"愛人とタイへ行った夫の10日後" 第4話
浩司は、私の両親の遺産を使い込んでいた。
自分の母親の介護費を節約するために、私を無償の介護員として使っていた。
そして私が限界まで義母の世話をした、旅から帰れば婚届をして追いす。
しみも絶望も、もうなかった。
残ったのは、研ぎ澄まされたたいりだけだった。
私はスマートフォンを取りした。
細。
美穂への振り込み。
マンションのパンフレット。
500万円とかれたメモ。
婚届。
ピンクの便箋。
付も名も額も分かるように、全てを1枚ずつ撮した。
撮り終えると、元通りに戻した。
浩司には、私が見つけたことを絶対に気づかせない。
そのの夕方。
私はいつものように義母の夕を作った。
魚をべやすくほぐし、野菜を柔らかく煮た。
お盆を持ってへ入る。
「遅い」
義母はベッドから私を睨んだ。
「浩司がいないからって随分いい分ね」
私は黙って事を置いた。
義母はでスプーンを持ち、べた。
すぐに顔をしかめた。
「がい。こんなののべ物じゃないわ」
次の瞬、義母は噌汁の椀をで払った。
まだ温かい汁が私のエプロンと両にかかり、畳にも広がった。
「っ……」
「いい気ね。私にまずいものをべさせるから罰が当たったのよ」
私は黙って雑巾を取り、畳を拭いた。
すると義母は、さらに言葉をねた。
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「本当にげのない嫁。昔からそうだったわ。体、あんたは育ちが悪すぎるのよ」
私のが止まった。
「さな町で油まみれになって働いてた貧乏の娘でしょう。親が教養もないんだから、娘もこんな来損ないになるのよ」
義母は止まらなかった。
「うちみたいな派なの男に嫁げただけでも、あの世の親は謝してるでしょうね。むしろくんでくれて助かったわ。あんなみすぼらしい連が親戚だなんて恥ずかしいもの」
私はエプロンのポケットへを入れた。
スマートフォンの録音を始する。
そして静かに尋ねた。
「お義母さん。私の両親は来損ないだったと、本当にそうっているんですか?」
「ええ、そうよ」
義母は迷いもしなかった。
「来損ないの親からまれた来損ないの娘。あんたみたいな役たず、このに置いてやってるだけでもありがたいといなさい」
私はじっと聞いた。
「嫌なら今すぐていけ。自分の荷物だけ持って、さっさとこのからていきなさいよ」
その言葉まで、全て録音された。
「分かりました」
私はゆっくりちがった。
「何よ?」
「お義母さんが今、ていけとおっしゃったので」
義母の顔が変わった。
「はあ? あんた、私がこんな体なのに本気で言ってるの? 浩司に言いつけるからね」
「どうぞ。よくお伝えください」
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私は濡れたエプロンをし、義母に背を向けた。
「ちょっと、由美! 戻ってきなさい! お茶を持ってきなさい!」
背から叫び声が続いた。
だが、私は振り返らなかった。
2階へ戻り、ボストンバッグへ数分の着替えと貴品を詰めた。
その、スマートフォンが震えた。
画面に表示されたのは、1息子の名だった。
健。
私はしだけ迷い、それから通話ボタンを押した。
「もしもし。健、どうしたの?」
声が震えないように努めた。
「母さん。よかった、た」
話の向こうから聞こえてきた健の声は、子供の頃と変わらない穏やかさを残していた。
健は27歳。
県の企業で働き、今は1暮らしをしている。
「おばあちゃん、また母さんに無理言ってない?」
その言だけで、目の奥がくなった。
こので、私の体調を聞いてくれるは健だけだった。
「丈夫よ。いつも通りだから」
「母さん、無理してる声だよ」
しがあった。
「実は今話したの、父さんのことで気になることがあって」
私は息を止めた。
「父さん、今からタイ張って言ってたよな?」
「ええ」
「俺、3に京で父さんを見たんだ」
健の声がくなった。
「仕事用のスーツじゃなかった。派な私で、若い女のと緒だった。そうな具からてきたところだったよ」
私は目を閉じた。
「父さん、そのにすごく嬉しそうに話しかけててさ。
見違いかとったけど、絶対父さんだった」
健も気づいていたのだ。
私は、もう隠す必はないとった。
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