"娘がいない夜も、足音がした" 第8話
担当者は戸惑い、森田が「騒音問題で母子が転居予定」と説したことを認めた。産会社は森田の娘の勤務先でも、親族の会社でもなかった。森田自が503号を売り、施設くへ移る相談をするで、私の部も空くと話したらしい。
私は担当者へ、売却予定はなく、今の訪問営業を断ると伝えた。森田へ直接抗議せず、にある直接・接の接触禁止に当たる能性を弁護士へ確認した。
弁護士名で産会社と森田へ通すると、会社は経緯を謝罪し、私の報を営業対象から削除した。森田は、雑談で推測を話しただけで悪はないと回答した。違反を巡って再び争うより、今第者へ私の転居や庭状況を事実として話さないという確認を追加した。
咲は産会社の封筒を見て、「引っ越すの?」と尋ねた。私は売るつもりはないと答えたが、娘は「ここにみたいか分からない」と言った。
私はショックを受けた。問題が解決し、を守ったとっていた。けれど、この部は咲にとって、静かに歩くことをいられた所でもある。
「引っ越したいなら、考えてもいいよ」
「お母さん、せっかく勝ったのに?」
「み続けることが勝ちじゃない。ることが負けでもない」
私たちは、すぐ結論をさず、休に別の域の賃貸宅を見学した。
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駅からいが広い部、学にいが賃のい部。咲は内見を楽しみ、帰宅すると603号の窓から見える夕焼けが番好きだと言った。
最終に、卒業まではここにみ、学学に改めて考えることにした。宅ローン残や売却費用も計算し、だけでかない。む所を森田へのではなく、自分たちの活で選び直した。
森田は半、503号を売却して退した。引っ越しの、廊で会ったが、彼は目をわせなかった。しい所者には、設備改修済みの報告と騒音履歴が管理会社から引き継がれた。
森田がった、咲は窓から引っ越しトラックを見ていた。「謝らなかったね」
「うん」
「悪いことをしたって、最は謝るんじゃないの?」
「謝らないもいる。だから、謝ってもらえないと終われない形にしない方がいい」
咲は納得した顔をしなかった。私も、から納得しているわけではなかった。ただ、現実にない謝罪を待ち続けるより、すでに変えた仕組みと活を見ることにした。
森田の売却話で、私は初めて自分の部の価格を具体に調べた。購入より相はしがっていたが、ローン残、仲介数料、次の居費を引けば、きな利益は残らない。《今が売り》という言葉だけでをかせるほど単純ではなかった。
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姉は嫌な記憶があるなら売ればいいと言い、川は設備が直ったのだから残る方が得だと言った。どちらも私をっての助言だったが、正反対だった。
私は咲と、の好きなところと嫌いなところをにいた。駅にい、当たりがよい、川が隣にいる。廊が怖かった、管理会社への信が残る、修繕積ががる予定。点数をつけるのではなく、どの問題なら改善できるかを考えた。
管理会社は担当を藤から経験のある社員へ替えた。藤個を罰するためではなく、調査初期に苦者の説だけを提にした対応を見直すためだった。藤からは謝罪文が届き、社内研修で今回の事例を匿名化して扱うとかれていた。
私は謝罪を受け取ったが、会社を全面に信頼したわけではない。議事録と点検報告は自分でも確認し、総会資料を保管するようになった。疑いくなったのではなく、共同財産を任せにしない民になったのだとう。
503号を購入したのは、30代の夫婦と3歳の男の子だった。引っ越しの挨拶に来た妻の彩は、以の騒音問題を管理会社から聞いており、そうに「子どもが泣いたらすみません」とをげた。
私は、自分が森田へ言われ続けた「まず謝れ」という空気を、今度は階の族へ向けそうになっていることに気づいた。
「普通に暮らしてください。気になる音があれば、決めた順で確認しましょう」と答えた。
実際、幼い子どもの泣き声やる音は、603号にも伝わった。
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