"旅行代を全額68万円出したのに現地で「年寄りはすぐ疲れて足手まとい」と別行動された" 第10話
臨取締役会
5、ホスピタリティ本社で臨取締役会がかれた。
私は株主として報告を受けるため席したが、処分案の作成には関わらなかった。い楕円形のテーブルには役員と監査担当が並び、直は番端の席で背筋を固くしている。箱根で着ていた価な着とは違い、紺のスーツはきちんとえられていた。それでも、目のの疲れは隠せていなかった。
コンプライアンス担当役員の恵が、調査結果を読みげた。
対象となったのは、過3の11件、減免額286万円。私の事承認は1件もなく、すべて直自が《主株主本同》《確認済み》と登録していた。美咲から提されたLINEも、彼が虚偽の説をしていたことを裏づけている。
さらに、3施設から提された接客記録には、客変更や対応を断ったスタッフへ、直が本社管理職として連絡した事実が残っていた。美咲だけに責任を負わせることもできなかった。
会議のモニターには、当対応した2のスタッフの聞き取り記録も映された。満で部を変更できないと説した若い社員は、翌朝、直から所属を通じて注を受けている。別の施設では、貸切呂のをずらすため、すでに予約していた族へホテル側がをげていた。
表面は286万円の損失でも、その裏では従業員が規則どおりに働いたことで責められ、正規料を払った宿泊客が予定を変えさせられていた。
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数字だけを返しても、そこで失われた信頼までは戻らない。
「族向け制度の運用が曖昧だった部分はあります」
直は資料をめくりながら反論した。
「父が創業者で、母が株主なのは事実です。会社に貢献してきた族が施設を使っただけで、正と呼ぶのは厳しすぎます」
は表を変えなかった。
「問題はご族であることではありません。同していない株主の承認があると、11回入力したことです。管理職が自分の利益のために事実と異なる申請をした点を審査しています」
「286万円なら返還します」
「返せば虚偽がなくなるわけではありません」
部が静まり返った。直は私へ助けを求めるような目を向けたが、私はを挟まなかった。ここで母親として彼をかばえば、従業員に守らせてきた規則を自分で壊すことになる。
審議の結果、取締役候補への推薦は取り消された。直は事業発部から管理権限のない担当職へ格し、会社が負担した286万円を返還する。今2、役員候補の審査対象にはしないという決定も加えられた。
創業向けの利用資格もそので止され、今は般社員と同じ宿泊制度だけが適用される。は全28施設へ制度の再確認を通し、本同のない申請には面承認を必須にすると説した。
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息子1の処分で終わらせず、同じことを繰り返せない仕組みに変えるためだった。
直の顔から表が消えた。
「母さんが34%を持っているのに、止めようとえば止められただろう」
会議、廊へた彼は、私ので声を荒らげた。
「父さんが作った会社で、実の息子をここまで落とすのか」
「あなたのお父さんが作ったのは、息子の嘘を守る会社ではありません」
「俺より会社のほうが事なのか」
「会社を働いて支えているを、あなたよりに置く理由がないと言っているの」
直は何か言い返そうとしたが、そのに私のスマートフォンが鳴った。美咲からのいメッセージだった。
《しばらく実へ戻ります。直とは、今のまま暮らせません》
画面を見せると、直は壁にをついた。
役職だけでなく、自分の嘘を信じていた妻まで、彼のかられ始めていた。
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