"息子の婚約者の母は、20年前の女だった" 第6話
健氏の印鑑と籍証も、その保証関係に利用される恐れがあります》
私は報告を読み終え、静かにちがった。
ここから先は、私と健だけでは無理だ。
20、私が度だけ助けを求めた物をいしていた。
押し入れの袋から、さな段ボール箱を引っ張りした。
20、を追いされたに、慌てて持ちした類や写真が入っている箱だった。
埃を払い、古いガムテープを剥がす。
底の方から、1冊の帳がてきた。
黄ばんだページをめくると、青いボールペンでかれた名があった。
《法律事務所》
20。
夫の倫をった私は、無料法律相談へ駆け込んだ。
その対応してくれたのが、弁護士だった。
「慰謝料も養育費も請求できる能性があります」
そう説してくれた。
けれど当の私は、々の活費さえだった。
本格に弁護士へ依頼する余裕はなかった。
結局、訴えることを諦めた。
帰ろうとした私に、弁護士は言った。
「今は悔しくて仕方がないでしょう。でも、息子さんと2で誰にも恥じないをきること。それが番切です」
私は帳の番号へ話をかけた。
20ぶりだった。
幸い、事務所は今もあった。
話にた弁護士の声は齢をねてくなっていたが、すぐに記憶がよみがえった。
そのの午、私は法律事務所を訪ねた。
広告
昔の雑居ビルとは違い、駅のきれいなオフィスへ移転していた。
弁護士は髪が増えていた。
それでも私の顔を見ると、しばらく記憶をたどった、静かに微笑んだ。
「ゆみさんですね」
私は驚いた。
「覚えていらしたんですか」
「忘れませんよ。さな息子さんを守らなければと言って、何度もをげていたお母さんでしたから」
その言葉だけで、目がくなった。
私はすぐに本題へ入った。
興信所の報告。
恵子が落としたATM細。
健の実印が消えたこと。
籍証のコピー。
500万円の融資通。
苗自の名義も使われている能性。
全てを系列に沿って説した。
弁護士の表は、話を聞くほど険しくなった。
「これはかなり悪質です」
彼は類を理しながら言った。
「なくとも健さんの印鑑を無断で持ちし、本のなく融資続きに使っているのであれば、法に問題になる能性がい。すぐにこれ以の続きを止める必があります」
健はすでに座を止めている。
そのことを伝えると、弁護士は頷いた。
「では次に、融資を申し込んでいる業者側へ正式に通しましょう。本が承諾していない契約であること、印鑑が無断で持ちされた疑いがあることを確に伝えます」
私はく息を吐いた。
ようやく、自分だけで戦わなくていいのだとえた。
広告
「それから、もう1つ」
弁護士は言った。
「誠さんの会社が巻き込まれている以、本へ伝える必があります」
「でも、今話して信じてもらえるでしょうか」
私はだった。
誠は今も恵子の夫だ。
妻をかばう能性もある。
「だからこそ、証拠を揃えるんです」
弁護士は静かに答えた。
「ではなく、事実だけを見せる。逃げをなくすほど確に」
そして彼は来週の曜に予定されていた事会について尋ねた。
今度は誠たちがホテルの華レストランを用し、結婚へ向けた具体な話をすることになっていた。
「その席に、私も同席しましょう」
「先が?」
「健さん側の代理として。そこで必な事実を確認しましょう」
私は迷わずをげた。
「お願いします」
その夜、自宅で夕の準備をしていると、スマートフォンが何度も鳴った。
画面には恵子の名。
1回。
2回。
5回。
10回。
私はすぐにはなかった。
融業者から何か連絡があったのだろう。
分にを置いてから、通話ボタンを押した。
「はい」
『あなた、体何をしたの?』
恵子の叫び声がへ刺さった。
『業者から急に融資を止められたのよ! 弁護士から通が来たって、どういうことよ!』
