"同じ部署の社員が月30万〜50万円もらう中、私の月給だけは18万円だった" 第12話
48の解決案
部監査の聞き取りは、私が像していたよりくんだ。11分の評価表、顧客向け員表、アクセス履歴、勤怠記録をねると、同じ形が何度も現れたからだ。
顧客先では専業務を担当したことになっているのに、社内評価では《補助作業》。障害対応の記録が残っていても、次報告では正社員の成果。夜に復旧作業をしても、翌朝の始業刻まで勤務した扱いにならない。
私の、直6かだけで障害対応は73件あり、夜21件、休9件だった。会社の勤怠表では、そのくが0になっている。午418分から227分対応したも、記録は通常どおり午9に勤しただけだった。
ただし、会社が顧客から受け取った額と与の差だけで、直ちに違法になるわけではない。問題は、実際の仕事をりながら評価をき換え、対応まで記録からしていたことだった。
退職者の1は、障害を3で復旧させた翌、《指示待ちで技術力がい》と評価されて契約を終えられていた。成果は当の正社員へ移され、その社員は30万円の特別賞与を受けている。
別の女性は、更面談で待遇差を尋ねた翌週、担当していた顧客会議からされていた。彼女が自宅に残していた与細と業務連絡の刻を照すると、2でなくとも286の対応が確認できた。
広告
誰も仕事をしていなかったのではない。記録される所だけを奪われていた。
私は画面越しに証言を聞き、4の自分を見ているような気がした。辞めれば顧客へ迷惑がかかる。反論すれば次の更がなくなる。その恐怖を、田と佐藤は1ずつ別々の部で利用していた。
調査始から4目、都システム発の代理を名乗る弁護士から、私の代理へ《期解決案》が届いた。
提示額は60万円。
条件は、未払いの対応、事評価、次報告に関する請求をすべて終わらせ、今は会社や関係者について第者へ話さないこと。11の調査への自主な協力までく縛りかねない、範囲の広い条項だった。
面には回答期限が48と太字で記されていた。考えるをくし、ほかの10と連絡がつくに署名させたい図が透けて見える。藤原は、急ぐ法な理由はないと確認したうえで、期限に惑わされる必はないと説した。
「野さん個だけを、先に切りしたいのでしょう」
代理の藤原彩弁護士は、面を机へ置いた。青葉通信の会議からは、夕方の速と、その向こうに並ぶビルの灯りが見える。
60万円は、以の料なら3かを超える額だ。数の私なら、会社と争わずに済むだけで救われたとったかもしれない。
広告
けれど、承諾すれば、18万円に押し込められた理由も、同じ扱いを受けた10の記録も、また見えない所へ戻される。
私は鞄から、署名しなかった更のコピーをした。いの18万円はもう怖くない。怖いのは、声をげたあとで自分だけがを受け取り、ろにいるたちへ同じが渡され続けることだった。
「受け取りません。私は会社を困らせるために話したいのではありません。誰が何をしたのか、記録どおりに残してほしいんです」
藤原はうなずき、拒否回答を封筒へ戻した。
そのとき、監査担当からしい集計が届いた。11のうち、客観なログで確認できた対応は計1126。まだ、退職者4分の古い記録を加えていない数字だった。
さらに添付された事会議の録音記録には、佐藤の声が残っていた。
《期のたちは、更しないと言えば黙ります。数字は正社員へ付け替えてください》
藤原は再を止め、静かに私を見た。
「これは、60万円で終わる話ではありません」
広告
おすすめ作品
-
完結第12話
靴磨きの少年と会長の時計
有楽町の高架下で靴を磨く18歳の佐藤蓮には、他人には聞こえない微かな機械音を聞き分ける力があった。ある日、常連客である東都ホールディングス会長・田中健三の腕時計から、機械式時計には存在しない電子音を聞き取る。留め具から現れたのは、米粒ほどの盗聴器だった。会長に請われて本社へ入った蓮は、次々と情報漏洩を防ぐが、やがて産業スパイに仕立て上げられる。300万円の入金、深夜の入館記録、捏造写真。会社だけでなく帰る場所まで奪われた少年は、古い靴箱に残した証拠を抱え、会長を追い落とそうとする陰謀に立ち向かう。職場逆転|人生逆転1.7万字5 599 -
完結第13話
「異物が入ってる!」老舗そば屋を潰した“32秒の嘘”
東京・深川で「柚香庵」を30年間守ってきた72歳の高瀬澄子。ある日、5人組の客から「そばに異物が入っている」と怒鳴られるが、正体は自家製の柚子薬味に残った種だった。ところが、男たちの目的は食事ではない。1億2000万円相当の土地を1800万円で奪うため、1分41秒の映像を32秒に切り、店主が異物混入を笑ってごまかしたように拡散したのだ。店の評価はわずか2時間で4.7から2.1へ。さらに保健所へ金属片の写真が届き、午前2時17分、閉店後の裏口に人影が現れる。30年分の信用を奪われかけた澄子は、孫とともに記録を残し始めた。職場逆転|金銭問題1.8万字5 1 -
完結第6話
会長、腕時計に盗聴器があります!
有楽町の高架下で靴を磨く18歳の佐藤蓮には、他人には聞こえない微かな機械音を聞き分ける力があった。ある日、常連客である東都ホールディングス会長・田中健三の腕時計から、機械式時計には存在しない電子音を聞き取る。留め具から現れたのは、米粒ほどの盗聴器だった。会長に請われて本社へ入った蓮は、次々と情報漏洩を防ぐが、やがて産業スパイに仕立て上げられる。300万円の入金、深夜の入館記録、捏造写真。会社だけでなく帰る場所まで奪われた少年は、古い靴箱に残した証拠を抱え、会長を追い落とそうとする陰謀に立ち向かう。職場逆転9.0千字5 176 -
完結第5話
「中卒は留守番してろ」と空港に置き去りにされた私
中卒ながら独学で資格を取り、旅行会社に中途入社した22歳の天野澪。現場経験を生かして難航していた企画を救っても、学歴を嘲る竹内部長に成果を奪われ続けていた。やがて澪は、予約困難な老舗旅館・天祥館の視察枠を獲得する。ところが出発前夜、竹内は部下を脅し、澪の航空券だけを密かに取り消した。羽田空港に1人残された澪へ届いたのは、「中卒は留守番してろ」というLINE。事情を知らず天祥館へ着いた同僚たちを待っていたのは、チェックインを認めない女将だった。なぜ女将は、不在の新人を待つのか。そして澪が保存した操作履歴と録音は、竹内の嘘をどこまで暴くのか。職場逆転8.1千字5 616