"夜逃げ社長に捨てられた4人" 第7話
でも、これじゃ別の町でも同じです」
凛はを止めた。
「商って、おだけのものじゃないとうんです。魚のおじさんが常連さんと話してたり、学帰りの子が寄りしたり、おばあちゃんがベンチで休んだりする所ですよね。そういうたちまで見える板にしたいのに、形にできなくて」
は散らばった図案を拾った。
どれも技術には悪くない。
だからこそ、凛が求めているものはのだけではてこない気がした。
「、パソコン触るな」
凛が驚いた。
「商を歩いてこい。朝から夜まで。じゃなくて、を見ろ」
翌、凛はで商へた。
朝、筒井の魚では仕入れた魚を並べながら主同士が声で挨拶をしていた。昼にはので幼い女の子が母親のを引き、夕方には学帰りのたちが喫茶のでち話をしていた。
凛はそのの夜、ほとんど話さずへ入った。
翌朝。
枚のデザインが完成していた。
商を本のとして捉え、入から各舗へ自然に線が流れる統サイン計画だった。派な統板を並べるのではなく、ごとの個性を残しながら、案内表示の部に共通する「結び目」のモチーフを入れている。
真希が最初に気づいた。
「これ、がをつないでいるようにも見える」
凛が頷いた。
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「骨には見せたくなくて。同士だけじゃなく、この町を歩くもつながってるじにしたかったんです」
はすぐに試作へ入った。
の駅用に仕入れた材を削り、用塗料をね、凛の図案を実際の板へ落とし込む。奈は施費を1円単位まで計算し、真希は提案資料に各舗の導線と来者のきを加えた。
コンペ当、10を超える事業者が参加していた。
制作会社も数社いる。
「結」は番さかった。
は壇へがり、凛のデザインをスクリーンへ映した。
用していた原稿は使わなかった。
「俺たちは、まだできて1にもならないさな板です」
会が静かになった。
「でも、この商で何枚も仕事をさせてもらって、つだけ分かったことがあります。魚の将は板を取り付けた、のへて何度も見げて笑ってました。居酒の主はしい板ので、お客さんと写真を撮ってくれました」
はしを置いた。
「板って、の名をいた板じゃないんだといます。そこで働くが、誰かを迎えるの顔なんです。俺たちは、その顔が町のでちゃんとつながる板を作りたい」
審査員のが、展示された試作品へ歩み寄った。
結果発表は夕方だった。
最優秀賞。
《板 結》。
名を呼ばれた瞬、奈が「嘘」
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と呟いた。真希は両で顔を覆い、凛は声をさずに泣いていた。
は3を見て、言だけ言った。
「やったな」
そのから。
「結」の名は。
初めて町のへ広がり始めた。
コンペ受賞から3、元の記者が「結」へ取材を申し込んできた。若い4がさな宅兼から応募し、制作会社を抑えて受賞したことに興を持ったらしい。は最初、独の経緯については当たり障りのない範囲だけ話すつもりだった。
黒田については触れない。
夜逃げのことも、未払い料のことも、の駅の妨害についても黙っておく。
取材では、共同活から仕事を始めたこと、商でさな案件を積みねたこと、凛がデザインを担当したことをに話した。記者も無理に過を聞こうとはせず、1ほどで取材は終わった。
記者が帰ったあと、真希がへ尋ねた。
「黒田のこと、話しませんでしたね」
「ああ。もう終わったことだ」
真希はしばらく黙っていた。
「本当に終わっていますか?」
は顔をげた。
「の駅の件、忘れてないですよね。黒田は今も同じ業界にいる。私たちが黙っていれば、また別の従業員や取引先が同じ目に遭うかもしれません」
にも分かっていた。
それでも迷った。
料を3かももらえなかった。
む所まで失いかけ、4で呂の湯を使い回した。
そんな過を聞へ載せるのは、惨めな姿を町へ見せるような気がした。
「恥ずかしい話だろ」
が言うと、奈が首を振った。
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