私は包丁を置き、濡れたをゆっくりタオルで拭いた。
「何のことでしょう」
『とぼけないで!』
「ああ、健の実印がなくなった件ですね」
私は穏やかに答えた。
「息子の切なものが消えましたので、弁護士に相談しただけです」
広告
おすすめ作品
-
完結第12話
昭和44年、終電後に消えた駅員――28年目に見つかった記録
昭和44年、長野県の小さな駅で働く杉原修一は、最終列車を見送った夜、8万6,400円の現金とともに姿を消した。父を泥棒と呼ばれながら育った娘の美緒は、28年後、取り壊しが決まった駅舎で古い駅務日誌を発見する。そこには、父が終電の55分後、赤いランプを持って七号橋へ向かったという不可解な記録が残されていた。運休したはずの貨物列車、書き換えられた帳簿、沈黙を守る関係者たち。父はあの夜、何を知り、なぜ帰ってこなかったのか。昭和の小駅に封じられた28年間の謎を追う、家族と真実の物語。時代|歴史|昭和|ミステリー|真実2.9万字5 153 -
完結第10話
四年分の介護記録
四年間のシンガポール赴任を終え、出世を手に帰国した52歳の高橋健一。胸には、妻・由美に突きつけるための離婚届があった。 しかし帰宅した彼を待っていたのは、真っ白な髪と痩せ細った体に変わり果てた妻、そして半年前に亡くなった母の仏壇だった。 重度の認知症を患った義母を、たった一人で介護し続けた由美。夫が毎月送った30万円では到底足りず、彼女はすべてを犠牲にしていた。 そして由美が差し出した四年分の介護記録と、亡き母が残した最後の遺言が、健一の人生を大きく揺るがしていく。嫁姑|夫婦|親子関係|介護1.7万字5 654 -
完結第20話
葬儀3日後、姑に追放された私に亡き夫からの連絡
物流センターの事故で夫・直人を突然失った41歳の美和。しかし義母の数枝は、妻である美和に夫の顔を見ることすら許さず、葬儀を強引に取り仕切る。さらに葬儀の三日後、香典三百万円以上を独占し、13歳の娘・咲と美和を雨の夜に家から追い出してしまう。 絶望の中、親友に助けを求めた美和のスマートフォンに、午前四時、信じられないメッセージが届く。 「生きてる。母には言うな」 送信者は、火葬されたはずの夫だった。 閉ざされた棺の中にいたのは誰なのか。義母が隠そうとしたものとは――。夫の事故をめぐる疑惑と家族の裏切りを描く、衝撃の逆転サスペンス。因果応報|嫁姑|夫婦|親子関係|金銭問題2.3万字5 464 -
完結第12話
雨宮停留所の黄色い傘
私は六十二歳。幼いころから、ときどき人には見えない姿や声を感じることがある。 山梨の小さな町で叔母の家を片づけていたある雨の日、廃止された停留所の水たまりに、黄色い傘を差した少年が映った。 そこで出会った老女は、四十年近く前に失踪した息子を今も待ち続けているという。 「まだ帰れない」 少年が残した言葉を手がかりに調べ始めると、破り取られたバスの運行日誌、隠された手紙、そして家族が長年伏せてきた秘密が浮かび上がる。 あの少年は、いったい何を伝えようとしているのか。日常ホラー|ミステリー|真相|親子関係2.2万字5 184 -
完結第20話
貧乏と俺を捨てた元カノ、次期社長との婚約に隠された誤算
「月収四十万円で、私と結婚できると思ってたの?」七年間付き合った恋人・美香に、収入を理由に婚約を破棄された中島涼。失意の帰り道、公園で出会った風変わりな兄弟との交流が、彼の人生を大きく変えていく。物流の経験を生かして建設会社の経営改革に携わり、少しずつ信頼を築いていく涼。二年後、居酒屋で偶然再会した美香は「次期社長と結婚する」と勝ち誇っていた。しかし、彼女も婚約者も、会社で進んでいた重大な決定を知らなかった。金と肩書きで人を見下した二人を待つ、思いがけない逆転劇。人生逆転|裡切られた|真実|第二の人生|金銭問題2.9万字5 727 -
