"13歳の娘だけ、保険証にいなかった" 第9話
修は考えた。
「戸籍のでは変わる。でも、おが野清さんとさんの娘だったことは、何もなくならない」
「本当に?」
「枚で13が消えないなら、枚で最初のも消えないだろ」
美津子は父を見た。
以の修なら、
「細かいこと考えるな」
と言ったかもしれない。
今は違う。
美津子はゆっくり署名した。
その夜。
浩と信夫は姉の名字が正式に同じになると聞き、びした。
「じゃあ、やっと本当の姉ちゃん?」
信夫が言うと、浩がを叩いた。
「最初から本当だろ」
美津子はを見て笑った。
以なら。
「血がつながってない」
と言い返したかもしれない。
もう言わなかった。
血がつながっているかどうかだけで。
このとの13を。
説できないことが。
しずつ分かってきた。
続きがすべて終わるまでには、っていたよりがかかった。役へ何度もを運び、古い戸籍を確認し、野側との類もえなければならなかった。修は仕事を半休むこともあったが、度も「面倒だ」とは言わなかった。
美津子も何度か緒に役へった。
最初にで訪れたとは、同じ建物なのに見え方が違った。
あの。
配の職員から、
「藤井の戸籍には入っていない」
と言われた瞬。
元が崩れたようにじた。
今は。
枚ずつ類が揃うたび。
自分の過を消すのではなく。
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ばらばらだったものを。
つずつ見える形へ並べているようにえた。
ある。
あのの配職員が窓にいた。
「美津子さん」
覚えていたらしい。
「ずいぶん顔つきが変わったね」
「そうですか」
「最初のは、今にも泣きそうだった」
「泣きませんでした」
「そうだったね」
職員は笑った。
「ご族とは話せた?」
美津子はし考えてから答えた。
「話しました。いっぱい」
職員は頷いた。
「それが番だ」
数週。
修が仕事から帰るなり。
い冊子を卓袱台へ置いた。
「来たぞ」
浩と信夫が先にびついた。
「何?」
「しい保険証」
美津子の胸がし速くなった。
最初の冊と。
ほとんど同じ。
い表。
同じような文字。
修がく。
世帯主――藤井修。
妻――子。
女――美津子。
男――浩。
次男――信夫。
「姉ちゃん、いる!」
信夫が叫んだ。
「ほんとだ」
浩が指で名をなぞった。
美津子はゆっくり冊子を受け取った。
自分の名を見た。
藤井美津子。
何週もなら。
この文字を見ただけで。
何もかも解決するとっていたかもしれない。
実際に見てみると。
なくらい。
静かな気持ちだった。
のは昨と同じだった。
子は台所で煮物を温めている。
修は作業着のまま聞をいている。
浩は宿題を忘れて叱られている。
信夫は姉の保険証を何度も覗き込んでいる。
名が入ったから。
突然族になったのではない。
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むしろ。
13続いていた族を。
ようやくのでも。
同じ形にしただけだった。
「どうだ」
修が聞いた。
「何が?」
「名」
「あるね」
「それだけか」
「じゃあ踊ろうか?」
修が吹きした。
子も笑った。
久しぶりに。
族全員が。
同じことで笑った。
夕の途。
信夫が急に言った。
「姉ちゃん」
「何?」
「名字変わったけど、は何だったの?」
「野」
「じゃあ野姉ちゃんでもあったの?」
美津子はし考えた。
「そうだね」
「藤井と野、つあるの?」
子どもらしい質問だった。
修が答えようとしたが。
美津子が先に言った。
「昔は野で、今は藤井。でもどっちも私」
信夫はあっさり納得した。
「ふうん」
それだけだった。
たちが何も悩み。
親戚が争い。
美津子自も何週も苦しんだことを。
7歳の弟は。
たった言で。
受け入れた。
数か。
美津子は再び野定雄のを訪れた。
今度はではなく。
修と子も緒だった。
定雄は養子縁組の成を聞いても反対しなかった。
「もう、おが決めたならそれでいい」
美津子は聞いた。
「お父さんののことは?」
定雄は類をした。
清に関係するわずかな財産について、将来美津子が確認できるよう理を始めていた。
「額はしたものじゃない」
「別に欲しいって言ってない」
「分かってる」
定雄は苦笑した。
「でも今度は、が勝に決めちゃいかんとってな」
その言葉を聞き。
美津子はし笑った。
たちも。
しずつ。
変わっていた。
それから数が過ぎた。
美津子は学を卒業し、へんだ。
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