"失踪した妻を道の駅で見つけた――「来ないで」と怯えた理由" 第5話
失踪した夜。
結は岐阜の実くまで来るよう指示された。
「どうして俺に言わなかった」
「すぐ帰るつもりだったから。それに、父はのことを誠さんに話すなって昔から言ってた」
約束の所は、敷ではなかった。
裏へ続く、ほとんど使われなくなった旧。
の夜。
灯もない。
結が着くと、宗郎と武志が待っていた。
「最初は類を渡されたの」
株式に関する同。
相続関係の放棄を含む複数の類。
「私は詳しいことが分からなかったから、弁護士に見てもらうって言った」
武志が激した。
宗郎も言った。
《のことをへ持ちすな》
それでも結は署名を拒んだ。
帰ろうとした。
武志が腕をつかんだ。
振り払う。
論。
そして。
「兄が私を押した」
結の声がさくなる。
「崖のくだった」
私は何も言えなかった。
「落ちた、途のにぶつかったのだけ覚えてる。そのあと何も分からなくなった」
ななかった。
斜面のや藪が衝撃をらげた。
だが背をく打った。
半がかなくなった。
「父たちは私がんだとったみたい」
数。
元の仕事をしていた男性が、斜面で倒れている結を見つけた。
救急搬送された。
そこで宗郎たちは、結がきていることをった。
「病院へ来た父に言われたの」
結はを震わせた。
《警察には事故だと言え》
広告
拒めば。
誠。
杏奈。
2の活。
勤務先。
幼稚園。
全部把握していると言われた。
《次は事故では済まない》
結は泣きながら私を見た。
「杏奈の幼稚園の名まで言われた」
私は拳を握った。
「それでを?」
「うん」
まだ体を起こすこともできない期。
宗郎の指示で、文章をかされた。
《に好きなができました》
《探さないでください》
「でも、のテーブルにあった」
「兄が持っていった」
すべてつながった。
私が帰るにへ入り、便箋を置いた。
方法は分からない。
だが武志は以から結の鍵を持っていた期があるという。
「携帯は?」
「取られた」
「そのは」
結はしばらく黙った。
「くへ移された」
最初はさな療養施設。
そのは宗郎の取引先の関係者が持つ建物。
自力で歩けず。
もない。
話も自由に使えない。
逃げることができなかった。
数か。
状態が定すると、この部へ移された。
「ここで?」
「宝くじを売れば、寝る所と事はくれるって」
私は言葉を失った。
「そんなの……」
「私を普通の活に戻したら、と話すでしょう。だから、誰もりいが来ないような所ならいいって」
「誰が決めた」
「父のりい」
結は胸元の箱を見た。
「でも、私は何もできなかったわけじゃない」
「何?」
結のが箱をく握る。
「1つだけ、残ってるかもしれない」
「何が」
「証拠」
その。
私のスマートフォンが鳴った。
広告
宗郎。
3回目の話。
結の顔が張った。
「ないで」
「丈夫」
「誠さん、まだ何もらないふりをして」
その言葉で、私は考えを変えた。
彼らは私が何もらないとっている。
結がんだか、なくとも戻ってこないとっている。
なら。
そのい込みを利用できる。
私は話へた。
「はい」
「何をしている! まだ来んのか!」
いつもの傲な声。
私はできるだけ平静に答えた。
「すみません。杏奈がし酔いをしました。もうます」
「あと40分で来い」
「分かりました」
話を切る。
結が私を見る。
「くの?」
「ああ」
「駄目!」
「今かなかったら、向こうは警戒する」
「でも」
「丈夫だ」
私は結のを握った。
「半、君が1で守ったんだ。今度は俺の番だ」
結は私を見つめた。
その顔には、まだらない何かを恐れる表が残っていた。
問題は、結をどう全な所へ移すかだった。
元の病院へそのまま運ぶことは避けたい。
私はからしれ、1本の話をかけた。
普段の庭活では使わない番号だった。
「佐々です」
「私だ」
瞬の。
声が変わった。
「代表。どうされました」
佐々は私の勤務する投資会社で、実務を支えてくれている物だった。
私は結に、仕事の詳細をほとんど話していなかった。
嘘をついていたわけではない。
