"夜逃げ社長に捨てられた4人" 第9話
自宅の1階だけでは作業スペースがりなくなり、くの空き倉庫を借りる話までた。
奈が資繰り表を見ながら言った。
「無理しなければ、借りられます」
真希は腕を組んだ。
「じゃあ次は、社員を入れます?」
はすぐに首を振った。
「採用するなら、まず3か分の料を別座に確保してからだ」
3が瞬黙った。
それから奈が笑った。
「そこ、絶対譲らないとってました」
黒田と同じ会社にはしたくない。
それは4全員が持っている、最も単純で最もい経営方針だった。
それから3、「板 結」は社員11のさな会社になっていた。企業と呼べる規模ではないが、商の舗板だけでなく、公共施設の案内サインや域イベントのデザインまで受けるようになり、以より定した仕事が入るようになっていた。
は代表になったが、自分の机へ座っているは今でもい。しく入った若い職と緒に材を削り、現で具を握っている方が性にっていた。
真希は営業責任者として県まで仕事を広げていた。相変わらず慮のない物言いは変わらず、が無理な納期を受けようとすると、「黒田号になるつもりですか」と言で止めた。
奈は経理と総務をまとめている。
料は毎25。
資繰りが苦しいでも、社員与を最優先するルールを作ったのは彼女だった。
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ある、が「しくらい遅れても説すれば分かってくれるんじゃないか」と軽を叩くと、奈は真顔で返した。
「それを言い始めた会社を、私たちはっていますよね」
は即座に謝った。
凛は27歳になり、デザイン部のになっていた。
デザイナーの作品を見ても、すぐに正解を教えることはしない。
「度、そののへってみて。板じゃなくて、入りしてるを見てきて」
かつてから言われた言葉を、そのまま輩へ伝えていた。
4の共同活は、会社が定するにつれてしずつ終わった。
最初に真希がくのマンションへ移り、翌には奈も自分の部を借りた。凛も仕事のくにさなアパートを借りたが、週に何度かは夕をべにのへ来る。
だけは、あのに残った。
1階は今では試作専のになっている。
あるの夕方、4は久しぶりにそのへ集まった。
奈が鍋を持ち込み、真希が酒を買い、凛は昔使っていたスケッチブックを持ってきた。
ページをめくると、共同活を始めた頃に描いた商の板案が残っていた。
「懐かしいですね」
凛が笑った。
「この頃、本当におなかったですよね」
「費500円だったからな」
が言うと、奈が満そうに反論した。
「500円でも私、結構頑張ってましたよ」
「卵のないオムライス作ったが言うな」
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真希の言で全員が笑った。
あの頃は、む所があるかさえ分からなかった。
社が消え、料を失い、仕事を失い、自分たちの経歴まで汚されたような気がしていた。
けれど。
失ったものだけではなかった。
は仲と会社を作った。
真希は自分の営業力を、誰かをだますためではなく町の仕事をつなぐために使えるようになった。
奈は数字を守ることで、そこで働くの活を守る仕事を見つけた。
凛は、自分が昔話していたを叶えていた。
自分の作った板で、町をしるくする。
会社の入には、さな製板が掲げられている。
《板 結》
豪華ではない。
が最初に作ったため、今見ればし粗い部分もある。
それでも交換しようという話は度もなかった。
あの板は、仕事をもらうためのものではなく、4が何から始まったのかを忘れないために残している。
数、しく入社した19歳の職見習いがへ尋ねた。
「社、この会社って残業代ちゃんとますよね?」
はを止めた。
昔なら、そんな質問をするを「気だ」とう経営者もいたかもしれない。
は笑った。
「る。せない仕事なら、最初から受けない」
若者はしたように「よかった」と言った。
その背を見ながら、は黒田芸で働いていた20をいした。
あのまで無駄だったとはわない。
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