完結第13話
返せなかった六百二十円
昭和二年、金融恐慌に揺れる東京・神田。銀行員の徳田美佐は、取り付け騒ぎのさなか、印刷所を営む父が請求した預金六百二十円だけを、自分の判断で留めてしまう。 給金を払えなくなった父の工場では職人が去り、父娘の間にも深い溝が生まれる。さらに銀行は「いつでも全額払える」と記した宣伝紙を配り、美佐が認めていない報告書には「確認済」の印が押されていた。 自分の過ちと、銀行が隠そうとする事実。美佐は職を失う覚悟で真相に向き合うことになる。時代|歴史|昭和|親子関係2.8万字5 189 -
完結第10話
「バカ息子」と笑う義父母、旅行中に息子夫婦が消えた
結婚五年目の立花はる子と夫の琢磨は、念願の新居を手に入れた。しかし、何の相談もなく押しかけてきた義父母が居座り、生活費も払わず、家事をすべてはる子に押しつけるようになる。 ある日、買い物から帰った二人は、義父母が自分たちを嘲笑し、子どものことまで侮辱しているのを聞いてしまう。 長年、親の暴言に耐えてきた琢磨が、初めて口にした「もう限界だ」という言葉。 正面から逆らえない夫を守るため、はる子は義父母に三泊四日の温泉旅行を贈り、その留守中に密かな計画を実行する。何も知らず帰宅する義父母を待つ、予想外の光景とは――。人生逆転|嫁姑|親子関係1.7万字5 1518 -
完結第12話
母の葬儀写真に現れた女――銀の花に隠された秘密
幼いころから、人には見えないものが見える紀子。62歳になった彼女は、87歳の母を亡くした葬儀の日、誰も立っていなかったはずの場所に、黒い服の女が写っていることに気づく。女の胸には、銀色の花のブローチ。さらに母の遺品から、見知らぬ女性との古い写真と、秘密の子どもについて書かれた手紙が見つかった。生前、母が繰り返し呼んでいた「千恵子さん」とは誰なのか。そして、棺のそばで聞こえた「あの子はまだ生きてる」という声の意味とは。葬儀写真に残された不可解な影が、半世紀以上封じられてきた家族の秘密を呼び覚ます。日常ホラー|真相|親子関係2.2万字5 324 -
完結第20話
山奥の身代わり花嫁
29歳の水野美緒は、幼い頃から姉ばかりを優遇する両親のもとで、家事と仕事に追われる日々を送っていた。 ある日、姉が見合いの直前に逃げ出し、美緒はその身代わりとして山奥の男に嫁ぐよう命じられる。逆らえば家にも戻れない。古い鞄一つで送り出された美緒だったが、たどり着いた先は想像もしなかった大きな屋敷だった。 しかも門が開いた瞬間、使用人たちが深々と頭を下げ、「お帰りなさいませ、奥様」と迎えた。 まだ結婚の返事すらしていない美緒を、なぜ彼らは待っていたのか。そこには、家族が隠していた縁談の秘密があった。人生逆転|兄弟姉妹|第二の人生|親子関係2.8万字5 1256 -
完結第20話
愛人が妊娠、離婚を迫る夫が私の退職に大慌て
十年間、夫・徹が経営する武田工業を営業部長として支えてきた44歳の百香。ある夜、夫から突然、29歳の女性社員を妊娠させたと告げられ、離婚を迫られる。 さらに夫は、離婚後も会社で働き続け、愛人の子供の世話までしてほしいと言い出した。 呆れ果てた百香は離婚と退職を決意するが、親友の弁護士から驚くべき証拠を渡される。そこには、愛人が会社の裏で進めていた巨額の不正が隠されていた。 十年の献身を踏みにじられた妻が仕掛ける、痛快な逆転劇。怒り|夫婦|金銭問題|不倫2.3万字5 894