"娘がいない夜も、足音がした" 第2話
森田が直接来た、管理会社から話があった、咲がだった。刻が分かるものはインターホンの履歴とメールから拾った。14件のうち11件が午1043分だった。
週末、同じ6階の605号にむ川佳代子と廊で会った。60歳の彼女は訪問護師で、夜勤もある。私が防音業者のチラシを持っていたのを見て、事を尋ねてきた。
「1043分なら、うちでも聞こえるがありますよ。音というより、配管を叩くような音ですけど」
私は驚いて詳しく聞いた。川は洗面所か浴の壁から、ゴン、ゴンと数回鳴ることがあると言った。ただし勤務が規則で、毎確認したわけではない。
「管理会社へ言いましたか」
「2に度。でも、建物の伸縮音でしょうと言われました。眠れないほどではないので、そのままです」
川の部は私の隣で、森田の真ではない。音が横にも伝わるなら、603号のだけが原因とは限らない。私は証言をいてほしいとは頼まなかった。まず自分で確かめるため、騒音計をレンタルし、寝、廊、洗面所へ置いた。
その夜、1042分50秒、洗面所の壁からい衝撃音が響いた。をる音には聞こえなかった。続いてから、い棒で井を突くような音が6回返ってきた。咲はベッドからび起き、を塞いだ。
騒音計の数値は瞬がったが、庭用器の記録だけで発源を特定することはできない。
広告
私は刻と所をメモし、音声も保した。翌朝、森田から《昨夜も改善なし》というメールが管理会社経由で届いた。
私は謝罪をかなかった。《当該刻、娘は就寝であり、内では洗面所壁面から衝撃音を確認した。発源調査を求める》と返信した。
森田はそのの夕方、エントランスで私を待っていた。「械を置いて、被害者のふりか。私の妻は音で眠れず、血圧までがったんだ」
森田の妻・久恵は、最ほとんど姿を見せない。が悪く、自宅で療養していると聞いていた。私は体調への配は伝えたが、娘が原因だとは認めなかった。
「専業者に調べてもらいましょう。費用は原因が分かってから負担を話しいます」
「調査など必ない。真の部から聞こえるんだから、真が原因だ」
森田は理事会で、私の部へち入り確認を求めると言った。私は管理会社と第者の同席、の事調、確認範囲を面にすることを条件にした。
数、理事2と藤が来た。咲の部にはさ2センチのマットが敷かれ、具の脚にも保護材が付いている。藤は「分対策されていますね」と言ったが、森田はをかかとで踏み、「子どもが本気でれば響く」と主張した。
「本気でらせて確かめろ」と森田が言った、咲の顔が張った。私は娘を実験に使うことを断った。
広告
代わりに成の理事が通常歩と軽い踏みをし、503号で藤が聞くことになった。
結果、通常歩はほとんど聞こえず、い踏みは聞こえた。しかし午1043分の音と同じか、森田は「似ている」としか答えなかった。測定器も録音比較もなく、結論はなかった。
その夜、咲が言った。「私がいなければ、のは静かになる?」
私は、その問いを子どもに抱かせた自分を恥じた。翌週末から3、姉のへ泊まることを決めた。逃げるためではなく、603号を完全に無にし、器だけを残して確認するためだった。
私は音響調査会社へ相談した。正式な発源調査は数万円かかり、1晩で音がなければ追加費用も必になる。すぐ契約する余裕はなかったため、最初は簡易計測として、記録器2台と内カメラを設置してもらった。映像は内のと計だけを映し、共用廊やの部は撮らない。
曜午7、咲とをた。窓と栓を確認し、蔵庫以のは切った。玄関ドアの閉センサーも作させた。鍵を持つのは私だけで、管理会社にも無にするを事に通した。
姉ので夕をべても、咲は計を気にしていた。午10半になると、2でタブレットの計測画面を見た。内カメラには、照の消えた廊と騒音計のさなランプが映っている。
午1043分12秒、波形がきくねた。
音声には、ゴン、ゴゴン、ゴンというい衝撃音が5回記録されていた。
広告
おすすめ作品
-
完結第20話
息子が遺した証拠
