪を盗んだと疑われる。 防犯カメラには、夜中に美咲が仏間へ入る姿が映っていた。だが美咲は、ただ窓を閉めただけ。身に覚えのない疑いをかけられたうえ、夫の亮介までもが「バッグを見せれば終わる」と言ったことで、美咲は家を出る決意をする。 しかしその後、義姉から告げられたのは、7年前にも同じような“盗難騒ぎ”があったという事実だった。 さらに、亡き義父の手帳には、富美子が隠し続けてきた家族の秘密が残されていた。 消えた指輪は、誰が持ち出したのか。 そして義母はなぜ、真実を知りながら美咲を疑い続けたのか――。嫁姑|真実|親子関係1.6万字5 728 -
完結第7話
義母に「車が狭いから、あなたは留守番ね」と置いていかれた私
父が遺した築43年の家で、夫・浩司と義母・和子に尽くしてきた52歳の由美子。和子の喜寿を祝う2泊3日の温泉旅行を予約し、32万円を用意したのも彼女だった。ところが出発直前、「車が狭いから留守番ね」と置き去りにされる。後部座席の見知らぬ鞄、妊婦向けプランに変えられた予約、消えた実印。夫と義母は、妊娠した若い愛人を迎え、由美子の父の家まで奪おうとしていた。しかし2人を笑顔で見送った由美子は、すでに登記事項証明書と偽造書類を揃え、静かな反撃を始めていた。嫁姑|熟年離婚1.0万字5 7 -
完結第10話
帰る家は、ちゃんとあった
ある日突然、夫の順一は要介護の義母を家へ連れてきた。 何の相談もなく同居介護を押しつけられた霞。これまでも義母の世話を続けてきたが、感謝されるどころか暴言を浴び、夫からも在宅の仕事を見下され続けていた。 そして夫は笑いながら言い放つ。 「同居介護が嫌なら出ていけよ。親なし女に帰る家があるならな」 幼い頃に両親を亡くした霞には、逃げ場などない。夫も義母もそう信じていた。 しかし霞は静かに答える。 「なら離婚で。実家に帰ります」 夫が知らなかっただけで、霞にはずっと守られてきた家があった。そして彼女の背後には、幼い頃から霞を支え続けた兄の存在があった。 妻を追い詰めた夫が、後日ようやく知ることになる。自分が馬鹿にしていた妻の仕事も、母を入れようとした介護施設も、すべて思いもよらない場所につながっていた――。嫁姑|介護1.4万字5 964 -
完結第10話
米寿の席で外された嫁
米寿祝いの席で、義母は親族の前で突然言った。 「秋子さんには、明日から店へ来てもらわなくて結構です」 33年間、朝早くから和菓子店《松月堂》を支えてきた秋子。餡を練り、注文を管理し、繁忙期には夜まで働いてきた日々は、義母の一言で“家族の手伝い”として片づけられた。 しかも店から外された秋子に、今度は義母の通院や世話を任せるつもりだった。 何も言わず席を立ったその夜、秋子は古い段ボール箱の中から、亡き義父が残した一通の封筒を見つける。 そこに入っていたのは、秋子を守るための遺言ではなかった。 店の帳簿に隠されていた不自然な金の流れ、説明されていない借金、そして義父が最後まで言えなかった家族の秘密。 「家族だから」という言葉の下で、誰が何を背負わされていたのか。 33年間奪われてきた時間と仕事の価値を、秋子が静かに取り戻していく物語。人生逆転|嫁姑|親子関係1.5万字5 1933