会社員。
それは事実だ。
ただし私が勤めている会社が、に本社を持つ投資会社であり、本法の代表をしていることまでは伝えていなかった。
結は柄や財産で関係を支配する吉兼から逃れたかった。
広告
おすすめ作品
-
完結第14話
離婚した直後、奪われていた80億円が戻った――元夫の結婚式で私が取り返したもの
「君は古い設計図を抱えた建築士に戻るだけだ」 離婚成立の日、元夫はそう笑った。 その10分後、私の口座に入ったのは――80億円。 それは慰謝料でも、遺産でもない。 父と私から奪われ、別会社へ隠されていた特許使用料だった。 同じ夕方、元夫は愛人との豪華な披露宴を開いた。 新婦の首には、私の母が遺したダイヤのネックレス。 元夫は映像の中で「過去を手放し、未来へ進む」と微笑んだ。 しかし6分後、巨大スクリーンが突然暗転する。 《泰成建設 独立監査報告》 白い文字が浮かんだ瞬間、元夫の顔から笑みが消えた。 そして一本の電話を受けた彼は、膝から崩れ落ちた――。 (続)夫婦|真相|不倫2.0万字5 7 -
完結第11話
息子に捨てられた母の逆転
「お母さん、今日は少し外へ出ませんか」 息子夫婦に誘われ、70歳のはる子は雪の降る夜、車の後部座席へ乗った。 ところが車は町を離れ、山沿いの介護ホームの前で止まった。 「数日だけ、ここで休んでください」 そう言われた時、トランクから自分のスーツケースが出てきた。 荷物はいつの間にか詰められ、携帯電話は嫁に取り上げられた。 息子は「また来るから」と言い残し、母を301号室へ置いて帰った。 翌日、嫁は面会に来るなり尋ねた。 「通帳はどこですか? 実印は?」 さらに、見覚えのない白い錠剤を「いつもの薬」として渡してきた。 はる子は黙って薬を受け取り、認知症のふりを始めた。 そして翌日の病院で、嫁が電話口で話す声を聞く。 「診断が出たら、家も通帳も動かしやすくなるでしょう」 はる子はその会話を、コートの内側に隠した一本の録音機へ残していた。因果応報|人生逆転|嫁姑|絶縁|親子関係|介護|金銭問題1.7万字5 26 -
完結第11話
母が残した最後の住所
母を亡くした14歳の俺には、頼れる人が誰もいなかった。 父は幼い頃に亡くなり、母は朝から夜まで働き続けていた。 葬儀の後、親戚にも「うちでは面倒を見られない」と断られた。 一人になった部屋で母の遺品を整理していると、古い桐の箱から一枚のメモが出てきた。 《本当に一人になった時だけ、この場所へ行きなさい》 書かれていた住所は、隣の市の山手にある大きな屋敷だった。 俺は制服のまま、片道2時間近くかけてその場所へ向かった。 石造りの門柱には、母が一度も口にしたことのない名字が刻まれていた。 帰ろうとした、その時。 重い門がゆっくり開き、黒い服の老人が現れた。 老人は俺の顔を見るなり、深く頭を下げた。 「坊っちゃま、お待ちしておりました」 母が隠していたのは、いったい何だったのか。 (続)人生逆転|相続|第二の人生|金銭問題1.7万字5 82 -
完結第10話
空っぽの弁当箱
「5万円の居候でしょ?」 そう笑われながら、58歳の私は毎朝5時に起き、息子一家4人分の弁当を3年間作り続けた。 息子の好物、嫁の職場向けの彩り、孫の部活用のおにぎりまで、全部私が考えていた。 食費や学校用品も、足りない時は自分の財布から払った。 それでも家族から返ってくるのは、「家事くらいちゃんとしてよ」という言葉だけ。 迎えた58歳の誕生日、誰も私の誕生日を覚えていなかった。 「今日で、この家の家事係を降ります」 そう告げても、息子は「またすねてる」と笑った。 その夜、私は誰にも何も言わず、自分の荷物だけをまとめた。 翌朝、台所に並んでいた4つの弁当箱は、すべて空っぽだった。 冷蔵庫には、短いメモが一枚だけ残されていた。 そして家族は初めて、私が毎月5万円以外に何をしていたのかを知ることになる。因果応報|人生逆転|嫁姑|第二の人生|親子関係|金銭問題1.4万字5 51