"「異物が入ってる!」老舗そば屋を潰した“32秒の嘘”" 第10話
1億2000万円の
翌の午7、川区の集会所はち見がるほど混みっていた。
方には黒川の会社が用した再発図が掲げられ、央にしいの完成予図がきく映っている。そこには柚庵のも、すでに取得済みであるかのようにづけされていた。
黒川は壇にち、集まった民と記者へをげた。
「弊社に対して、事実と異なる報が広がっています。問題の映像は加されたものであり、夜に侵入した物のも、会社が指示したものではありません」
会の方で聞いていた結の肩がくなった。私はその腕に触れ、佐伯と緒に通をんだ。
「瀬澄子です。私のについてのお話なら、当事者にも説させてください」
ざわめきが広がった。司会者は困った顔をしたが、域の商会がマイクを渡してくれた。佐伯が持参したパソコンを会の器につなぐ。
最初に映したのは、32秒版と1分41秒の元画だった。がちがり、元画は自分が会社支の携帯話で撮し、社内の共フォルダへ保したものだと証言する。撮とファイル報も、端末に残る記録と致していた。
「彼は処分を恐れて嘘をついているだけだ」
黒川が言い切ると、佐伯は次の映像へ切り替えた。
「では、会社から受け取った原本が、なぜ瀬さんの映像と同じ1分41秒なのか説してください。
広告
32秒版が作成されたのは、そのです」
佐伯の問いに、黒川は編集担当者へ確認だと答えた。だが、先ほどまで淀みなく話していた調は崩れ、元の資料をめくる音ばかりがマイクへ入った。
午217分、森が柚庵の裏から入り、そばの袋へ属片を仕込む43秒。その映像と並べて、保健所への匿名申が11以に届いていた記録を示す。先に偽の写真を送り、検査夜に“原因”を置こうとした順序が、刻によって化された。
「森が勝にやったことだ。会社は関係ない」
黒川の声が初めてずった。
今度はが社内LINEをスクリーンへ映した。来の指示、23件のコミ文案、裏と材庫の確認報告。最に黒川自のアカウントから送られた1が拡される。
『を潰して客をゼロにすれば、1億のでも1800万円で売る』
私は壇の机へ、最初の契約を置いた。
「こちらが1800万円の売買契約です。そして、私が事に依頼していた鑑定では、と建物の参考評価額は1億2000万円でした」
「その鑑定は、をく売るために用したものでしょう」
黒川が反論すると、私は2通目の契約も横に並べた。そこには3000万円への増額と引き換えに、映像や連絡記録を示せず、警察への申告を取りげるという条項がある。
「それなら、なぜの価値が1で1200万円もがったのでしょう。
広告
属片の写真が失敗し、防犯映像が残っているとったに」
会からいどよめきが起きた。黒川は契約を取り返そうとを伸ばしたが、佐伯が先に透な資料袋へ戻した。
続いて示された社内資料には、取得予算7000万円と記されていた。1800万円しか払えない会社だったのではない。最初から差額を利益に変えるため、の信用を先に壊そうとしていたのだ。
6分の1にも満たない額。その差がにされた瞬、会の空気が変わった。民席からりの声ががり、同していた会社役員たちは完成予図ではなく、黒川の顔を見るようになった。
私は客席の番ろに、製本所の職や所のの主がっているのを見つけた。の評判が落ちた、何も確かめずれたもいた。それでも今は、誰も目をそらさず、スクリーンに並ぶ刻と額を見ていた。私1の言葉なら齢主のい込みで片づけられても、映像と契約の数字までは黙らせられない。
「全部、でっちげだ!」
黒川がマイクをつかもうとした、会社の専務がそのを止めた。
「昨夜の映像公を受け、取締役にはすでに緊急招集をかけています。今示された資料が社内記録と致するか、直ちに確認します」
専務は黒川のから社名入りの札をした。
「確認が終わるまで、あなたを本計画と代表業務からします」
広告
おすすめ作品
-
完結第20話
「嫁には1円もやらない」義母へ、家族3人の決断
義父の死後、義母との同居を始めて十年。40歳の香織は仕事と育児を両立しながら、家事も義母の世話も一人で担ってきた。 しかし義父の法事の日、義母は親族の前で「遺産は全部娘に渡す。嫁には一円もやらない」と笑いながら宣言する。 限界を迎えた香織が「では出ていきます」と告げると、夫も五歳の息子も一緒に家を出ることを決意。 三人が去った途端、義母の生活は崩れ始める。さらに、香織が十年間隠し持っていた亡き義父のノートには、誰も知らない前田家の秘密が記されていた――。人生逆転|嫁姑|介護|金銭問題2.4万字5 681 -
完結第18話
「家は俺が守る」息子を信じた母、4年後の衝撃
骨折をきっかけに高齢者施設へ入った72歳の黒田春江。息子の直樹は「家は俺が見ておく」と約束したが、回復後も「家が傷んでいる」と帰宅を拒み続けた。やがて面会も途絶え、気づけば四年。76歳になった春江は、相談員の助けを借りて自宅を訪ねる。ところが、荒れているはずの家は美しく整えられ、鍵まで交換されていた。さらに玄関の向こうから聞こえてきたのは、誰かの足音。息子が隠していた秘密とは何なのか。家族への信頼と、自分の人生を取り戻すための静かな反撃が始まる。親不孝|親子関係|介護|金銭問題2.5万字5 759 -