長野県松本市に暮らす70歳の元宮大工・柏木源一郎は、一人息子の健太を交通事故で亡くした。しかし、慎重だった息子が居眠り運転をしたという警察の説明に、どうしても納得できない。 そんな中、同居を始めた嫁の美咲が、毎週木曜の夜に化粧をして外出し、若い男の車に乗っているという噂を耳にする。さらに息子の勤務先から、500万円の見舞金と引き換えに不可解な合意書への署名を求められる。 嫁を信じたい源一郎は、ある夜、密かに後を追う。そこで目にしたのは、息子の死につながる恐ろしい事実だった――。夫婦|親不孝|金銭問題|修羅場2.3万字5 94 -
完結第20話
葬儀3日後、姑に追放された私に亡き夫からの連絡
物流センターの事故で夫・直人を突然失った41歳の美和。しかし義母の数枝は、妻である美和に夫の顔を見ることすら許さず、葬儀を強引に取り仕切る。さらに葬儀の三日後、香典三百万円以上を独占し、13歳の娘・咲と美和を雨の夜に家から追い出してしまう。 絶望の中、親友に助けを求めた美和のスマートフォンに、午前四時、信じられないメッセージが届く。 「生きてる。母には言うな」 送信者は、火葬されたはずの夫だった。 閉ざされた棺の中にいたのは誰なのか。義母が隠そうとしたものとは――。夫の事故をめぐる疑惑と家族の裏切りを描く、衝撃の逆転サスペンス。因果応報|嫁姑|夫婦|親子関係|金銭問題2.3万字5 249 -
完結第16話
母の初盆を禁じた義父が、土地の名義を知った日
亡き母の初盆へ帰ろうとした由美は、義父から「籍を抜いて出ていけ」と言い渡される。結婚二十五年の夫・浩司も味方にはならず、由美は静かに家を出ることを決意した。 しかし、義父一家が暮らす家の土地は、十五年前に母が購入した由美名義のものだった。さらに夫が、その土地を無断で借金の担保にしようとしていたことが発覚する。 母の残した古い鍵と書類を手に、弁護士を訪ねた由美。やがて明らかになる夫の裏切りと、義父母が隠していた計画。二十五年間耐え続けた妻の、静かな人生逆転の物語。怒り|嫁姑|夫婦|修羅場2.3万字5 572 -
完結第14話
「一緒に浪人」は嘘だった――俺に届いた特待生通知
高校三年生の高瀬優馬は、恋人・彩佳の受験勉強を支えるため、自分の研究や試験対策を後回しにしてきた。「どちらかが落ちても一緒に浪人しよう」――その約束を信じていた優馬だったが、合格発表の日、受かった彩佳は彼をあっさり突き放す。しかし優馬には、彼女に隠していた特別奨学生の選考通知があった。自分の未来を取り戻す決意をした優馬は、名門工科大学で研究の才能を開花させていく。やがて大学のコンテストで再会した二人を待っていたのは、残酷なほど鮮やかな立場の逆転だった。因果応報|人生逆転|修羅場2.3万字5 389 -
完結第20話
生け垣を伐った4日後、隣人が青ざめた理由
72歳の佐野ふみ子は、亡き夫が40年かけて育てた生け垣に囲まれた家で、一人静かに暮らしていた。ところが隣人の美津江は、落ち葉や枝の張り出しに執拗に文句をつけ、ついには「違法な生け垣だ」と市役所へ通報する。 夫の思い出を守りたい気持ちを抑え、ふみ子は生け垣をすべて伐採することを決意。すると、長年隠れていた地中から古い境界杭が発見される。 そして伐採から4日後、あれほど生け垣を嫌っていた隣人が、真っ青な顔で玄関に現れた。 「お願い! 生け垣を元に戻して!」 突然の懇願の裏に、何があったのか――。因果応報|人生逆転|怒り|裡の顔|修羅場2.0万字5 715 -
完結第20話
離婚1時間でカード5枚停止、義母の豪邸宴会が一変
九年間の結婚生活を終えた神堂美緒は、離婚成立から一時間も経たないうちに、元夫・達也らに渡していたブラックカード五枚を利用停止にした。 一方、達也と義母の和江は、十億円の豪邸まで自分たちのものになったと信じ、親戚五十人を招いて豪華な宴会を開催する。 しかし、彼らは家の本当の所有者も、カードの契約者も知らなかった。さらに、美緒の署名を使った不審な不動産取引まで発覚する。 高額な料理とワインが次々と運ばれる中、祝宴の会計で明らかになる衝撃の事実とは――。因果応報|人生逆転|嫁姑|夫婦|金銭問題2.8万字5 898