"毎週木曜、つながらない番号へ" 第4話
3は駅舎脇の待所へ移し、の子に腰をろした。
澄は古びた呂敷のから、枚のを取りした。黄く変したいで、部には「女子寄宿舎 夜当番表」と印刷されている。付は昭34312だった。
10ほどの名が縦に並び、そのに森田千鶴という名があった。
しかし、その名だけが赤い鉛でに消されていた。
「これが3に届いたんです」
修が説した。封筒に差の名はなく、楢沢町内の消印だけが押されていたという。にはこのが枚入っているだけで、も説もなかった。
「のは、千鶴が311に辞めたと言いました」
澄はを両で持ちながら話した。
「でも12の夜勤表に名があるんです。どうして辞めた子の名が、次のの当番表にあるんでしょう」
美代子には答えられなかった。
ただ、自分が見た話局の記録とも付が致している。312の午840分、番から桐へ話がかけられていた。もしその話を千鶴がかけていたのなら、の説はらかに嘘になる。
「千鶴さんは、毎週どんな話をしていたんですか」
美代子が尋ねると、澄の表がしらいだ。千鶴は4きょうだいの末娘で、学を卒業したもしばらくの畑を伝っていたが、17歳のに亜繊維へ入った。
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料の半をへ送り、話では父親の腰痛や畑の作柄を気にしていたという。
「い話はおがかかるから、いつも3分だけでした」
澄は寂しそうに笑った。
「最初に『みんな元気?』と聞いて、次に『お父ちゃんの腰はどう?』って。それから私が弟の話をしているうちに、もうがなくなるんです」
千鶴は話を切る、必ず同じことを言っていた。
「また曜にね」
だから澄にとって、曜の午840分は娘とをつなぐだった。
ところが312の話だけは違っていた。
澄はその晩、最初に受話器を取ったから娘の声がいつもと違うことに気づいていた。千鶴は声でになっており、誰かに聞かれることを恐れているようだったという。
「お母ちゃん、私ね――」
そこまで話したところで、雑音が入り、話は突然切れた。
澄はすぐに交換を呼び、つなぎ直してほしいと頼んだ。しかし番を呼びしても応答はなく、その夜は度と千鶴の声を聞くことができなかった。翌の夕方、へ話すると「森田千鶴は昨付で退職している」と説され、そのも話は変わらなかった。
美代子は違に気づいた。
「昨付、ですか」
「はい。13に話したら、11付で辞めたと言われました」
それなら千鶴は、退職したはずの翌、寄宿舎に残っていたことになる。
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美代子は、話局の記録について話すべきか迷った。だが母親が半抱えていた疑問に対し、自分のっていることが唯の裏付けになるかもしれないと考え、声を落として伝えた。
「312の午840分、番から桐への話は、話局の記録にも残っています」
澄は顔をげた。
修もを乗りした。
「本当ですか」
「はい。ただ、その話を妹さんがかけたとまでは証できません。でも回線が使われたことは記録されています」
澄はを握ったまま、しばらく何も言わなかった。やがて震える指で千鶴の名をなぞった。
「やっぱり、あの子はいたんですね」
その声を聞いた、美代子は初めて、自分がただの古い番号を調べているのではないことを実した。半「した娘」として扱われてきたの女が、実際にはにいたことを示す痕跡が、話局と枚の夜勤表の双方に残されていた。
その、修がの端を指さした。
「もうつ、気になることがあるんです」
夜勤表の部には、当番を変更した際の確認印が押される欄があった。千鶴の名が赤い鉛で消されているにもかかわらず、変更を承認した印だけがなかった。
つまり誰かが、正式な続きをせず、から千鶴の名だけを消していた。
翌から、美代子は番に関する記録をさらに注く調べ始めた。
話局には数かまでの接続票が束ねて保されており、距通話については刻、相番号、通話などがきで残されていた。
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