完結第10話
拾った財布で泥棒扱い――5万円の濡れ衣と反撃
九歳の娘を育てながら、商社の経理部で働く森田咲。ある朝、会社のロビーで財布を拾い、管理員立ち会いのもと持ち主の女性主任へ返却した。 ところが直後、主任が突然押しかけてきた。 「財布に入っていた五万円がない! あなたが盗んだんでしょう!」 同僚の前で泥棒扱いされ、母子家庭であることまで侮辱された咲。しかし彼女は取り乱さず、一枚の受領書を取り出す。 証拠によって反撃を始めた咲だったが、会社はなぜか彼女を重要業務から外してしまう。やがて、財布の紛失騒動の裏に隠された別の疑惑が浮かび上がり――。職場逆転|裡切られた|裡の顔|金銭問題1.8万字5 191 -
完結第16話
義実家同居を勝手に決めた夫、私は別の新居へ引っ越した
結婚七年目の栗原早苗は、夫・正吾から突然、義実家での同居を告げられる。相談もなく決められた引っ越しに加え、義母からは朝食作りや洗濯、義父の弁当まで押しつけられることに。 何度反対しても、夫は「そのうち慣れる」と聞く耳を持たず、勝手に今のマンションまで解約してしまう。 追い詰められた早苗は、夫に内緒で自分だけの新居を契約。そして迎えた引っ越し当日、二台のトラックが別々の住所へ向かう。 義母からの三十件を超える着信。何も知らない夫が「荷物は全部運んだよな?」と尋ねたとき、早苗の静かな反撃が始まる。裡切られた|嫁姑|夫婦|金銭問題|修羅場2.1万字5 975 -
完結第13話
俺を睨む「氷の女」が、双子の前で笑った日
妹を事故で亡くし、遺された六歳の双子を男手一つで育てる伊吹公平。仕事と育児に追われる毎日の中、彼が最も苦手としていたのは、職場で「氷の女」と恐れられる経理主任・桐谷エリカだった。ところがある日、保育園へ迎えに行った公平は、娘たちに囲まれて優しく微笑むエリカの姿を目撃する。しかも、誰にも甘えようとしなかった内気な妹・りこが、彼女の服を握って離さない。冷たい視線の裏に隠されていた意外な素顔。そして、少しずつ変わり始める三人の暮らし。孤独を抱えた大人たちと、小さな双子が紡ぐ、温かな家族の物語。人生逆転|兄弟姉妹|裡の顔|親子関係|金銭問題1.9万字5 544 -
完結第18話
離婚翌日に6億円当選、実家で弟に「居場所はない」と拒絶された私
十五年間の結婚生活を終え、四十二歳で一人になった沙耶。途方に暮れていた彼女に、突然、六億円を超える宝くじの当選という奇跡が訪れる。両親を助け、人生をやり直そうと実家へ帰った沙耶だったが、弟の健太は「この家に姉ちゃんの居場所はない」と冷たく言い放った。理由も分からず傷つく沙耶。しかし、弟夫婦が十二年間背負ってきた現実を知り、彼女の考えは大きく揺らぎ始める。さらに当選を打ち明けた夜、健太が突きつけた一言が、家族の隠してきた本音を浮かび上がらせる。六億円があっても取り戻せないものとは――。人生逆転|兄弟姉妹|親子関係|金銭問題1.8万字5 946 -
完結第10話
元夫に投げつけられたカード、残高は一億五千万円
「もう二度と、俺の前に現れるな」離婚の日、夫の大地に冷たく突き放され、ひな子は六歳の息子とともに家を追い出された。渡されたのは、養育費を振り込むという一枚のキャッシュカードだけ。ひな子はそれを封印し、工場で働きながら必死に息子を育ててきた。三年後、口座を解約するため銀行を訪れると、なぜか支店長自らが現れ、特別応接室へ案内される。通帳に記されていた残高は、なんと一億五千万円。さらに差し出されたのは、元夫の筆跡で「ひな子へ」と書かれた一通の封筒だった。あの日の冷酷な離婚には、誰も知らない秘密が隠されていた――。夫婦|真実|第二の人生|金銭問題|熟年離婚1.6万字5 1024 -
完結第18話
離婚翌日、父と食事中の私を「また金持ちに寄生か」と笑った元夫の末路
結婚生活のすべてを一円単位で折半しながら、家事だけは妻に押しつけていた夫・亮介。「お前は寄生虫だ」と離婚を突きつけられた綾乃は、静かに別れを受け入れた。 その翌日、実父と高級ホテルで食事をしていると、偶然現れた亮介と不倫相手が「もう次の金持ちを捕まえたのか」と嘲笑する。因果応報|夫婦|真実|金銭問題|修羅場|不倫1.9万字5 545 -
完結第23話
昭和53年、満員の始発を止めた運転手――その後、坂道で起きた悲劇
昭和53年7月30日。沖縄の交通が右側通行から左側通行へ切り替わった朝、55歳のバス運転手・新垣清徳は、32人の乗客を前に始発の発車を拒んだ。用意された旧型バスは、乗降口が車道側に開く危険な車両だったのだ。しかし欠便を恐れる主任は、若い運転手にその車を出すよう命じてしまう。やがて坂下から届いたのは、一人の少年が負傷したという知らせ。なぜ危険だと分かっていたバスが走ったのか。清徳は息子や同僚たちとともに、事故の責任と、誰も気づかなかった道路の危険に向き合っていく。職場逆転|時代|歴史|昭和|裡の顔3.0万字5 445