"最終列車で消えた18歳" 第5話
妻に裏切られたというりから、娘が選んだを取りげた。
しかし匿名のには、図に隠された続きがあった。
写真に写る浦医師は命で、岐阜内の病院を退職したあとも町で暮らしていた。
現93歳になった浦は、文との関係を認めた。
「結婚に交際していたのは事実です。しかし、文さんが信さんと結婚したあと、男女の関係は度もありません」
写真は医療労働組の研修旅で撮られた集写真の部だった。匿名のでは、周囲の々を切り取り、2きりで旅したように見せていた。
文が妊娠に浦を訪ねたのも事実だった。
ただし、それは関係を続けるためではなかった。
「信さんの事故をっていた文さんは、妊娠したことをびながらも、夫に疑われるのではないかと配していました。それで私に親子関係を確認する方法がないか相談したんです」
当、現のようなDNA鑑定は般ではなかった。それでも血液型や遺伝特徴を組みわせ、親子関係を否定する素がないことは確認できた。
美紀は信の実の娘だった。
浦はその結果を文にして文へ渡していた。
そして美紀が失踪して2か、同じ文を信にも直接見せていた。
信は昭635の点で、美紀が実の娘だとっていた。
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それでも入学辞退を取り消さず、娘が族を捨てたという説を続けていた。
鉄箱から見つかった録音テープには、《昭63327 鷺線最終》とかれていた。
テープの半には、駅構内の放送が録音されている。
《まもなく、鷺線最の列が発いたします。いのご利用、誠にありがとうございました》
若いころの信の声だった。
列がたあと、録音は度途切れた。数秒の雑音に続き、別の会話が始まった。
「これを兄さんに渡して。写真だけじゃ駄目よ。検査の結果も緒に見せなきゃ」
久美子の声だった。
相は、坂義という元国鉄職員だった。
坂は信の同期で、鷺線廃止は名古の駅へ異した。現は87歳になり、介護付き宅で暮らしていた。
直たちが録音を聞かせると、坂は久美子から封筒を預かったことを認めた。
には文の写真、信の診断、親子関係の検査結果、そして文がにいたが入っていた。
久美子は、兄が事故の遺症を負いながら娘を育てたことをっていた。文のを渡せば、信が自分を責めずに済むと考えた。
坂は封筒を信へ渡さなかった。
写真だけを抜き取り、検査結果と文のを隠した。さらに別の便箋へ、信を傷つける言葉をいた。
「なぜ、そんなことをしたんですか」
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直が尋ねると、坂はく窓のを見ていた。
「文さんが好きだった」
坂は若いころ、文へ何度もいを伝えた。しかし文が選んだのは信だった。
結婚も坂は信の友としてを訪ね、美紀の成を見てきた。妻をくした信を支え、駅への昇もんだ。
だがの奥には、消えないが残っていた。
「信だけが、何も失わずにきているように見えた。事故をしても、文さんにされ、娘までいた。私は結婚しても庭がうまくいかず、息子とも疎になった」
「父も妻をくしています」
「分かっている。今なら分かる。でもあのころは、自分だけが選ばれなかったとっていた」
坂は、信が娘の学を誇らしげに話すたび、文との庭を見せつけられているようにじた。
久美子から資料を預かったとき、写真を利用すれば信の幸福を壊せるとった。
美紀が本当に信の娘ではないと確信していたわけではない。ただ、度でも疑わせたかった。
「娘さんが学を諦めるところまでは考えていなかった」
「考えなかっただけでしょう」
澄の声は静かだった。
「写真を切り、結果を隠し、匿名のをいた。何が起きるか考えなかったという言葉で、選んだは消えません」
坂は何も言い返さなかった。
失踪から2か、浦が検査結果を持って信を訪ねたことも、坂はっていた。
その夜、信は坂のへ来て、匿名のをいたのは誰かと尋ねた。
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