"共通テストで950点を取った私より、880点だった妹だけを家族は祝った" 第2話
48かの計算
翌朝、美空が台所へ入ると、卓いっぱいに賃貸物件の資料と計表が広げられていた。昨夜の華やかな皿は片づき、代わりに赤い数字が並んでいる。
「ちょうどよかった。あなたにも関係する話だから座って」
恵子が指した子には、美空の湯みだけがなかった。
正は卓を叩きながら、梨奈の学費用を読みげた。初度納付138万円、都内の賃は9万8000円、敷や礼に加えて具とが50万円。さらに活費として毎15万円を送るという。
「これだけ必なんだから、おまで学させる余裕はない」
「私の受験先を、聞きもしなかったよね」
「聞く必があるか? おは卒業したら元で働くんだ。品なら、父さんのりいが紹介してくれる」
正は決定事項を伝えるように言い、計表の最段を指で度叩いた。
そこには、美空の名とともに《毎8万円》と記されていた。さらに、その隣には《族当2万円》とある。
「おの料からに8万円。会社からる扶養族当が2万円。わせて10万円だから、4、48かで480万円になる。このがあれば、梨奈をして卒業させられる」
美空は数字を目で追った。自分がどこで暮らし、何をべ、将来のためにいくら残すのかは、表のどこにもかれていない。そこにいたのは娘ではなく、48回に分けて振り込まれる480万円だった。
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「私は取り16万円くらいでしょ? その半分をに入れるの?」
「む所と事は用してやる。残り8万円もあれば分だ」
「お姉ちゃんは実なんだから、おかからないじゃん。私、蔵庫はきいのがいいな」
梨奈は物件の写真をめくりながら、当然のようにを挟んだ。その軽い声を聞いた瞬、美空ので、昨夜まで残っていた罪悪が静かに消えた。
「この480万円を、私がすって度でも言った?」
美空が尋ねると、恵子は卓を置き、困った子供を見るように眉を寄せた。
「族なのに、いちいち承諾が必なの? 梨奈は京で勉に集しなきゃいけないけど、あなたはからへ通うだけでしょう。費と費を引いたら、8万円くらい当然よ」
さらに恵子は、具の注文を美空のへ滑らせた。50万円のうち20万円はすでに正のカードで決済され、残額はまでに払う予定になっている。美空の就職も与額も決まっていないのに、そのだけは入ってくるものとして使われ始めていた。
正が席をした隙に、美空は計表をスマートフォンで撮した。すると、類のから、正の勤務先名が入った《同居族現況確認》が現れた。
美空の欄には、《就職予定なし》《収入見込み0円》《引き続き扶養》と記入されている。末尾の本確認欄には、美空の跡に似せた署名まであった。
「これ、誰がいたの?」
戻ってきた正のが止まったが、すぐに類を奪い取った。
「会社の続きだ。子供がをすことじゃない」
美空はエプロンのポケットに入れたスマートフォンの録音を始し、声が震えないよう息をえた。
「私を働かせるのに、会社には働いていないと申告するの?」
「正直にいたら、2万円が止まるだろう。おはにいることにしておけばいい。料は現でもらわせるから、会社には分からない」
正は声を落とし、を押すように続けた。
「梨奈の4が懸かってるんだ。余計なことはするな」
美空はうつむいたまま録音を確認した。1分42秒。必な言葉は、すべて残っていた。
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