"1800円の御膳が1万8000円になった日――覆面社長が見つけたホテルの嘘" 第4話
消された503件
ホテル裏の契約駐には、窓を濃く覆ったワゴンがまっていた。私がづくと側面のドアがき、の効いた内から監査部の榊原誠が顔をした。
「社、ご無事でしたか」
「ええ。ただし、定より刻です」
私はきの領収とPOSの会計控えを別々の透袋に入れたまま、顧問弁護士の野耶へ渡した。スマートフォンの録音データも複製し、入から退までの刻と来事を監査記録に残す。
「1800円と1万8000円。同じ取引について2種類の額がしています」
野は面を見比べ、すぐには結論をにしなかった。
「これだけで過の全件を証することはできません。ただ、会社のPOS記録、内映像、現のきと致すれば、い入になります」
私は頷いた。だからこそ、内でを爆発させずに耐えたのだ。
榊原が会社管理の監査用端末をいた。本社は2週、方から送られるアンケート件数と、館内で使用された用の発注数が致しないことをつかんでいた。さらに、契約業者ではない会社へ修繕費が支払われている。その資料はすでに保全され、万に備えて県警本部にも相談してあった。
舗側に調査を悟られないよう、この段階で確認できるのは本社サーバーへ同期された会社データだけである。
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個の座へ勝に入ることも、支配の端末を隔操作することもしない。だからこそ今、客として発された現物と、本たちの言葉が必だった。
今の覆面調査は、疑いを確かめる最のだった。
システム担当者が、会社サーバーに自保されていた同期履歴を呼びす。舗側では削除されたアンケート画像も、本社側のバックアップには断片が残っていた。
最初に画面へ現れたのは、震えた跡のい訴えだった。
復元された画像には自保刻と端末番号が残り、削除操作をった管理者IDも記録されている。榊原は元データを変更できない形式で複製し、ハッシュ値と作業刻を監査記録へ入力した。から作った資料ではないと示すための順だった。
〈3000円の料理が3万円になりました。警察を呼ぶと言われ、怖くなって払いました〉
次の枚には、〈装を見て奥へ通された〉。その次には、〈族へ連絡すると脅された〉とある。
復元処理がむにつれ、内の空気からの気配が消えていった。ノートパソコンの却音とキーを打つ音だけが続き、画面の件数が増えていく。
57件。184件。311件。
そして、数字は503件で止まった。
対象期は3。投稿を勤務表と照すると、その半で藤堂、松井、井の3が同じ帯に勤務している。
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反対に、本社へ正式送信されたのは、窓際の席を利用した顧客からの評価ばかりだった。
「い客から現を取り、響力のある客には過剰なサービスをして、いい評価だけを本社へ送ったのでしょう」
榊原の声にはりよりも寒気が混じっていた。
私は窓越しにホテルの壁を見げた。自分が3に導入した評価制度では、利益率と顧客評価の数字が支配の賞与をきくする。藤堂がそれを犯罪の言い訳に使うことは許さない。それでも、数字だけを信じて現を見なかった私に責任がないとは言えなかった。
その、システム担当者が1件のデータを拡した。
「社、今のレジにいた女性の会員報と致しました。田澄さん、72歳。3からに数回、このを利用されています」
画面には所と、本が登録した連絡先が表示されている。直の来記録は、本の1218分だった。
503件という数字のに、さっき涙を流したが埋もれている。
私はスマートフォンを取りし、田澄の番号を押した。
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